2022年4月から、九州大学大学院芸術工学府が新しくなりました。

「モノ」から「コト」へ、 さらに「ビジョン」へ

地球環境問題がリアリティを帯び、格差や貧困の拡大が深刻化し、新型コロナウイルス感染症拡大が社会のパラダイムシフトを加速した今、私たちは地球レベルの大きな課題に直面しています。

だれも経験したことのない、この難題に対応し、未来を切り拓くためには、従来の改良型・課題解決型の思考だけでなく、価値観を大胆に転換し、未来のビジョンを描き、そこから個別の技術のありかたを導くデザインが不可欠となっています。

こうした背景のなかで、デザイン領域はますます拡大し、デザイナーの役割も変化し続けています。デザインの対象は「モノ」から「コト」へ、さらに「ビジョン」へと拡張し、デザインには、現状の課題解決だけでなく、「未来はこうもあり得るのではないか」という問いの創造までが期待されるようになりました。

このようなデザインの拡張と変容をふまえ、九州大学大学院芸術工学府は、人間中心から人間を含む地球へとデザインの視野を広げ、先端的な専門性の追求から、ビジョン主導でモノやコトを具体化し、社会の変革を目指す新たな教育組織を構築しました。

新しい専攻、
新しいデザイン教育。

拡大するデザイン領域を
リードする
次世代デザイナーを
育成します。

新しい九州大学大学院芸術工学府では、拡大するデザイン領域に対応し、
個別のデザイン分野がこれまで以上に横断・融合できる体制を構築することで、
明確な社会実装のための戦略を立て、社会変化に柔軟に対応しながら、望ましい未来を構想し、
それを実現する総合的な「高次のデザイナー」を育成します。

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オンデマンド 入試説明会

  • 研究院長あいさつ

  • 入試について (2023年10月、2024年4月入学希望者向け)

コースの紹介

新しい芸術工学府・
芸術工学専攻の特色

  • 特色 1

    拡大するデザイン領域に、
    1専攻6コースの構成で対応します

  • 特色 2

    デザインの総合化を促進し、
    社会的要請の高い横断的デザインを可能とする
    カリキュラムを提供します

  • 特色 3

    専門に特化した
    サーティフィケイト・プログラムを
    提供します

  • 特色 4

    学生の文化的多様性を
    高めます

  • 特色 5

    博士後期課程の
    高度の融合的研究を推進します

特色 1 1専攻、6つのコース

新しい学府は1専攻とし、
その中に「モノ」「コト」「ビジョン」をデザインの対象とする
拡大したデザイン領域を包摂するストラテジックデザインコース、
環境設計コース、人間生活デザインコース、
未来共生デザインコース、メディアデザインコース、
音響設計コースの6つのコースを配置しました。

拡大するデザイン領域と各コースの領域
拡大するデザイン領域と各コースの領域
  • ストラテジックデザインコース

    芸術工学専攻とデザインストラテジー専攻の一本化により、デザイン×ビジネスによる社会実装までを扱います。

    具体的には、製品・環境・サービスなど多様なデザイン専門知識をもとに、ビジネス、アントレプレナーシップを統合するデザインストラテジーを学べるだけではなく、QBS・QREC連携科目、企業・自治体連携による実践的な授業を履修できます。これらにより、企業や組織でのデザイン・マネジメント、未来型経済社会のデザイン戦略構築能力を習得できます。

    STRATEGIC DESIGN COURSE

  • 環境設計コース

    人々を取り巻く環境すなわち建築・都市・地域・ランドスケープを主な対象として、高度な調査・研究と創造的なデザインの実践を行います。

    空間的・時間的な広がりや社会の多様性を念頭に、現代において顕在化する諸問題に真摯に向き合うとともに、人間と環境の関係のありかたを根源的に考察し、国際的な建築家教育課程として認定された内容(グローバル・アーキテクト・プログラム)を含む、より豊かな環境デザインの実現に寄与する教育が提供されます。

