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講演会「未来につづく道」
第3回 波平 恵美子  文化人類学者
「農と命に関する文化人類学的考察」
大地、生命、農業と芸術の融合による教育プログラム
(九州大学現代GPの一環として)現代GPホームページ

→テープ起こし 講演会案内 →講演のコメント →ちらし(表) (裏)  

参加者の感想より
 

参加総数 35名 (うち回答者数16名)

満足

13人

80%

やや満足

2人

15%

普通

1人

5%

やや不満

0人

0%

不満

0人

0%

 

■講演会感想

農業と生命観の関係性について、すっきりと理解できたように思いました。とはいえ農業はおろか土に触れることすらしてこなかった私には理解しようにもできないことも痛感しました。文化の源である土に戻っていくことは人間にとって当然のことかもしれません。波平先生のお話を聞きながら全身全霊でいのちのサイクルをこの身にしみ込ませながら生きてみたい、そう思いました。(九州大学学生)

農業をあえて壊してきたのは政府であったことを知り、残念な思いです。伝統的、創造的、計画的な農業の復活を願います。クン族のお話にロマンを感じました。(40代、女性)

「先のことを予測して今やることを考える」ということは当たり前だと思っていたので、それが農業から人類が得た考え方だということを知り、大変驚きました。今日は認識、世界観が変わる興味深いお話ばかりでした。祖父が農業に従事しているので、農業問題は他人事とは思えません。山桜を植える人の話が心に残りました。(芸術工学部学生)

日本の農業が日本人の文化、考え方、生き方などの与えてきたものの大きさを感じた。逆に農業が日本人の生活の中心ではなくなったので、日本人に合わない生活に変化してしまったのかもしれない。食や自然、命に対する意識も変わってしまったのかもしれない。それほど日本人と農業の関わりは深かった、そして今でも深いはずだと思う。種が教えてくれる循環という言葉が印象に残った。(九州大学芸術工学府学生)

人は人と一緒にいないと寂しいものだと観念的に思っていましたが、マウント・ガーデンの話を聞いて、世界観が変化しました。死と再生、生命観など、自分と自分の周りの存在を農業から改めて考え直しました。これから農業に深く関わるわけではありませんが、今日のお話を聞いて、料理や食事をする時に考えることが少し変わりそうです。(芸術工学部学生)

農によって生命観が変わった、あるいはたらし込まれたという発送は目から鱗でした。「アニマル・メイト」「山桜を植える人」が印象に残りました。(40代、女性)

コリンタッジの本から農業の負の面をたらし込まれておりましたが、脳が洗われました(30代、男性)

農業問題でぼんやり感じていたことが明確になった。食は生きる基本であり人の全てを司る、と強く感じた(50代男性)

農業には大きな変化が起こっていることがわかった。「農業」を知ることで「いのちの大切さ」を知ることができるという意味が少しわかった気がする。もっと深く農業について知りたいと思った(芸術情報設計学科学生)

経済の基にあるのは農業だという考え方が理解しやすくなった。人の思考を変えることができるほどの大きな力を、農業に感じた。自分の専門分野に関する考え方が少し変わった気がする。(芸術情報設計学科学生)

現在の農業が以前と比べいかに土と離れてきているか、循環していないかについて気づかされた。原点の農業に戻らなければならないと感じた。(芸術情報設計学科学生)

農業から生命がみえることに、今まで気づかなかった。すばらしい観点を与えてもらった。(九州大学工学部学生)

工業化が人をせわしなくさせたと思っていましたが、農業がそうさせたというお話にはびっくりしました。今までの様々な経験とリンクするところがあり、もっと突き詰めて知りたいと思いました。(30代、女性)

農林と人間の考えが繋がっている、という観点になるほどと思いました。マウント・ハーゲンの女性は美しく格好いいと思います。土と対話というのは何だか切ない気もしますが、そんな女性になれたら素敵です。(芸術情報設計学科学生)

農業のことをあまり知らなかったけれど、人にとってとても大切な農業のことをもっと知りたくなりました。今日聞いたお話をこれからの自分に役立てたいです。(20代、女性)

 

 

10月24日18:30〜

波平 恵美子(なみひら えみこ)

1942年、福岡県生まれ。元・日本民族学会(現・日本文化人類学会)会長。お茶の水女子大学名誉教授。文化人類学専攻。九州大学教育学部卒業。テキサス大学大学院人類学研究科(1977年、Pf.D取得)。九州大学大学院博士課程単位取得満期退学。佐賀大学助教授、九州芸術工科大学(現・九州大学)教授、お茶の水女子大学教授を歴任。

日本文化論(日本民俗学)における「ハレ・ケ・ケガレ」という三項対置の概念を示した。主な著書に『病気と治療の文化人類学』(海潮社)『ケガレの構造』(青土社)『脳死、臓器移植、がん告知』(ベネッセ)『病と死の文化』『日本人の死のかたち』(朝日選書)『いのちの文化人類学』(新潮選書)『暮らしの中の文化人類学(平成版)』(出窓社)、編著に教科書として評価の高い『文化人類学』(医学書院)がある。

 

九州大学は、地域の人々と関わり風土を慈しむ心を養う学生教育プログラムを始めました。自分が生きる土地のものを食べる「地産地消」は、単に健康のためだけではありません。温暖化や世界貧困などの社会問題に深く関わっているのです。「地産地消」につながる世界的社会問題や文化的背景について学び、未来につづく道を共に探しましょう。

現代GP(Good Practice)とは、優れた大学教育プログラムを支援する制度です。九州大学・現代GP「地域環境、農業活用による大学教育の活性化(大地、生命、農業と芸術の融合による教育プログラム)」の一環として3回の講演会を行うことになりました。次世代のために、心を見失った物質中心の社会システムを改善し持続可能な社会を取り戻さなければなりません。そのためにはまず温暖化や世界貧困を生み出す社会のあり方に目を向け、それらが私たちの「食」や「地産地消の農業生産」に結びついていることに気づく必要があります。受講者自身が問題を主体的に考え、創造性豊かな提案と行動する力を養うことを目標にしています。大学生と、地域の方々が共に学ぶ新しいプログラムです。

→参考:未来につづく道「橘の響き」「命の根」

九州大学大学院芸術工学研究院 知足(ともたり)美加子

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