〜聴覚デモンストレーション〜
2nd Edition
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このデモンストレーションでは、長い上昇するグライド音と短い下降するグライド音とが交差する。上昇する音の長さは 2500 ms で、422 Hz から2371 Hz まで変化する。下降する音の長さは 500 ms で、1189 Hz から 841 Hz まで変化する。2 つのグライド音は 中心部分 (1000 Hz) で交差し、グライド音の傾きは毎秒およそ 1 オクターブである。音の立ち上がりと立ち下がりは、長い上昇音の立ち上がり時間、立ち下がり時間はともに 500 ms、短いグライド音の立ち上がり時間、立ち下がり時間は、ともに 10 ms である。 変化速度の等しい2つの周波数成分が交差するようなパターンにおいては、「上昇した後下降する低い音」と「下降した後上昇する高い音」が知覚される「跳ね返り知覚」が生じやすいとされてきた。しかし、このパターンでは、上昇音と下降音が交差して知覚されることが多い。また、長い上昇するグライド音は、交差部周辺では、周波数の動きが変化しているように知覚されることが多い。
Halpern, L. (1977).
The effect of harmonic ratio relationships on auditory stream
segregation. Unpublished research report, Psychology Department,
McGill University.
このデモンストレーションは、<1>のデモンストレーションとほとんど同じである。異なる点は、短い下降音の時間的中央に、100 ms の空隙が存在するところである。このパターンはたいてい、刺激パターンどおりの知覚が得られる。
このデモンストレーションでは、3つの音が提示される。最初は、立ち上がり時間、立ち下がり時間がともに 10 ms で、1189 Hz から 841 Hz まで 500 ms かけて下降する短いグライド音が提示される。この音は、連続しているように知覚される。次に、立ち上がり時間、立ち下がり時間がともに 500 ms で 422 Hz から 2371 Hz まで上昇し、その時間的中央に 100 ms の空隙を持つ、長いグライド音が提示される。最後に、1番目と2番目の音を組み合わせたものが提示される。この2つの音は交差しているように知覚されるが、物理的には長いグライド音の方に存在する空隙が、短いグライド音の時間的中央部分に存在するかのように知覚される。デモンストレーション<2>の刺激パターンとこの刺激パターンとでは、物理的な空隙の位置が異なるにもかかわらず、知覚される刺激パターンが類似している。
Yoshitaka Nakajima, Takayuki Sasaki, Kyoko Kanafuka, Atsuko Miyamoto,
Ger Remijn, & Gert ten Hoopen (2000) .
Illusory Recouplings of Onsets and Terminations of Glide Tone Components. Perception
and Psychophysics, 62 (7), 1413-1425.
デモンストレーション<1>と同様の特徴を持つ2つの交差するグライド音が呈示される。長い上昇するグライド音、短い下降するグライド音ともに、2つのグライド音が交差する時間的中心部分に 50 ms の空隙を持つ。では、長い音と短い下降音が両方とも、交差部で 50 ms の空隙をもつ。しかし、長い上昇するグライド音は比較的連続しているように知覚され、短い下降するグライド音は、その時間的中心部分に空隙が知覚される。
このデモンストレーションでは、3つの上昇するグライド音が、その時間的中心部分に同じ 40 ms の空隙を持つ。2つの短い上昇音と1つの長い上昇音のそれぞれの時間的中央部に 40 ms の空隙があるパターンが提示される。全ての上昇音に空隙があるにも関わらず、2つの短いグライド音に対してのみ、空隙が明確に知覚され、長いグライド音は比較的連続しているように知覚される。短いグライド音を取り除くと、長いグライド音の空隙が明確に知覚されるようになる。
このデモンストレーションにおける刺激パターンは、2つの周波数成分が交差する部分で逆位相であるということ以外、デモンストレーション<1>と同様である。2つの周波数成分間で干渉が生じ、交差部で約 40 ms の空隙ができる。この空隙は2つの周波数成分両方に存在するものであるが、短いグライド音のほうに空隙が存在するように知覚され、長いグライド音は比較的連続しているように知覚される。
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