音楽心理学への御招待1


中島 祥好

5 音階の話

ややこしい倍音の話に絡めて、音階の話をさせていただきます。この話もややこしいのですが、どうしても必要な事柄ですので、よろしくおつきあいください。ここでは「ドレミファソラシド」の長音階の話だけにいたします。Gの音の4倍音、5倍音、6倍音を、G、B、Dと呼ぶことができると言うことは、前回申しあげました。この考えかたに従うと、長三和音の基本形をなすG、B、Dと言う三つの音の周波数は、4:5:6と言う比率になるわけで、

 Gの周波数が 196x4 = 784 ヘルツ、であるとすると、
 Bの周波数は 196x5 = 980 ヘルツ、
 Dの周波数は 196x6 =1176 ヘルツ

となります。196 ヘルツという値は、基本音のGの周波数で、ヴァイオリンの一番低い開放弦に相当します。

 Gの周波数が一つ決まると、他のオクターブにあるGの周波数も自動的に決まります。周波数を2倍にすれば、1オクターブ上の音が得られ、周波数を半分にすれば、1オクターブ下の音が得られるからです。さらに、いまお話しした4:5:6の関係から、あらゆるオクターブのB、Dの周波数も決まってしまいます。ところで、C、E、Gも長三和音ですから、同じく4:5:6の周波数を持つはずです。Gの周波数が既に決まっているのですから、C、Eの周波数が決まります。D、F#、Aも長三和音で、Dの周波数が既に決まっていますから、今度はF#、Aの周波数が決まります。

「C、E、G」、   (周波数の比率は4:5:6)
        「G、B、D」、          (4:5:6)
            「D、F#、A」         (4:5:6)

と言う三つの長三和音を考えることによって、

  「G、A、B、C、D、E、F#」 (24 :27 :30 :32 :36 :40 :45)

と言うト長調の音階のメンバーが出揃い、それぞれの周波数が決まってしまいました。音階を作るには、音階を構成する音の周波数の関係についての規則、つまり「音律」が必要です。ここで紹介したのは「純正律」と言う音律です。階名でドに当たる音の周波数が決まれば、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの周波数が決まります。196 ヘルツの音がドであると決めると、一つの長音階が決まります。現代の楽器調律の状況に照らすと、このドの音にG(=ト)と言う音名を当てはめるのが適当ですから、ここでは「ト長調の純正律」が得られたことになります。
 倍音に現われる4:5:6と言う周波数の比率が、長三和音の基礎になり、長三和音が三つ揃えば、純正律の長音階が得られると言うわけです。

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