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九州大学全学教育/少人数ゼミナール
第4,5回 命のあり方、尊さと食の連関
木村浩子氏講演「命の尊さと土」(沖縄「土の宿」経営)

受講生調査発表

大地、生命、農業と芸術の融合による教育プログラム
(九州大学現代GPの一環として)現代GPホームページ

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受講生の感想

(木村浩子氏講演)

大学で最も得ることが多い授業でした。知識面だけでなく、心の栄養としての元気をいただきました。福祉というと、何かをしてあげなくてはならない。それが親切なのだ、と私は思っていましたが、それが変わりました。「福祉とは一緒に素直に生活していくことなのだ」と。当たり前だけど、なぜ気づかなかったのだろう。心に大きな収穫がありました。本当に出会いに感謝です。

胸がいっぱいになりました。木村さん、そしてこのような機会を設けてくださった先生方に本当に感謝します。「障害はその人個人にあるのではなく、社会にあるもの」という言葉を思い出しました。正直、普段の自分の生活では、障害のある方々と触れ合う機会も「障害」について考えることも忘れています。もしかしたら現代社会は、そのような障害の壁があることさえ見えなくしているのかもしれません。

今まで「福祉」といえば、制度や法律ばかりを考えていましたが、それ以上に大切なことは心で語ることだと知りました。「相手の痛み、苦しさを自分のことのように感じ、心の中で受け止めること」「たまたま障害があったわけです」「大切な命を授かった同じ人間」木村さんの言葉が胸に響きます。人の生きる力をとても感じました。今日からの自分の人生の励みになりました。様々な苦労や経験をなさった木村さんだからこそ、このようなお話ができ、私たちの胸に響かせることができたのだと思います。

 戦争時に障害を持った方の体験など、普段表立って伝えられないお話を聞くことができ、とてもよい時間を過ごせました。木村さんの「本当の福祉は心でしか語れない」という言葉を聞きました。「土の宿」の映像をみて、本当に心でつながっている感じがしました。不自由なく動ける人と、障害をもった方とが、何も特別に考えることなく自然に一緒に過ごしている姿をみて、「心の福祉」とはこのようなことかと思いました。また木村さんが力強く一言一言はなされる姿は、そのまま心に響いてきました。いつかきっと土の宿を訪れてみたいと思います

木村さんのお話をきけて、すごくあたたかい気持ちになれました。それは、木村さんがもつ力強さだったり、思いの強さだったり、経験であり、笑顔だったと思います。戦争の経験や差別を乗り越えて、そしてすてきな仲間と土の宿を作られたこと、いろいろな面で学ばせていただきました。本当にありがとうございます。

戦時中に障害を持った子供たちが「足手まといになるから殺せ」といわれたこと。そのような話の実際をもっと掘り下げていきたい。

「沖縄には“かわいそう”という言葉はない」ということ「福祉とは他人の心の痛みを、自分の心の痛みとして感じること」という木村さんのお話が印象的でした。土の宿も実際に障害のある方の暮らしにやさしい作りですばらしかったです。ただそれだけでなく一緒に生活する人の空気がとてもやさしくて、何度でもいってみたいと思いました。

発表(学生グループの)に関しては言いたいことがあまり言えませんでしたが、調べることで様々な視野が広がり、楽しかったです。木村浩子さんは、必死に、全力で、心から、伝えたいことを話されていたので、その姿に感動しました。木村さんがおっしゃっていたこと一つ一つが“リアル”なのです。たとえ話し方がゆっくりで、聞き取りにくかったとしても、直に私たちの胸に木村さんの思いが伝わってくるんですよね。すばらしい方だと思います。おしゃれで、髪もかわいい。いきいきとしていらっしゃって、とてもうらやましく感じられました。これからも、もっともっと木村さんらしいやりかたで、問題を訴えていってほしいです。

命は大事である、という当たり前のことを、命の危険に会った方からいわれ、それが真実であると改めて感じました。

土地柄というものの力はすごいのだな、と思った。沖縄は海や食べ物で良いイメージでいっぱいのところ。そして何より人がいい。本当に行きたくなりました。一方で沖縄は過去の戦争においても知られているところ。沖縄に行くということは、それらに無関心ではいられない。