    ENVIRONMENTAL DESIGN COURSE

  • 人間生活デザインコース

    人間の特性や高度な科学技術に基づくモノ・サービス・システム・生活環境の創造について学び、研究することができます。

    具体的には、生活の在り方を構想し、感性・創造性を含む、人間の生理的・形態的・行動的・心理的特性の探求や工学的方法論の適用、ライフスケープデザインに関する教育科目を通じて、専門知識・スキルを深化させることができます。修了後は、安心・安全で魅力的な生活(ヒューマンライフ)の実現に貢献することが期待されます。

    HUMAN LIFE DESIGN AND SCIENCE COURSE

  • 未来共生デザインコース

    生命体や他者、環境と共生する「あってほしい未来」を構想し、それを実現するもの・こと・しくみをデザインします。

    生命情報科学、生命工学、アート・デザイン、文化や社会に関する授業を履修し、学外のアーティストやNPOの実践者、様々な生活者とともに考え実践する演習を通じて、これからの社会に対するヴィジョンを構想し、対立し異なるものをともに活かす提案を具体的にかたちにする能力を身に付けることができます。

    DESIGN FUTURES COURSE

  • メディアデザインコース

    人と人、感性と表現、感覚と空間、仮想と現実をつなぐメディアコミュニケーションデザインの未来を創造します。

    科学的知識と思考力、美的感性、創造力、表現力の涵養を通じて、最先端のメディアテクノロジーによるデジタルコミュニケーション、データサイエンス、ネットワークから、人間の視覚科学、心理学、芸術表現、人間社会コミュニケーションなど「繋ぐ」「伝える」「共有する」メディアデザインの探求と実践を行うことができます。

    MEDIA DESIGN COURSE

  • 音響設計コース

    音に関連する芸術、科学、技術の幅広い分野を対象として、総合的な課題解決能力を身につけます。

    専門科目や演習科目を通じて、音に関する芸術工学的感性、人間に適合した音環境を創出する音響設計、音響情報の高品質化、音に関する芸術文化の創造を実現する能力などについて、専門知識を修得、深化させます。音に関する文化、環境、情報の視点からデザイン対象に多面的にアプローチし、音に関わる新しいデザインの分野を切り開く力を身につけます。

    ACOUSTIC DESIGN COURSE

特色 2 特色あるカリキュラム

デザインの総合化を促進し、社会的要請の高い横断的デザインを
可能とするカリキュラムを提供します

〈修士課程〉

新しい社会の構想から具体的な社会実践までを一本化し、よりよくデザインを活用するために現行の芸術工学専攻とデザインストラテジー専攻の2専攻を1専攻に統合しました。

すべての授業科目を専攻全体として提供します。同時に各コースでは、「コースコア科目」として分野の軸を形成する科目を指定しています。これによって、学生が研究の志向に従って全専攻科目(展開科目)から自らの専門性を構築できるカリキュラムを導入しました。

英語による授業を充実させ、多様性を包摂する柔軟性に富み、国際通用性のある学術リテラシーを涵養します。

修士課程のカリキュラム

特色ある授業: スタジオプロジェクト科目

コース横断型のデザインプロジェクト演習科目である「スタジオプロジェクト科目」では、実践的な演習課題により「モノ」、「コト」、「ビジョン」の要素を総合するデザインを学びます。

スタジオプロジェクト科目の事例

  • 未来の芸術工学図書館プロジェクト
    未来の芸術工学図書館プロジェクト

    環境設計、人間生活、ストラテジックデザイン、音響設計、メディアデザイン、未来共生デザインの全コースから異なる専門性を持つ学生が複数チームとして参画し、環境、建築、什器、音響、照明、メディア、アウトリーチ、インクルージョンデザインなどの視点からリサーチとプロトタイピングを行い、それらを総合することで新しい図書館像を構築します。

