中洲モザイク
コトの消費空間として再生する玉屋
伊藤 恵美
テレビや電話、さらに近年のインターネットの普及により、人が空間と時間を共有する必然性はなくなってきた。家にいながら様々な情報やモノが手に入る。一方でIT化が進んでも手に入らないのがコトの消費や共有であり、その場所に足を運ばなければ体験できない情緒は人を惹きつけてやまない。それゆえに固有の独自性をもつ場所はIT化が進むにつれ魅力を増す一方、もたない場所はIT化が進むにつれ、その存在は必然性を失っていく。

中洲は全国でも有数の歓楽街である。かつてそこは猥雑さとモダンさが同居する重層的で多様性のある福岡随一の盛り場であった。人々はそこでモノ以上にコトを消費した。そしてその豊かなコトの消費空間は中洲の固有性であり魅力であった。しかし近年深まる夜の街としての性格は観光的でコスモポリティックにも見える。IT化が進む時代に中洲が魅力的な街として生き残っていく為には、重層的で多様なコトの消費空間として再生することが残された道である。

本計画では一昨年廃業した中洲玉屋に注目した。かつて玉屋は福岡におけるコトの消費の中心として中洲の全盛期を築いた。その場所にMozaic Buildingを設計し、コトの消費空間を再生する。空間軸と時間軸の変化の中で中洲に見られる様々な表情を“猥雑性”“先進性”“祝祭性”“風情”と分類し、この4つの要素をMozaic Buildigのデザインとプログラムに組み込み、それらの集積によって中洲固有の像が浮かび上がってくることを最終目的とする。

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九州芸術工科大学〕 〔環境設計学科卒業計画〕〔クイック アクセス