「本当の福祉とは、人間の心を通してしか語れない」という言葉に、ハッとさせられました。普段福祉について考える際、私は法律や施設の充実の必要性を考えていましたが、この言葉で最も大切な人と人のつながりを知りました。私は災害や福祉の現場で活躍するロボットの研究をしたいと思っています。介護ロボットのニュースをみて「これだ」と思っていましたが、今回のお話を聞いて、もっと考えなければならないと感じました。木村さんのお話は一言一句に力を感じました。話の中に何か強い光のようなものを感じました。年を重ねた時に、木村さんのような力強い話ができるように生きていきたいと思いました。

(受講生調査発表)

他のグループの発表や自分たちの調査を通じて、自分はいかに世の中の真実について知らないか、を知った。強く記憶に残ったのは、先住民についての発表で「実際にアイヌの人々に会ってみることが大切」ということである。例えば、私は本やネットで環境問題について知った。しかし、それは単に知識であり、実際に当事者に会わなければならないと思った。どのグループもよく調べていて、よくまとめられており、よく考えていた。非常に質の高い授業を受けることができてよかった。先生、ためになる授業をしていただいてありがとうございました。

命と一言にいっても様々な問題がつきまとっていることを聞くのは、決していい気分でないこともあったけど、それでも知ることができたのは嬉しく、このセミナーを選んでよかったと思いました。環境に関しても他国を責めることができないようなことを、日本も行ってきました。しかし何もしないまま問題は解決するはずもないので、解決策をどこかでみつけなくてはいけません。正直、人であれ(少年兵の問題)動物であれ「殺される」という事態に関わるのは辛く、調べたくないとも思いました。でもここで逃げたら私はただの偽善者だ、と思い、自分にむち打って調査しました。みんなに問題を知らせることができ、ホッとしたと同時に嬉しく思います。

動物福祉の話を聞いて、保健所から一般譲渡会でもらった私のペットも、5日で殺処分される可能性があったかと思うと、すごく悲しくなりました。あるメディアで取り上げられた犬には、飼育希望者が殺到したと聞きましたが、本当に人はマスコミに流されやすく、エゴの固まりだと思います。本当に助けが必要な動物はたくさんいるのに、なぜそちらには目を向けないのでしょう。それくらい難しい問題なのでしょうが。犬は私たちに飼われて幸せなのだろうか、とたまに思います。

リサイクルの話が私にとっては衝撃的でした。今まで、レジ袋を断ったり、ペットボトルをリサイクルしたりして、いいことをした気になっていました。本当にしなくてはいけないことは、ものを大切にすることなど、もっと身近なことなのだな、と思いました。保健所の話もショックでした。私たちの生活があるのは、たくさんの“動物”の犠牲のおかげで、そのことは絶対に忘れてはいけないと思いました。

無意識のうちに自分たち人間のことだけ、豊かな国に住んでいる人々のことだけ、日本人のことだけ考えて生きているとしたら、それは恐ろしいことだと思います。いろいろと自分のことを見直せて、とてもいい機会になりました。

全ての問題が繋がっているようで、いろいろな視点から問題をみていくことの重大さがわかった。何気なく生きている今の生活も、何かの上に成り立っている、ということを深く考えさせられる発表だった。一人一人が今の生活について考えることが、世界で起こっている問題の解決に繋がっているような気がして、自分も何かできるかもしれない、と勇気づけられた。

どの発表も新鮮だった。既成概念をそのまま受け入れて発表するのではなく、新たな視点から見つめているところがすごいな、と思った。今、世間に出回っている考え方は正しいものもあるだろうが、間違っていることもあるはず。そのためには少数でも声をあげなくては、と思う。何が真実かを自分なりの視点から考えること、ともかく知ることが大切、それに気づかされた授業だった。

非常に難しかった。どうしたらいいのか、わからないことばかりだった。ただ表面的な独善だけはだめだろうと考えた。問題提起までは、ある意味簡単だ。その次の一歩を踏み出さなくてはならないはず。忘れがちになってしまう問題に、再び目を向けられたことに感謝したい。

