KYUSHU UNIVERSITY

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教官紹介

中島祥好 NAKAJIMA Yoshitaka

生】昭和29年11月兵庫県生

専】知覚心理学,リズムとメロディーの認知

授】聴覚心理学,知覚心理学,音楽心理学,聴能形成II

卒】昭和53年3月東京大学文学部卒業

会】日本音響学会,日本心理学会,音楽学会

歴】昭和54年5月大阪大学教養部助手,
→ 昭和59年1月九州芸術工科大学助手,
→ 平成 4年2月九州芸術工科大学助教授
→ 平成 12年4月九州芸術工科大学教授

中島祥好研究室の研究テーマ】

 学内の学生諸君には、研究室配属などの参考にしていただくために、学外の方には
、研究室の様子を知っていただくために、当研究室において用意している研究テーマ
を公開いたします。当研究室の指導教官は中島です。学生に対する指導のあらましを
述べると、研究方針についての討論を重視し、質問を受けたときには考える素材とな
る材料をなるべく多く提供するように心がけています。外部との交流を重視し、日頃
から本学の白石君男助教授、上田和夫助教授、ならびに宮城学院女子大学の佐々木隆
之教授と頻繁に連絡を取りあっています。また、夏には白石研、上田研、および京都
市立芸術大学の大串健吾研究室、同志社大学の柳田益造研究室との合同合宿をする習
慣があります。
 卒研生、修研生は、音と人間との関係についての基礎研究であれば、何を行っても
かまいません。応用研究であっても、基礎研究に刺激を与えるものであれば、大いに
歓迎いたします。卒研に関しては学会、研究会で発表できる程度の水準を求め、修研
に関しては学術雑誌に発表できる程度の水準を求めます。研究テーマを選ぶにあたっ
ては、与えられた期間に成果をあげることができるか慎重に考える必要があります。
実際の研究は、判っていない事柄を対象にするわけですから、学生実験のように、間
違いなくやれば必ず結果が出るというわけにはゆきません。従って、研究対象を慎重
に絞りこむ必要があります。その際の参考として、以下にいくつかの研究テーマを示
します。
 
 1.言語コミュニケーションの聴覚的基礎

 ヒトの聴覚システムは、言語コミュニケーションの能力とともに進化したものです
から、世界中の言語には共通点があるはずです。注目すべきことの一つは、全ての言
語に音節という単位が存在し、殆どの場合音節には母音が含まれるということです。
このようなことがなぜ起こるのかを知るには、さまざまな言語の音節を分析すること
と、合成されたさまざまな音節を用いて聴取実験を行うこととが必要です。また、音
声に様々な変形を施して聴取実験を行うことも有効でしょう。
 さまざまな言語の(音韻ではなく)音節を、言語学、音響学の双方の観点から分析
することは、意外にも体系的に行われておらず、環境の整った本学で行うことに意義
があるのではないかと思います。手始めとしては、我々になじみのある英語、ドイツ
語を含む西ゲルマン語や、フランス語、スペイン語を含むロマンス語、あるいは方言
の多い中国語に取り組むのが手堅いでしょう。一番なじみの深い日本語の方言にとり
組むことも面白いと思いますが、これは色々な意味で少し大変です。さまざまな言語
において、音節という単位がどのように定まるのかについて考察を進めたいと考えて
います。
 母音や子音がどのように知覚されるのかは、複雑な問題です。特に、子音に関して
は、観測された音の波形のどの部分がどの子音に聴こえるのか、単純に対応関係を付
けるわけにはゆきません。知覚心理学においては、問題点を端的に示す現象に着目し
、まずその現象について徹底的に調べるというのが常套手段ですが、ここでもそれを
試みます。2つの長い母音に挟まれた子音が、条件によっては、同時に示される短い
母音の真中に乗り移ったかのように知覚される現象を、当研究室では発見しています
。この現象は、子音の知覚が、数百ミリ秒にわたる前後の文脈に左右される場合があ
ることを示しています。様々な母音と子音との組みあわせを用いて、この現象につい
て調べることにより、子音の特徴を明らかにしようと考えています。新しい知覚現象
を、いわば子音の知覚について調べるための実験装置として用いようと言うわけです。
 我々が音声を知覚する際に何が手がかりになっているかを知るために、基本的な知
覚実験を積み重ねることは、目立たないかもしれませんが、人間のコミュニケーショ
ンについて考えるうえでは欠かせない作業です。当研究室では日本語音声のリズムを
特徴づける、促音や撥音に注目し、合成音声の一部を空白や雑音などに置き換えるよ
うな操作を施したときに、どのような聴こえが生ずるかについて、実験を重ねていま
す。

