序文 第1章 オーバーシュート(行き過ぎ)
第2章 限界へと推し進める力 ー幾何級数的成長
レジメ Asahiro
序文
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限りある地球上で、二つだけの無限のものがある。我々が責任を負わなければならない未来の世代数。我々自身の創造力である。貧しい国への責任を果たし、持続可能な社会に近づかなければならない。
はしがき
・ 「成長の限界」の出版からの20年。新しいコンピューターモデル「ワールド3」は、多くの資源や汚染のフローがすでに持続可能性の限界を超えてしまっていることを示した。
・ ここで、三つの結論は次のように書きかえる。
1)〜資源の消費、汚染物質の排出速度は、〜持続可能性を超えてしまった。物質及びエネルギーのフローを大幅に削減しない限り、一人あたりの食料生産〜は、何十年後かに制御できない形で減少するであろう。
2)〜減少を避けるには、二つの変化が必要。物質の消費や人口増大させる政策や慣行を改めること。原料やエネルギーの利用効率を速やかに、かつ大幅に改善すること。
3)持続可能な社会は、技術的にも経済的にも実現可能である。〜そのためには、長期目標と短期目標のバランスを慎重に取る必要がある。〜生産性や技術以上に、成熟、憐れみの心、知彗といった要素が要求される。
用語に関するノート
「資本」(capital):経済的な財やサービスを生む物理的な設備。
「財政的資本」(financial capital):設備を建設するために必要な資金。
「産業化された(indaustrialized)」文化と、「あまり産業化されていない(less-industrialized)」文化
→どの程度まで産業革命を経験したかを示す意味。
「成長 (growth)」:物質を吸収し蓄積して規模が増すことを意味。(量的な成長)
「発展 (development)」:広がる、もしくは何かの潜在的な可能性を実現する。(質的な改善)
最後の二つを区別することにより、成長に限界はあっても、発展には限界のないことが示される。
オーバーシュート(行き過ぎ)
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この意味は、意図せずうっかりと限界を超えてしまうこと。
・ 行き過ぎの原因には同じ原因がある。
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動き、行為、変化が急激であること。A動き、行為、変化には、超えてはならない限界があること。
B 制の難しいこと。
・ 行き過ぎの先には二つの結果が待ち受ける
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ある種の破壊。A 意図的な方向転換、過ちの訂正、慎重な減速。
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人類社会の行方について、本書では4種類の手法を用いた。
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地球システムに関する標準的な科学的・経済的理論。
A 世界の資源や環境に関する統計資料
B 情報の統合を助けるコンピューター・モデル
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我々の「世界観」あるいはパラダイム、基本的なものの見方。(← 決定する上で最も重要な要因)
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著者達のシステム論的な視野:経済と環境を一つのシステムとして把握。
・ 人口と経済の成長:200年以上にわたる、成長という行動パターンが社会経済システムを支配した。
→ 人口、工業生産、汚染の幾何級数的増大
→ 成長以外の解決策が見つかるまで、人々は成長こそがより良い未来の扉を開く鍵であるという考えに執着する。
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物理的成長の限界はさほど問題ではない。重要なのは「スループット」(一定時間内に処理されるものの量)の限界である。
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成長の限界とは、原料やエネルギーを提供する「ソース」(供給源)の限界と、汚染や廃棄物を吸収するための「シンク」(吸収源)の容量の限界を意味している。
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この限界には二つの側面がある。@ソースの多くが減少・劣化し、シンクの多くがあふれていること。A全世界の人々の生活の質をまずまずの状態に保つのに、今ほどのスループットは必要ない。
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人間社会は、未だ改善のルートを選択していないが、良い先駆事例が存在する。(オゾン層への対応)
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ワールド3における技術と市場の仮説において「もし、世界が汚染抑制や土地の保全、人間の健康、原料のリサイクル、そして資源利用の効率化に、持てる資源を本気になって割り当てればどうなるか」
→ 技術と市場は、遅れがあるとしてもかなり効果的であることがわかった。
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これを前提に、物資消費と望まれる家族規模は、人口80億人で安定し、その全ての人が、今日のヨーロッパにほぼ匹敵する物質的生活レベルに達する。コンピューターでは、持続的成長を算出できた。
・ しかし、限界を超えて成長した20年の間に、未来へ向かう航路の選択肢は狭められた。
・ 現在の状況は、次の二つの引用文に要約される。
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