玉ねぎからDNAを抽出してみましょう*1

用意するもの

手順

  1. 玉ねぎの外側の茶色の皮をむく。
  2. 玉ねぎ1/2個をすりおろす。目の細かいすり下ろし器を使うとより良い。
  3. すりおろしたものをビーカー(コップ)に移す。
  4. 中性洗剤を数滴入れる。
  5. ガラス棒(割り箸)でかき混ぜる
  6. 5分静置(時々、かき混ぜる)
  7. ガーゼでこして新しいビーカー(コップ)に移す。
  8. NaClを5 g(5 g以上ならOK)をはかりとる。
  9. はかりとったNaClをガラス棒で混ぜる。
  10. 冷凍庫で冷やしておいた100%エタノールを溶液の2倍量(2倍量以上はOK)加える。
  11. ゆっくりかき混ぜる。
  12. 棒にDNAどんどんからまってくる。
  13. メチレンブルーで染色するとこんな感じ。

Q and A

なぜ玉ねぎを使うのですか?

玉ねぎはタンパク質が少ないためです。普通、動物組織などは、多くのタンパク質から形成されています。そのため、DNA 抽出をする際には、まずこのタンパク質を取り除く作業が必要です。普段私たちは、その作業にフェノールやクロロホルムといった危険な有機溶媒を使っています。今回はそういう危険な試薬を使わないようにするため、タンパク質が少ない玉ねぎを使用しました。

エタノールでどうしてDNAが沈殿するのですか?それから塩は何の役に立つの?

DNA は水にとっても溶けやすいという特徴があります。そのため、DNA を取り出したい場合、DNA を水に溶けないようにする必要があります。DNA はエタノールには溶けませんが、水には溶けます。さらにエタノールを冷やすことで、溶液中に溶けれる量(飽和溶解度)を下げることができます。わかり易い例では、塩の結晶やミョウバンの結晶を作りたいときに、冷蔵庫で冷やすと早く結晶ができますね。それと同じです。 ただ、DNA はエタノール溶液中だけですと、DNA はリン酸で構成されているため負の電化を持っており、お互い反発しあって沈殿しにくいです。そこに塩化ナトリウムを入れると、Na+が入って中和されるため沈殿しやすくなります。なみに中性洗剤を入れたのは、細胞膜を破壊して細胞中の DNA を外に取り出すためです。

なぜメチレンブルーで青くなるの?

メチレンブルーは塩基性色素の1つで、DNA は塩基性色素で染まりやすい特徴がある。そのため、ゲノム DNA のことを染色体と呼ぶのです。 またメチレンブルーは強い還元力を持ち細胞内で活性酸素を発生させることで病原体を死滅させることができるため、魚病の薬として使われています。

DNA って白いんですか?

DNA は無色透明です。今回白く見えたのは、たくさんの DNA が束になっているため白く 見えます。どんな生き物も同じです。


*1 文責:池上太郎(琉大)・伊藤浩史(九大)
*2 中性かどうかを十分確認してください。
*3 観賞魚の専門店で売っています

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