Rodrigo


 
 1990-1992年まで、私は青年海外協力隊・美術教師(Casa del Artista美術学校 )としてコスタリカ共和国に赴任していました。コスタリカは永世中立国で、教育や医療費の大部分を国が保障しています。この美術学校も年齢制限がなく無償で学ぶことができました。最初の頃、基礎造形や子供のおもちゃ作りの授業をもつことはできましたが、私の専門である彫刻の授業は開設できなかったのです(女性の私が彫刻を作れると思われず)。ある日テレビをみていると、コーヒーの木で民芸品を作るロドリゴさんが紹介されていました。町の名前(Alajuela)だけを頼りにRodrigoさんを探しました。本当によい方で、「工房の片隅を貸してあげよう。ここで自由に作品をつくっていいですよ」と言ってくださったのでした。それから、週末はロドリゴさんの工房に通い、制作するようになりました。「もし何かを創造するなら、その人にも神の創造のキャパシティがあるということなんだよ」  と敬虔なクリスチャンの彼は話してくれました。そこで制作した作品《Casa Blanca》(→リンク)が認められ、私は彫刻の授業を立ち上げ、担当できるようになったのでした。帰国後、筑波大学院に進学した私は、ロドリゴさんへの感謝をこめて、彼の肖像彫刻を作りました。慣れない環境で苦しい時、多くの励ましをもらいました。

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