  • 生物による視聴覚表現
    生物による視聴覚表現

    バイオアート、バイオデザインの領域で、アート・デザインの立場からアプローチし、従来のデザイン領域では経験の少ない対象にふれることで、それらについての知見を深めるとともに、高度な表現能力を養います。アニメーション、音楽等によって目に見えない世界を可視化し、自然への理解を深め表現します。

特色 3 専門に特化した
サーティフィケイト・プログラム

  • クリエーティブリーダーシップ・
    プログラム

    デザイン、アート、ビジネス、リーダーシップの4要件からなる「高度デザイン人材」の育成を目的としたプログラムです。具体的には、創造的思考力にもとづく社会・文化の長期的なビジョンを構想でき、深い人間・環境理解にもとづく価値を提案でき、提案しようとする価値を社会に実装するために多様な他者への共感力・協働力を備え、イノベーション・プロジェクトを遂行する能力を持つ人材の育成を目指します。

    クリエーティブリーダーシップ・プログラムの概要
  • グローバル・アーキテクト・
    プログラム

    建築・環境設計に関する工学的知識及び文化芸術に関する知識を備えた、総合的設計能力を有する人材を育成するプログラムです。芸術工学科のアーキテクト・プログラムの修了と合わせ、「UNESCO-UIA建築教育憲章」に基づく国際的な建築家教育課程としての認証を受けている,日本では数少ないプログラムのひとつです。 Accredited by UNESCO-UIA Validation Council

    グローバル・アーキテクト・プログラムの概要
  • ホールマネジメントエンジニア
    育成プログラム

    劇場・音楽堂等の公共施設を主たる対象とし、ハードとしてのホール機能の理解と、そこで上演されるコンテンツの芸術文化の理解、加えてそれを実際に企画運用するための企画・実践能力を兼ね備えた人材の育成を目指すプログラムです。

    ホールマネジメントエンジニア育成プログラムの概要

特色 4 学生の文化的多様性への対応

創造的、革新的なデザインを生み出すために価値観の多様性を重視し、
学府を構成する学生の文化的背景の多様性を高めます。

  • 英語対応の推進

    修士課程の全てのコース及び博士後期課程で科目の英語対応を進め、日本語の習得が学位取得の条件とならないような仕組みを構築しました。

  • 入学試験の一本化

    入試においても外国人特別入学試験を廃止し、全受験者を対象とする入学試験に一本化しました。

特色 5 博士後期課程における高度の融合的研究の推進

学生の自由な意志を尊重し、柔軟な運用を図るために、
芸術工学専攻とデザインストラテジー専攻を統合した1コース制を採用しました。

  • 自由で柔軟な研究の推進

    従来型の一指導教員追尾型ではなく、博士課程院生個々の視点を尊重し、また、意欲を引き出し自信を与えるために、自由で柔軟な博士課程院生みずからの個別研究を推進します。

  • 多角的な指導体制

    研究の質を担保し、幅広い知的基盤を獲得する体系的な教育機能と、先端的・専門的学術研究機能の両者を備えた環境を構築するために、複数・多分野からな最適な指導教員グループによる体制を整えました。

博士後期課程のカリキュラム

〈修士課程入試〉

募集人員やスケジュールなどの詳細につきましては、募集要項でご確認ください。

選抜方式
自己推薦入試と一般入試の二つの方式にて選抜します(併願可)。
いずれも、日本語に加えて英語での受験が選択できます。
外部英語試験の導入
これまでの入試では外国語(英語)の能力を筆記試験にて評価していましたが、
改組後は外部英語試験のスコアを用いて評価します。

〈博士後期課程入試〉

入学時期
年2回(4月・10月)
定員
30名
入学試験
試験区分(一般入試、社会人入試、国際コース入試)を一本化して実施。
志願者は入試出願時に希望する予定主指導教員を指定。
試験科目:面接(対面面接またはオンライン面接。英語での面接も可)