九州大学大学院
芸術工学研究院
環境・遺産デザイン部門
藤原惠洋研究室

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Tel:092-553-4529
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みなさまへ 藍蟹堂のメッセージ

日本の近代がどのように近代的自我を育てたものか知りたい。そこから日本の明治・大正・昭和に軸足を置き、建築や都市、暮らしや生活文化の形成過程を見てきました。とりわけ「デザイン」という窓(ウィンドウ)は、世界のありとあらゆることにつながるドラえもんの「どこでもドア」のようなもので、世界創造を担ってきたデザインの近代化過程に強い関心を持つようになりました。

  専門領域の蟹歩きは、建築設計 → 建築論 → まちづくり → 日本近代建築史 → 住宅史 → 都市史 → 生産技術史 → 産業考古学 → アジア近代史 → 美学・美術史 → 現象学 → デザイン史 → 考現学 → もの学 → 生活文化史 → 民俗学 → 民族学 → 地域学 → 参加型まちづくり → ワークショップ論 → 文化資源学 → 文化経済学 → 芸術文化論 → アートマネジメント/アートアドミニストレーション → コミュニティアート → 芸術社会学 → 建築論 → 建築設計と、大きな回路が一巡してきているのです。フィールドの蟹歩きなら、 20 代半ば、日本国内を三巡した頃に、初めて渡航したのがパプアニューギニア。ここから南洋とオセアニアを巡り、中国 → 東アジア諸国 → インド圏 → ヨーロッパ圏 → 小アジア → アメリカ合衆国 → 東欧と開拓してきました。その数は 2011 年で 69 ヵ国。未踏のアフリカ、中南米へもいつかは触れてみたいと思っています。

  思えば 1980 年代よりフィールドワーカーとして数多くの調査研究踏査の現場を彷徨しました。一方、その過程で参画型共生社会の実現に向け市民参加型まちづくり現場を多数体現するようになり、いつしか「行動する学者」(読売新聞評)と言われるようになりました。
90 年代以降は、とりわけ市民参加型まちづくりや幅広いワークショップ概念の啓発活動と社会的受容を促進させたいと活動を広げ、数多くのワークショップ実践のファシリテーターを務めていきました。 90 年代後半からは、それらを発展させアートと社会を結ぶ紐帯づくりを理念面と実践面の両面から手がけてきました。

  とくに 1997 年、九州芸術工科大学芸術工学部芸術情報設計学科の開設時には、わが国でも黎明期の「芸術文化環境論」研究創出に挑みました。この時期、オランダ・ライデン大学で客員教授を務め、滞在中に九州大学との統合を経ながら同研究分野の開拓と展開をめざしていきました。さらに独自の人材育成メソッドを通し、数多くの研究者・実践者を門下から輩出することもできています。総合計画、都市計画マスタープラン、福祉まちづくり計画、文化振興計画策定、生涯学習施設再生基本構想策定、町村合併に伴う新市建設計画等、地方自治体の公共政策策定へも数多く関与することができたと自負しています。

  さてそして今、私は次のようなことをプロジェクト研究として展開しています。
  すなわち、市民が主人公となる時代の芸術文化環境を背景に、次世代型のアートマネジメントを体験的に実践したいと標榜します。具体的には、地域社会の巷間に潜んだ文化資源を探索・再発見し、それらをリソースとした企画・舞台・作品の創造を行なうのです。そのうえでオーディエンス(観客)によるフィードバックを行ない、芸術と社会をつなぐ架け橋としての芸術文化環境整備の指針を得て行くというダイナミズムです。このブログをご覧いただく皆様には、どうぞ今後とも、実際のフィールドワークやワークショップの現場づくりにご支援ご理解ご鞭撻をいただければ幸いです。( 2011 年正月吉日)