Home完成作品「エルフの木」

「エルフ」制作風景2

絵本「かたあしだちょうのエルフ」のイメージ木で作ります。「山古志の角突」を制作した樟の残り1/3を胴体と首に、細い樟をふたつに割って脚に用います。 秋月ダチョウファームに取材にいきます。農業用の温室に、たくさんのダチョウが飼育されていました。体の大きな種の雄が一匹いて、すごい面構え。目が合った瞬間、エルフのイメージが明確になりました。

絵本の中で、エルフが背中に動物の子供をのせて助けるシーンがあります。背中を大きく、骨の構造に注意しながら作ります。 脚をつけるようのほぞを、おおまかに作ります。ダチョウの脚は内側に傾斜しているので、その微妙な角度づけが難しいです。
脚と首の制作を同時に進めます。首の木目が悪く、毛羽だって苦労しました。 脚の組み立て具合を確かめます。原寸合わせで、何度もやり直します。制作していると、いつも応援してくださる流体力学の先生が、高村光太郎の駝鳥の詩を紹介してくださいました。彫刻家光太郎の言葉は構造が強く、本質的です。とても感じ入るものがありました。→高村光太郎「ぼろぼろな駝鳥」
首をつけるためのダボ穴をつくっています。治具がなければ垂直に入りません。首の節目の修正もします。 胴体にも、首のほぞ穴をつけます。仮合わせをすると、首が太くジャイアントモア(絶滅種)のようなので、彫り直しです。
全体をあわせてみます。自重だけでバッチリ立った時は、うれし涙がにじみました。内刳りしなくてよかったです。念のため、台座にほぞをあけ、脚を固定することにしました。 ほぞが曲線なので、あわせるのが大変です。なんどもカンナと木ヤスリをかけます。クレーンで胴体をのせ、組み合わせていきます。
脚の接合部分にドリル穴をあけ、径30mmの丸棒をいれます。砥の粉と日本画顔料、膠をまぜ着色しました。 余分な砥の粉を落とす作業を子供たちも交えて行いました。被災された人々への祈りをこめます。最後にワットコーオイルを塗り、磨き上げます。

→完成作品「エルフの木」

完成です。今回は物流の関係で国展に出品できるかわかりませんが、被災地の方々へ心からのエールをこめて完成させました。

2011.3.17 九州大学 知足美加子

(おまけ)1/20模型

展示会場のレイアウト考案のためのマケットです。半日でできました。この20倍の大きさになったら、半年かかるのですが。

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