我々の生活は、近年急速に人工環境に依存する度合いを高めている。しかし、利便性や経済性が優先されるあまり人間本来の感覚特性が軽視されることが多く、例えば、人工照明が人間の生体リズムを乱したり、映像、音響の乱用が神経障害、聴覚障害をひき起こしたりするなどの問題が生じている。本学は、”技術の人間化”を標榜する芸術工学研究院を中心として、このような問題にとり組むに適した学際的な研究環境を整えつつある。そこで、生理学的な、あるいは心理学的な実験研究に基づいて人間の感覚特性を総合的に理解し、その知見を直ちに実際の人工環境のデザインに適用するという活動をめざし、本学に世界的な研究教育拠点を形成したい。具体的には、視覚、聴覚、嗅覚、温熱感覚、体性感覚などについて、「環境生理学」、「知覚心理学」の立場から知見を統合し、それに基づいて、照明、映像、音響、空調、建築物などに関する「感性デザイン」を実施する。さらに、人工環境の総合評価を行い、幼児、高齢者、障害者にも配慮した人工環境デザインに関する指針を確立する。
国内外から、ポスドク、博士課程学生を受け入れ、主たる専門分野のほかにもう一つの分野において経験を積ませることにより、多方面の知識を必要とする研究課題に関して、少人数による効率的な共同研究チームを編成することを可能とする。日本語、英語の双方を用いたコミュニケーションを日常化することにより、研究教育拠点を真に国際的なものへと育ててゆきたい。 |
|