トピックス

SDGs Design International Awards 2019 「最終プレゼンテーション/表彰式」後編

いよいよ結果発表が行われました。(前編はこちら)発表の後、九州大学大学院 芸術工学研究院 平井康之教授より、それぞれの作品への講評および今回のアワードに対する総評が行われました。また当日会場でインタビューすることができた3組のコメントも、合わせて掲載します。

 

〈グランプリ〉
「EXTENDED ISLAND」
中国浙江農林大学
Tang Zhongyu, Zheng Qingqing, Xu Mengting, Zhang Qing, Miao Wenqi

講評
海苔の養殖を利用した浮島システムで、潮間帯や沿岸に海の森を作り、生態系を回復させるというシナリオに説得力があり、高く評価をしました。人間中心のデザインから生命中心のデザインへの広がりを持っているところも素晴らしかったです。サステナブルインダストリアルによる社会像が描かれているところも、印象的です。

コメント
実際の調査で、地元の人達の暮らしを目の当たりにし、その平和で静かな生活のペースを乱すことなく、役に立つことはできないかと考えました。受賞を機に、このアイデアをさらに大学や学生の間で共有して、景観を守りつつ、生態系の問題解決のためにつなげたいと思います。

――――――――――――――――――――――

〈準グランプリ〉
「The MOBILE FOOTBATH」
伊藤まゆみ / 東京工業大学
森川陽介 / 九州大学
Hwang Jinwook / Aalto University

講評
実際にしっかりと実験を行っている点がアピールポイントとなっています。デザインのSDGsならではのユニークなアイデアで、日本とフィンランドの伝統的な文化の融合のさせ方もおもしろいと感じました。リラックスをキーワードに、マインド面までデザインしたことを高く評価しました。

コメント
デザインの際こだわったのは、モビリティをいかに担保するかということ、対話の生まれるデザインは何かということを考えることです。「モバイル・フットバス」は非日常の場所をどこにでも創り出すことができます。ふだん私たちは目的を持った場で話をしますが、無目的でも、さらに無言でもいいという場所の可能性を感じています。

――――――――――――――――――――――ー

〈優秀賞〉
「Capricious Growth, Tenacious Growth」
中国浙江農林大学
Fu Yifan, Cheng Qiuyi, Zhao Yehua, Li Pengpeng and Zhou Yadi

講評
中国の伝統的な牡蠣礁を使い、人工物建設中心の発想を転換して、新しいタイプの護岸となっています。さらにそれが護岸に留まらず、漁師さんの生活を豊かにするという村づくりを目的としているところが、SDGsのデザインにふさわしいと感じました。

――――――――――――――――――――――ー

〈特別奨励賞〉
「TOMODACHI CONNECTION」
九州大学大学院 芸術工学府 九大芸工バングラディシュ調査チーム
田中遼太、若原千有希、小倉範子、原竹凌太朗

講評
実際の調査が元になっているところに説得力を感じます。子どもたちの交流から、助け合えるコミュニティを作ることができるデザインになっています。特に「トモ・コネクター」の造形がかわいく、子どもの遊びやクリエイティビティをデザインすることになっている点がよいと思いました。

コメント
交友関係を可視化するというコンセプトは最初から変わりませんでしたが、「トモ・コネクター」のデザインには試行錯誤しました。集めて楽しい、遊び心のあるデザインはなんだろう?という点にこだわりました。また日本人の感覚では想像できない部分を、バングラデシュからの研究生にヒアリングを行いながら、実現に近づけました。

 

〈特別奨励賞〉
「Baby cocoon」
ダルムシュタット応用科学大学
Lilith Reiß

講評

実際のプロトタイプも準備され、とてもわかりやすいデザインでした。日常から非常時に備えるデザインであり、なおかつ周辺の過酷な自然環境と人間環境の双方のSOSに対して、解決が考えられていた点を評価しました。単なるプロダクトとしてではなく市民を守るデザインとして、このようなデザインが一般化していくとよいと感じました。

――――――――――――――――――――――ー

審査員長の平井教授は、今回のアワードを振り返って、「人とアイデアが行き交う結節点となり、ここから新しい価値を生み出していきたい。第1回にして220件以上もの応募を得られたことは、デザインによる社会貢献の可能性の高さを感じる。次回も“自分ごととしてのデザイン”が寄せられることを期待します」と総評を述べました。

初めてのアワードとなった今回寄せられた220以上ものアイデアは、一言で「デザイン」といっても、プロダクトからランドスケープ、建築からコミュニケーションまで多様なものに及びました。この多様性こそが、現在デザインが持つ課題であり可能性であることが浮き彫りになりました。また広範で抽象的な課題となりがちなSDGsのテーマに対し、自分との接点をいかに発見してデザインするかが、リアリティと説得力に繋がることも明らかになりました。学生ならではの柔軟な視点と専門性が組み合わさったデザインに、今後も期待されます。

第2回の「SDGs Design International Awards 2020」は、2020年テーマが発表され、2020年8月31日まで作品の募集が行われています。2020年11月に最終プレゼンテーションと受賞式が予定されています。

 

●SDGs Design International Awards 2019概要

スケジュール
応募期間:2019年6月1日〜2019年10月31日
最終審査プレゼンテーション・授賞式:2020年3月14日
(※最終審査は無観客・オンラインにて実施)

募集テーマ
SDGsの10、13、14をもとに3つのテーマを設定
A:自然災害による被害の対策につながるデザイン
B:美しい海の豊かさを守るためのデザイン
C:国籍、民族、年齢を超えて多様な人が共生するためのデザイン

賞金
最優秀賞30万円ほか

 審査員
[審査員長]
平井 康之(九州大学大学院芸術工学研究院 教授)
[審査員]
Hua Dong(英国ラフバラー大学デザイン学 教授)
加藤 公敬(公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事)
Clare BrassDepartment 22ディレクター)
永井 一史( ()HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長)

主催: 九州大学大学院芸術工学研究院 SDGsデザインユニット/九州大学未来デザイン学センター
共催: 九州しあわせ共創ラボ(博報堂九州支社)
詳細はこちらSDGs Design International Awards 2019