 2.聴覚における体制化

 知覚や記憶に際して、対象が主観的なまとまりをなすことを「体制化」と呼びます
。体制化という働きがなければ、我々は、音の洪水、光の洪水に取り囲まれるだけと
なり、環境から意味のある情報を得ることはできません。聴覚に関しては、体制化の
研究に必要となる複雑な音刺激を作成することが、1970 年くらいまでは難しかった
ため、初歩的な授業で扱うような聴覚心理学の内容は、音の大きさ、音の高さ、音色
を中心とする、音響学の延長とも呼びうる部分が中心を占めています。もちろんこれ
も、音と付きあう上で欠かせない知識であり、当研究室においても関連する研究を行
っていますが、それだけでは、聴覚心理学が心理学の他の分野と結びつくような総合
的な知識となることはできません。具体的に言うならば、音脈やリズムに関する認識
を持たずに、音の高さや音韻の知覚に関していくら精密に調べても、メロディーや単
語がどのように聴きとられるのかについて、理解を深めることはできません。
 当研究室では、20 年近くにわたり、時間知覚、およびリズム知覚の研究を続けて
います。この分野では、実験にもデータ分析にも時間がかかるので、世界的規模での
ネットワークに参加し情報交換や共同研究を行うような体制を築くことが重要です。
もちろん、これは世界の潮流を追いかけるということではなく、潮流を共に創るとい
うことです。長年研究を続けたおかげで、このような環境を実現しているのが、当研
究室の強みです。もともとは、音楽演奏のリズムをコンピューターを用いて合成しよ
うとの「野心」から始めた研究でしたが、次第に単純なパターンを実験に用いるよう
になり、「時間縮小錯覚」を発見してからは、この錯覚現象の分析に多くの時間を割
くようになりました。しかし、音楽のリズムも大変面白い研究対象ですので、興味の
ある学生がいるならばまた取りあげてみたいと考えています。
 音脈に関しては、1980 年台の終わり近くに無限音階の現象を説明するために「動
的ピッチ」の概念を提出したことから関心を持ちはじめたので、かなり出遅れた感が
あります。その後、複合音の周波数成分が、同じように周波数変調されているとき、
音全体の知覚的統合が促進されるかどうかという問題にとり組みました。この問題は
見かけの割に難しいことで知られており、研究室においても苦労が絶えませんが、か
なりいい線にまでこぎつけました。音脈そのものに関しては、「空隙転移錯覚」、「
分離音現象」などの現象を発見したおかげで、一気に研究が進みました。音事象より
もさらに小さい知覚上の単位である「音要素」の概念を導入することにより、音脈形
成を制約するような一種の文法を構築できるのではないかと気付き、現在その作業を
進めているところです。

 3.現象学と精神物理学との対応関係

 知覚システムがどのように働いているかを直観的に理解するために、現象学的な手
法が使われることがよくあります(現象学という用語は、哲学用語でもありますが、
ここでは心理学用語として用います。)。例えば、知覚心理学に関連する大学の授業
において、受講者に種々のデモンストレーションを体験してもらい、知覚内容から視
覚や聴覚の仕組みについての考察を進めるというのは、常套手段と言ってもよいでし
ょう。ところが、今日の実験心理学は基本的に自然科学と同じ立場を取っており、個
人の体験について雑談風に語ることは勝手ですが、体験そのものを正式のデータとす
ることは許されません。知覚研究に関しては、体系的に選ばれた刺激に対して実験参
加者が単純な応答のみを行うようなかたちでデータが集められ、統計学的に処理され
て、初めて国際的に認められた学術雑誌に論文として発表することができます。つま
り、公式には精神物理学的なデータがどうしても必要です。この慣習には無理があり
ます。知覚心理学の歴史に残る可能性の高い業績が、鮮やかなデモンストレーション
の形で伝えられ、そのデモンストレーションがヒントになってその後の研究が進展す
ることはよくあるからです。つまり、様々なデモンストレーションに対する現象観察
は、現実に知覚心理学を動かしているのです。結局、現象学と精神物理学とのあいだ
に、データの上での対応をつけることが重要ではないかと思うのですが、このことの
重要性はあまり認識されていないようです。少なくとも、そのために何かをしようと
の試みは、あまりなされていません。当研究室では、二つの話題を用意しています。
 まず、現象学的なデータを統計学的にとり扱うにはどのようにすればよいかを考察
することを計画しています。これには、知覚内容の質的な変化を、量的な変化として
表すことができる見込みをつけやすいような題材を選ぶことが肝腎でしょうから、研
究室においてデータを充分に蓄積しているリズム知覚の分野が適当ではないかと考え
ています。それ以外に、音色知覚、運動視、色彩知覚などの分野が考えられますが、
残念ながら音響設計学科の卒業論文として認められるのは、音が関わるような実験だ
けです。大学院では、視覚などの感覚様相を取りあげることも可能です。
 次に、各種の弁別実験のデータを集め、知覚内容と関連付けることが可能であるか
どうかを検討します。これは、カテゴリー知覚に関する研究でよく行われることです
が、自分たちが発見に関わった各種の錯覚現象を用いて研究を進めようと考えていま
す。一方、弁別実験に関しては、「ウェーバーの法則」という古典的な法則が知られ
ており、これを修正して現実のデータに当てはめることにより、隠された知覚の仕組
みを探ろうとの試みが、多くの研究者によってなされています。このような研究を、
現象学的な考察をも踏まえつつ行うことを計画しています。幸い、音響設計学科の学
生諸君になじみのある、音の大きさや音の高さに関しては、模範的と言ってよいよう
なデータが何十年にわたって蓄積されていますから、それを手がかりにすればよいと
思います。

業〔カルマ〕】A model of empty duration perception, Perception, 1987, 16
  Time-shrinking: A discontinuity in the perception of auditory temporal patterns,
    Perception & Psychophysics, 1992, 51

顔】 その1 その2 その3 その4
その5 その6 その7 その8
その9 その10 その11 その12
その13 その14 準備中 準備中

声】 準備中1 準備中2 , 準備中3

酒】いかなる種類のアルコール刺激に対しても馴化している.
高濃度でなければアルコールを検知しない(ワインは水).

我】準備中