リサイクルの話は聞いていて楽しかった。動物福祉と少年兵問題の根本は同じような気がする。

アイヌ文化に関しては高校時代に学んでいたのですが、この発表は「知ること」が大切と言っていたので、自分自身で調べたいと思いました。またリサイクルの問題は知らないことが多く、エコとうたわれていることの本質がエコではない事実に驚きました。様々な発表を聞き、簡単に答えがでないことばかりで、葛藤の連続でした。普段は考えもしないことばかりでしたが、自分の将来にきっと繋がると思います。

私は動物実験についての発表にショックを受けました。理学部生物学科なので、学科内に動物実験を行う人が出てくるかと思うと、複雑な気持ちになります。クラスメイトも、化粧品のためのウサギの動物実験について知らない人が多かったです。動物と虫の命の重さの違いはどうなのでしょう。食肉用の動物の権利を考えても、私はベジタリアンにはなれないと思います。動物実験には、きれいになりたい、長生きがしたいという人間の欲求が現れています。やはり先住民問題においても共通しますが、大切なことは「事実を知る」ということです。

今回の発表は新たな知識を多く与えてもらい、とても価値あるものでした。一番考えさせられたのは動物福祉でしょうか。映画「猿の惑星」を思い出しました。私たちは今、動物たちを自分たちよりも劣っているとみなし、利用して殺しています。もし逆の立場だったらどうなのでしょう。私たちは自分の身に苦痛が与えられない限り、真の理解はできないのです。人間の進化は動物の苦しみの上にしか成り立たないものなのでしょうか?人は動物との付き合い方を、これからも模索していく必要があるでしょう。今回の授業を通して、命に対して新しい考え方が得られ、本当によかったです。ありがとうございました。

どの問題も複雑に絡み合っていて、一筋縄では解決に向かいません。本質や真実が見えにくくされている社会構造。自分は何ができるだろうかと考えます。「現状を知り、それについて考え、どんなに小さなことでも良いから行動する」ということが、現段階での私の答えです。物質的に恵まれた日本に住む私たちには、3秒に1人の子供が飢餓で命を落としているという現実が遠く感じられます。同じ地球に生まれてきているのに、その時代、国、地域、家庭の状況によって大部分の人生が決められてしまうのです。まず学び、考えることが、先進国に住む私たちの使命です。

 命の重み尊さを知れば「多くの命の犠牲の上に、今この瞬間の自分が生かされている」ことを身体で“感じる”ことができれば、全て命も、自分の命も簡単に扱うことはできないと思います。自他の命の尊さを知り、大切にしていけるような世の中になれば、現在の世界的社会問題も良い方向に向かうのではないしょうか。社会や世界を作っていくのは人間です。だからこそ「命の尊さ」を知った人間性の高い人々が増えれば、きっと世界は変わっていくと思います。知足先生の授業を通して、このようなことを学びました。将来の夢に繋がる「学び」でした。本当にありがとうございました。

 

九州大学は、地域の人々と関わり風土を慈しむ心を養う学生教育プログラムを始めました。自分が生きる土地のものを食べる「地産地消」は、単に健康のためだけではありません。温暖化や世界貧困などの社会問題に深く関わっているのです。「地産地消」につながる世界的社会問題や文化的背景について学び、未来につづく道を共に探しましょう。

現代GP(Good Practice)とは、優れた大学教育プログラムを支援する制度です。九州大学・現代GP「地域環境、農業活用による大学教育の活性化(大地、生命、農業と芸術の融合による教育プログラム)」の一環として3回の講演会を行うことになりました。次世代のために、心を見失った物質中心の社会システムを改善し持続可能な社会を取り戻さなければなりません。そのためにはまず温暖化や世界貧困を生み出す社会のあり方に目を向け、それらが私たちの「食」や「地産地消の農業生産」に結びついていることに気づく必要があります。受講者自身が問題を主体的に考え、創造性豊かな提案と行動する力を養うことを目標にしています。大学生と、地域の方々が共に学ぶ新しいプログラムです。

九州大学大学院芸術工学研究院 知足(ともたり)美加子

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