MS Formsの回答データをExcelで扱うときの注意点

Microsoft Formsは、アンケートの回答データをExcelファイルに自動で同期してくれます。便利なのですが、同期仕様がややこしいのでまとめました。

MS Formsの同期は「転記」

アンケートを作成してからExcelに回答データが同期されるまでのフローは以下のとおりです。
  1. ユーザー(あなた)がアンケートをFormsで作成し、URLを配布する
  2. 回答者が回答してくれる
  3. Forms本体に回答データが記録される
  4. ユーザー(あなた)がExcelファイルを開く
  5. このときExcelファイルがOneDrive上に勝手に作成され、Formsの同期先に指定される
  6. これまでにForms本体に記録されていた回答データが全てExcelに転記される
  7. その後、また誰かが回答してくれる
  8. Forms本体に回答データが記録される
  9. Excelを開いているあいだ、都度転記される(以降7-9が繰り返される)
主要な所だけ抜き出すと以下の図のようになります。回答が送信されたらまず①Formsに記録され、つづいて②Excelに転記されるという流れです。 Microsoft Formsの同期仕様の概念図 一方で、ユーザーが持つメンタルモデルは以下のようになると想像されます。
「ExcelとForms本体の記録は常に相互に同期され、両者は可能な限り同じデータを持つ」
しかし実際の挙動は異なり、下記にようになります appendとはプログラミングでよく使用される言葉で、「お尻に追加する」という意味です。FormsとExcelの同期は、Forms→Excelへの一方通行のappendだけであるというのが正しい理解になります。 ユーザーが持つであろうメンタルモデル メンタルモデルのずれによって混乱が生じるシーンは、たとえば不要な回答データを削除しようとしたときです。
不要な回答データをFormsからもExcelからも消し去りたいときは、両方の回答データをそれぞれで削除する必要があります。ちなみにForms本体のデータを削除するときは、「応答を表示」から「すべての回答を削除」を実行します。 Formsの「すべての回答を削除」と「切断して新しいブックに同期する」

切断して新しいブックに同期する

「切断して新しいブックに同期する」を実行すると、Formsがこれまで同期先に指定していたExcelファイルを放棄し、新しいExcelファイルをOneDriveに作り直してそいつを同期先指定し直すという処理が走ります。具体的には つまり、Excelでうっかり回答データを編集してしまっても、「切断して新しいブックに同期する」を実行することでデータを復旧することができます。元のExcelファイルもOneDriveに残るので、「切断して新しいブックに同期する」は取り返しのつく操作です。一方「すべての回答を削除」を実行するときは注意してください、すべての回答データがExcelに転記済みであれば復旧も可能ですが、そのExcelを編集/削除してしまっていたら取り返しがつきません。

このページで言及していないこと

Formsで質問項目をあとから編集すると、Excel側に列が追加されたり、列のヘッダが変更されたりします。このあたりの仕様についてはここでは言及していませんが、アンケートのURLを配布したはじめた後はアンケート項目を編集しないのが賢明です。
Formsが勝手に作成してくれるExcelファイルのファイル名は、ファイル作成時点のアンケートのタイトルと同じになります。このあたりの細かい仕様についても言及していませんが、基本的にはあまり気にしなくて良いでしょう。