「理解しやすいピクトグラムのグラフィックエレメント ー 一般青年前期群と成人知的障害者群の比較から」
工藤真生
(抄録) 本研究は,国際標準化機構案内用図記号理解度調査ISO9186-1 の対象外の属性である,一般青年前期(13~14 歳)と成人知的障害者を対象に,わかりやすいピクトグラムのグラフィックエレメントを検討することを目的とし,20 対のピクトグラムを調査した。結果,両者に理解されやすいグラフィックエレメントとして,①場所を象徴する人物,行動を表す人物, ②場所の要素,③実生活の用途に即したアイテムの方向,④モーションライン,⑤「矢印」は矢羽の幅に対し2倍の軸の長さ,が該当した。しかし,両者の結果が全て共通したわけではなく、違いが見られた。特にJIS が有意にわかりやすい項目において、成人知的障害者群と,一般青年前期では違いがあった。両者に違いがある要因として,メタファーが示す意味の読み取りやシンメトリー形態の視覚認知,象形文字から表意文字を汲み取ることの違いを考察した。またピクトグラムを利用する人の,生活行動や教育が異なることの影響も推察された。利用する人それぞれの生活行動や教育に即した、多様性を包摂するピクトグラムのあり方が求められる。
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