リズム知覚の基礎としての時間知覚に関する
精神物理学研究

中島 祥好

[introduction]
[聴覚とリズム]
[1. 時間分解能]
[2. リズムを生ずる時間間隔]
[3. 弁別]
[4. 尺度]


聴覚とリズム ( introduction より続く )

 人間の聴覚的コミュニケーションにおいて、時間構造の知覚は大変重要な役割を果たしている。話し言葉においては、音節の長短や、アクセントの位置などが、言葉の意味を左右するし、音楽においては、時間上のパターンであるリズムが、根本的な役割を果たしている。その他の聴覚コミュニケーション、例えばドアをノックする音や、拍手においても、音の時間構造の産出と知覚とが、大変重要である。一方、我々が聴覚によって環境を認知する場合にも、時間構造の知覚が重要な役割を果たすことがある。足音、鳥や虫の鳴き声、乗り物の走行音などを聴き取る場合が、その例である。聴覚心理学を研究するにあたり、時間知覚について相当の関心を払う必要のあることが解る。しかし、現実に聴覚心理学の教科書などにおいて、時間知覚ないしリズム知覚に関してある程度のスペースが割かれるようになったのはつい最近のことである(寺西、Moore、Handel)。以下に、これまでの研究の流れにおいて問題となっている点を、本研究の目的に即して、整理しておく。

(続く)


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