芸工ウォッチ

学生ギャラリー<作品・研究・活動>

小さなヘヤ、大きなカヤ

中土居宏紀,辻裕太(人間環境学府)共同制作
 
 昔、モンスーン気候で、生きていくための知恵として生み出された蚊帳という装置を、現代に建築化しました。
 蚊帳は風や光を通しながら虫を防ぐ寝具であり、高温多湿で柱中心の住宅形式を持つ日本の住環境で重宝されてきたものです。
 現在は気密性を高めた壁中心の住宅形式への変化、それにともなう網戸の普及により、蚊帳の存在は消えつつあります。蚊帳によって形成される半外部的な領域に再度注目し、それを空間に最大限に取り込むことによって日本の狭小な住宅環境にも適応しうる、おおらかな住宅形式を提案します。
 敷地は長屋住宅が密集する木造密集住宅地。手法としては部屋と蚊帳の関係を反転させ、部屋の周りを蚊帳によって囲まれた大きな半外部の領域をつくりました。
 蚊帳によって形成される大きな半外部空間は半透明な境界によって路地とは隔てられながらも、住民との交流を持ちうる大きな余白となります。
 また、蚊屋の性質により、害虫を防ぎながらもやわらかな光と風を最大限に享受できる住環境を狭小密集地においても生み出すことができます。
 カヤによって出来るやわらかな余白により、住環境の改善とともに、密接した住宅地の関係性をよりおおらかに受け継ぐことが出来ればと考えました。
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