《キジの堰》  Pheasant  Weir 
  英彦山の林道を車で登っている時、突然、道端から雌のキジが現れた。「このままでは轢いてしまう」と慄いたが、次の瞬間、キジは右手の空間に飛び立ち難を逃れた。その姿は手塚治虫の『火の鳥』のよう。鮮やかに目に焼きついた。 父が亡くなる3ヶ月前の出来事である。急に入院した父のために、獣害防止用の柵を実家に設置する途中だった。
 今思えば、当時の私はひどく混乱しており、何かにつけ気が急いていた。あのキジの美しい飛翔は、「一旦落ち着け」という堰(せき)の役目を担ってくれたように思う。キジが車の前から飛び立とうとする一瞬の緊張感を形に残した。これからもこの作品を通じて、父が私に「いかなる時も心を失うな」と、穏やかに諌めてくれることだろう。

 

 

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