Demonstrations of Auditory Illusions and Tricks

〜聴覚デモンストレーション〜
2nd Edition

Contents Introduction Chapter 1 Chapter 2 Chapter 3 Chapter 4
Chapter 5 Chapter 6 References Archives Demo Index Top Page


U 分離音現象


back play forward
<7> 2成分の周波数変化の方向が逆である場合

 このデモンストレーションにおいては、500 Hz から1000 Hz まで、1000 ms かけて上昇する成分と、800 Hz から 400 Hz まで 1000 ms かけて下降する成分が、200 ms の時間的重なりを持ち、全体としての長さが 1800 ms になるような刺激パターンが呈示される。また、それぞれの音の立ち上がりの時間、立ち下がりの時間はともに 10 ms である。このパターンでは、上昇して下降する長い音と、その時間的な中央付近で、短い音(分離音)とが知覚される。

Fig.07


back play forward
<8> 2成分の周波数変化の方向が同じである場合

 この刺激パターンでは、連続した2つの周波数成分が、短い時間的な重なりを持って呈示される。 1番目のグライド音の長さは 1000 ms で、230 Hz から 920 Hz まで上昇する。2つ目のグライド音の長さも 1000 ms で、1080 Hz から 4320 Hz まで上昇する。 2つのグライド音の時間的重なりは 200 ms でこの刺激パターンの全体の長さは 1800 ms である。グライド音の立ち上がりの時間、立ち下がりの時間はともに 10 ms である。このパターンでは、時間的中央部分に、物理的には存在しない短い音(分離音)が知覚されることが多い。また、この分離音とともに、全体の長さと同じ長さの長い上昇音が知覚されることもある。この長い上昇音については、おそらく2つの上昇音がつながって1つの上昇音として知覚されているのであろう。

Remijn, G., Nakajima, Y., & ten Hoopen, G. (in preparation).  
The split-off effect and the perception of auditory continuity.

Fig.08


back forward
<9> 2成分の周波数変化が物理的に跳ね返っている場合

 このデモンストレーションの刺激パターンは、デモンストレーション<1>の刺激パターンを、高いほうの周波数成分と低いほうの周波数成分とに分離し、それらを時間的、周波数的にシフトさせることによって作られる。低いほうの周波数成分は、 1300 ms の間に 380 Hz から 933 Hz まで上昇した後すぐに、100 ms の間に 933 Hz から 871 Hz まで下降するといった軌道を動く。高いほうの周波数成分は、1番目の音 (低い周波数成分) が始まってから 1100 ms 後に始まり、100 ms の間に 1148 Hz から 1072 Hz まで下降した後すぐに、1072 Hz から 2630 Hz まで上昇するようなグライド音から成る。この2成分は、周波数が跳ね返る部分において100 msの時間的なずれと、0.2オクターブの周波数の隔たりを持っている。音の立ち上がり時間、立ち下がり時間については、低い成分音では、立ち上がり時間が500 ms、立ち下がり時間が10 msで、高い成分音では、立ち上がり時間が10 ms、立ち下がり時間が500 msである。このパターンでは、長い連続的な上昇音と短い連続的な下降音とが知覚されることが多い。つまり、物理的には2つの成分が「跳ね返っている」のであるが、知覚上は2つの成分が「交差している」ように聞こえるようである。一般的に、物理的に交差する2つの音は「跳ね返って」知覚されることが多いが、このパターンはその逆の例である。刺激パターン (b), (c) では、跳ね返る2つの周波数成分が別々に呈示される。

Fig.09a Fig.09b Fig.09c

play play play


back forward
<10> 繰り返し生じる分離音現象

 分離音現象は、単独で呈示するよりも連続で呈示した方がより安定して生ずるため、ここでは、さまざまな分離音現象を、連続で呈示することによって示す。パターン(a)では、500 Hzから2000Hzまで1200 msかけて上昇する成分と1500 Hzから375 Hzまで1200 msかけて下降する成分が、交互に200 msの時間的重なりをもって繰り返し呈示されている。このパターンでは、連続して上昇したり下降したりを繰り返す長い音と、短い高い音、低い音とが交互に知覚される。パターン (b) における周波数上昇部では、600 ms の長さを持ち、500 Hz から 1000 Hz まで上昇する成分と、同じ長さを持つ 1000 Hzから2000 Hzまで上昇する成分とが、200 msの時間的重なりを持つ。この周波数上昇部の直後に、その上昇部の時間的な鏡像となる下降成分が続く。このパターンでは、連続して上昇したり下降したりを繰り返す連続した長い音と、そのそれぞれの折り返し部分で、短い高い音、低い音とが交互に知覚される。

Fig.10-1
play

Fig.10-2
play


back play forward
<11> 繰り返し生じる分離音現象に、成分音を加えた場合

 分離音現象のパターンでは、結合音が生じる可能性があるため、その結合音をマスクするために、<10b>のデモンストレーションに、マスカーとなるグライド音を加えた。単純化するために、成分音の周波数の関係を<10b>とはわずかに変えている。

Sasaki, T. & Nakajima, Y. (1996).
An illusory reconstruction of auditory elements.   Journal of the Acoustical Society of America, 100, 4, 2751.

Fig.11

 

 

 

Contents Introduction Chapter 1 Chapter 2 Chapter 3 Chapter 4
Chapter 5 Chapter 6 References Archives Demo Index Top Page