私の現実   >Buck

アルベルト・ジャコメッティ


確かに私は絵画と彫刻をやっている

そしてそれは初めから、私が絵を描きだした最初から

現実を捉えるため、自らを守るため

一層よく攻撃するため、掴むため

あらゆる面であらゆる方向に可能な限り前進するため

飢餓に抗し、寒さに抗し、死に抗して自らを守るため

可能な限り最も自由になるためだ

可能な限り最も自由になるのは ー

今日の私に最も適当な手段で ー 一層よく見んがため

周囲のものを一層よく理解せんがため

一層自由になるために、一層よく理解せんがためだ

可能な限り大きくなるのは使い果たすため

私の冒険を敢行するため、新しい世界を発現するため

私の戦いを戦うためだ

戦いのよろこびのため? 戦いの歓喜のため?

勝ちまた敗れるよろこびのためだ

2006年5月

>Buck