農のインスタレーション「命の根」ができるまで

2007年11月30日作品コンセプト 

Home  知足院(ともたり)美加子

320×320cmに上質紙を繋ぎ、糸を使って円を描く。色画用紙(8色)で御幣を作っておく。  塩ビ版を2〜3cm幅の帯状に切断。アクリルカッターより普通のカッターの方が綺麗に切断できた。
中心部分はプラ版の円柱に塩をつめる。曼荼羅の図形にそって塩ビ版をテープで貼り、区分けしていく。黒紫米、米を敷く。塩をコップで敷き詰めていく。中心部分と周囲で、幣の回転の向きを変えている。 この後、ミカンの葉とヌカ、バラを敷く。五大思想を元に、米・ヌカを「地」、塩を「水」、バラを「火」、葉を「風」、御幣の回転を「空」にみたてている。
 完成!手を貸していただいた方々全てに深い感謝の念を感じている。みなさんの誠実な行いそのものが神事のようだった。→完成図 12月1日、農業祭当日。小学生の農業体験の発表もあった。
藤枝守先生作曲の「植物文様」について先生ご自身が解説。西陽子さんの箏、十七絃箏、声による演奏。 すばらしかった。響きの中に引き込まれていくようだった。琴は神の依り代ということを、はっきりと理解した。
 終了後、会場の方々に展示物の持ち帰りを勧めた。みなさんのためにビニールを取りに行き、帰ってくると殆どの展示物がなく驚いた。 会場の方々にとっては神事のお下がりという感覚があったのだろう。子どもたちも持ち帰ることをとても楽しんでいた。

会場での作品説明の際、地球温暖化と貧困の問題が、「食」に繋がっていることについて触れた。このままのペースで温暖化がすすめば、100年後には海底のメタンハイドレートが溶け出し、地球上の水分は全て蒸発してしまうという。貧困の問題も私たちの食への意識が作り出しているといっても過言ではない。たった一本の国境線を越えただけで運輸費が非課税になるという、グローバリゼーションの愚行。地産地消、自分たちの環境・風土を守り愛することは、これからの地球における常識になるだろう。単なる健康増進のためではない。次世代が生き延びるためである。根本的に社会を変えるのは政治ではない。今自分が何を必要とし食べるかという「生活上の選択」の蓄積なのである。

 この作品は、金剛会曼荼羅と八色和幣を主に参考にしている。私にとって命の循環、宇宙の運行そのものが神の現れである。その理法を人為でとめてはいけない。この祈りを作品にこめている。12月3日作業日記より

JA粕屋、九州大学農学研究院附属実験農場の方々および世代間研究会、

農産物寄贈者、ボランティアの方々のご協力に心から感謝申し上げます

Home