改革のための改革ではなく、今あるものを(予算と時間と人間)をどう使うかを熟慮する方向で。日本の教育システム最大の欠陥は、融通性の欠如である。現状をよく研究して、柔軟に対応できるシステム。現場から中央へ情報を還元し、集約するシステム作りが必要。この提案は特に問題が深刻化している、中学校教育を中心に考えている。また青年海外協力隊活動から帰国してから、教育現場にかかわった経験から、学生は「実感」のともなった知識を求めていることを痛感した。実感の伴った知識や(これも全体の一断面にすぎないことを自覚していなければならないが)、既存システムの批判的・客観的に再構築する力を養う教育の必要性を内外に訴えていくつもりである。
しかし、これを「開発」教育と呼ぶ風潮には抵抗を感じている。・Interactive Education of Culture (文化における相互教育)という意味をこめて「インターカルチャー教育」・Sentient Net Education (感性的ネットワーク教育)など、新しい名前を考えてほしい。あたらしい名前は、新しい概念を連れてくるものだ。
(具体的提案・7項目)
建築業界における公的事業、むやみな開発への方向性を、教育機関の改築へと転換すること。(この際、省ごとの予算の移管という問題を解決しなければならない) 才能ある建築家の独創的な発想が活かせる場は、制約が多い住居空間よりは、こういった公共空間の創造にある。
教育を価値付け、評価付けの一点張りから、現実をよく見、思考を再構築する機会を与える場に移行すること。将来的に知性は、カリキュラム化によって分断された知識の相関関係をとりもどす方向に進まなければならない。まず青少年期は自分を取り巻く現実を把握し、学んだ知識を結びつけ、自分の見方を確立させる努力が必要。その礎なくして、自分の見方を反省し、批判的に考察するのは困難である。 →BACK(lecture目次)