「自分がいる場所」ワークショップ 

(知足院美加子)>Buck


本ワークショップは、場と自分との精神的繋がりを見いだすことを目的とする。
その土地の空間や時間軸の中で、今の自分がどこに立っているのか再確認してもらう。ワークショップ参加者は、その農地に携わる方や地域の人々を対象とする。
九州大学農学部実験農場に寄贈済みの木彫(知足院美加子作)を10×10cm程度の不定形な立方体に分割。
木彫をわざわざ使用する狙いは、一年間無意識のうちに鑑賞していた作品が、参加者それぞれの手を加えることによって「場」に繋がることを強烈に意識させるためである。
 
 上面を今の自分、東面を未来の自分、西面を過去の自分、北面を(親を含む)先祖との繋がり、南面を次世代との繋がりとする。
それぞれをちがう色面で着色、模様などを描く。
着彩には耐水性のあるアクリル絵の具を使い、できれば表面にFRP樹脂を吹き付けておく。
立方体の底部には径10mmの鉄棒を差し込む穴をあける。
その穴に「自分がその土地に関わった契機や、土地への思い」を記した『場への手紙』を挿入しておく。
 
 立方体に鉄棒を差し込み、農道脇に設置する。
その際、土地の方位とオブジェの方位をあわせる。
農地の四隅に設置してもよい。(参加者の合意によって)
 古代より食べ物を生み出す農地は信仰の対象であり、信仰対象となる偶像等が角に設置されることもあった。
農地の脇または四隅に、自分の思いをこめたものが設置されていることで、見慣れた土地に特別な意味が生じるという効果を期待する。

 木彫解体後の余った材は、できれば燃やす。
その灰を土地に戻す。
また、作品群も数年後に土地に埋める。
人間が創り出したものは、最終的に土に帰さなければならない。
作品が埋め込まれた土地は、その参加者の心といつまでも繋がることだろう。
>Buck