| 昼と夜の景観において認識される視対象の違いに関する考察 -福岡市大橋地区を対象として- |
| 多喜田 清佳 |
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目的:モノを見るという行為は、私たちが生活する中で、もっとも基本的なことであり、日頃ほとんど意識することがない。しかし、視覚的な情報として景観を知覚し、認識し、評価するわけであるから、景観評価において人がどのように景観を知覚しているかを考察することは重要なことである。本研究は1日のうち昼夜の景観変化に注目し、日常生活での人々の視対象を明らかにし、分類比較することにより、夜間の都市景観評価を行なうための基礎的知見を得ることを目的としている。 調査概要:ひと口に「都市景観」といっても、様々な店舗が立ち並び鮮やかに彩られた繁華街のそれと塀に囲まれ街路灯の光の量すら確保できていないところが多い住宅地のそれとでは大きな差があるのは明らかである。そこで、夜景に影響を与えている照明が多用されている商業地区について調査を行なった。被験者には、見ていると感じているものすべてを口述してもらい、その口述された言葉をデジタルビデオカメラで記録し、実験後その撮影された映像・音声を基に視対象を抽出した。 視対象の分類:都市の景観はどのような要素によって構成されているのだろうか。まず景観そのものの構成要素を定義する。 1)視対象 物的対象として見ている要素 ゲシュタルト心理学であるように「図」と「地」の関係の「図」にあたるものである。 2)視対象空間 視対象が存在する空間 つまり、視対象附近の空間のことである。景観の「地」つまり視対象を浮かび上がらせるための背景である。 この視対象空間の状況によって、視対象は相対的に知覚される。 3)景色 視野に入っている景観から視対象と視対象空間をひいた部分。 昼夜景それぞれの視対象の特徴を明らかにするために口述された視対象を以下の事に留意しながら分類する。 ◆夜間における照明の有無 ◆視対象までの距離 実空間を歩き調査したわけであるから、連続した景観である。視覚は先を見ているので視対象は現在地より距離をおき存在する。この距離を把握することにより、人は自分のいる場所を把握し行動するための情報を得る。視対象までの距離、また人はどのあたりを見ているのかを明らかにするために、現在地から視対象までの距離を5段階に分類した。 ?距離の基準 A 人物の細部が判断できる(所有物など) B 人物の概略が判断できる(性別や行動など) C 人物の存在が判断できる D 人物の存在が判断できない E A〜Dの複数に渡る範囲を見ている 調査結果・分析:視対象指摘数により3つの要素に分類した。 以下、視対象指摘数 昼>夜 → 昼景要素 視対象指摘数 昼<夜 → 夜景要素 視対象指摘数 昼=夜 → 共通要素 と記述する。視対象の特徴よりそれぞれの要素の特徴は以下の通りである。 ・昼景要素の特徴...面的要素、色が多用されている ・夜景要素の特徴...光源、闇、光源の反射 ・共通要素の特徴...確認行為、視覚以外の感覚による ◆視対象空間と視対象の刺激量の差より景観要素は知覚される。 ◆光や色により近距離において昼夜の要素特徴は指摘数には影響を及ぼしにくい。 まとめ:私たちはいままで昼の明瞭で見渡しのきく空間を自明なこととして基礎においてきたが、これらは昼の空間の特有の諸性格にすぎず、夜の空間の特徴にも目を向けなければならない。現在の都市で存在を主張するためには、必ずしも過剰な光や色により誘目性を高めたものの必要はなく、様々な刺激要素により誘目性を向上し、都市景観の美と快適性を兼ね備えた視対象空間の雰囲気創りが重要ではないだろうか。 更には「音」や「匂い」による場の創造も強く主張したい。
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〔九州芸術工科大学〕 〔環境設計学科卒業計画〕〔クイック アクセス〕