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近況報告を兼ねて昨年の私の様子をまとめて見ました.
今年もよろしくお願い致します.
2006年の私の状況
高木英行 (九州大学大学院芸術工学研究院)
815-8540 福岡市南区塩原4丁目9-1
TEL & FAX <+81>92-553-4555
e-mail
URL http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~takagi/
研究室体制
2005年度は,卒研生1名,修士生5名,研究生1名,博士生1名の学生と,全期間ではありませんが最大でポストドク3名,テクニカル2名の陣容で研究室運営を行いました.
2006年度は,現在卒研希望者が3名,修士入学予定者が2名,博士後期課程受験予定者が2名おります.4月からの最終学生数はまだ未定ですが約10名の学生が属する予定です.また,ポストドクは3名の予定です.常駐ポストドクのおかげで学生へ良い刺激を与えられることや,教育主体の学生ゼミに対して純粋研究主体のポストドクゼミを行うことができるようになりました.
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研究活動
私がHumanized Computational Intelligenceと呼んでおります,
人間要素と計算知能の融合について注力しております.
インタラクティブ進化計算(IEC)は依然この研究方向における私の主要キーワードです.
ホームページのトップにインタラクティブ進化計算の
解説論文と解説スライドを用意しました.ご興味ある方はご覧ください.
大きなプロジェクトとしましては,
があります.COE研究の具体的取り組みが科研という位置付けの関係です.
この科研「対話型進化計算と生理的解析に基づくマルチメディア視聴者の情動制御に関する研究」の内容を分かりやすいことばで言えば,
「もっと感動を」「もっと安らぎを」などを実現するためにどうしたらよいか,を明らかにすることです.
映像や音を視聴した時に,感動したり,安らいだり,スリリングに感じたり,憂鬱になったりします.
これらの情動は生理反応に現れます.一番影響を与える因子は映画等のストーリ(文脈)でしょうが,
もっと感覚レベルで考えた場合,物理的信号が生理反応に影響を与えると言えるでしょう.
この生理反応に影響を与える物理的特徴量を抽出して両者の関係を明らかにし,
ターゲットの生理反応により近づくように制御することが研究の概要です.
後者に,生理的フィードバックに基づく拡張IECを利用します.
21世紀COEプロジェクトとしては,この科研とともに,博士課程学生のVR酔い対策システムの研究があります.
IECユーザの疲労軽減では,ユーザの評価特性を学習して評価特性モデルを作成することで,ユーザの評価値を予測し, 収束を高速化させる,すなわち,ユーザの評価を回数を少なくすることを目的として一連の研究をしております. IECにこの評価特性モデルを学習させてユーザ疲労軽減に利用しようにも,学習が終わるまではまったくの役に立ちません. そこで,たとえ本人の評価特性でなくて他人の評価特性であっても,何もしないよりは利用した方が役立つかもしれません. 他人の評価特性が似ている場合はそうでしょうし,似ていない場合はかえって悪影響があるでしょう. この評価をシミュレーションと実際の評価特性の分布を調べて,「自分の評価特性が学習できるまでは他人の評価特性を利用する」 というアイデアの有用性を評価しています.国内会議で2件報告しております.
MEMS設計支援へのIEC応用にも,このユーザの評価特性の学習という仕組みを導入しています. 現在,ニューラルネット(NN)による評価特性の学習と,ファジィシステム(FS)による評価特性表現を扱っています.この設計手法の枠組みは,MEMS設計は多目的最適化として自動化が可能な部分と,経験や知識などに基づく定量評価が難しいがためにIECを導入する部分から成り立っています.自動化部分の性能が上がればIECユーザの疲労が軽減できることになります.そこで,自動化部分の評価結果を補正する ユーザの評価特性の学習を導入し,この学習したNNやFSを自動化部分に組み込むことで,MEMSを設計するIECユーザの疲労を軽減する研究です.国際会議で2件報告しております.
2005年の研究室成果は,AI事典のIECの解説を1編,学術誌論文を2編,国際会議講演論文を5編,学会誌のための解説論文2編,国内会議6編でした.
また日本学術振興会サマープログラムの一環として,英国Cranfield大学の博士生 Alexandra Brintrapを2005年夏に2ヶ月受け入れ,部屋のレイアウト設計を題材にパラレルIECの研究を行いました. この手法を従来の多目的遺伝的アルゴリズム,その他の手法と比較し,その成果を,4月に欧州の進化計算の国際会議で発表予定です.
教育活動
2005年度授業では,知能情報学概論,ソフトウェアアーキテクチャ,データ・信号圧縮論,知能情報学特論(大学院), および大学院演習科目を担当した他,デザイン基礎II(芸情)と外書購読Bのお世話をしておりました.
2006年度は,デザイン基礎II(芸情)の担当を離れ,代わりに学術英語Aを担当致します.他の授業は同じです.
2006年3月には,スペインのUniversity CARLOS III of Madriで大学院生向けの講義を担当致します.
学会活動
2006-2007年の2年間,IEEE SMC Societyの副会長として学会全体の技術面の向上に尽力致します. 当面はTechnical Committee Cogitatorの職も継続しますが,その後は後任者に引き継ぐつもりです. また,同学会の IEEE Transactions on SMC, Part BのAssociate Editorの仕事は継続していきます.SMC2006の Special Session Chairとして企画セッションの収集と調整を行います.2005年10月にIEEEE SMC学会より,Best Associate Editor Awardを受賞致しました.
日本知能情報ファジィ学会(SOFT)関連では,評議委員を更に継続いたします(2005年6月~2007年6月).
2005年の主な学会活動は,WSTST2005(室蘭,5月),SMCia2005 (Helsinki, 6月),ICCI2005(Colombia共和国, 8月)で Plenary Talkを行ったほか,GECCO2005(Washington DC, 6月)でTutorial Talkを行いました.
プライベート
長女は大学3年生になります.次女は現在Missori州で高校生交換留学中で6月に帰国します.また高校1年生に戻ります. 妻はヨガと太極拳を続け,仕事依頼があればまた福岡市の小中学校で来日児童生徒への日本語教師を行うでしょう. 私は昨年夏にPET-CTで癌が見つかり年末に手術しました.PETのおかげで初期に発見でき,木曜日に手術し翌月曜日に退院という体への負担が少ない入院でした. 転移の心配はまずないであろうとのことです.ご安心ください.