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近況報告を兼ねて昨年の私の様子をまとめて見ました.
今年もよろしくお願い致します.
2007年の私の状況
高木英行 (九州大学大学院芸術工学研究院)
815-8540 福岡市南区塩原4丁目9-1
TEL & FAX <+81>92-553-4555
e-mail
URL http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~takagi/
研究室体制
2006年度は,卒研生3名,修士生6名,博士生2名の学生と,前半ポストドク3名,後半2名の陣容で研究室運営を行いました.2007年度は,卒研生2名程度,修士生4名,博士生2名の学生が属する予定です.残念ながら,ポストドクはいなくなります
また,2005年度で単位満了退学しました田中信壽君が「利用者の個人特性を考慮した人工現実感環境設計に関する研究」で2007年1月に博士(芸術工学)を取得します.VR空間での酔い特性と臨場感特性が個人によって異なる現状で,いかにしてVR酔いを最小にて臨場感を最大にするかという現実的な問題に対して,ニューラルネットワーク(NN)を導入し,事前に簡易な方法で個人の特性をNNに学習させることで,この問題に対する解を示すと共に,その効果を評価した博士研究です.
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研究活動
私がHumanized Computational Intelligenceと呼んでおります,
人間要素と計算知能の融合について注力しております.
インタラクティブ進化計算(IEC)は依然この研究方向における私の主要キーワードです.
ホームページのトップにインタラクティブ進化計算の
解説論文と解説スライドを用意しました.ご興味ある方はご覧ください.
大きなプロジェクトとしましては,
があります.COE研究の具体的取り組みが科研という位置付けの関係です.USIプロジェクトもCOEプロジェクトと密に関係する人工環境デザインに関する研究です.
科研「対話型進化計算と生理的解析に基づくマルチメディア視聴者の情動制御に関する研究」の内容を分かりやすいことばで言えば, 「もっと感動を」「もっと安らぎを」などを実現するためにどうしたらよいか,を明らかにすることです.
映像や音を視聴した時に,感動したり,安らいだり,スリリングに感じたり,憂鬱になったりします.
これらの情動は生理反応に現れます.一番影響を与える因子は映画等のストーリ(文脈)でしょうが,
もっと感覚レベルで考えた場合,物理的信号が生理反応に影響を与えると言えるでしょう.
この生理反応に影響を与える物理的特徴量を抽出して両者の関係を明らかにし,
ターゲットの生理反応により近づくように制御することが研究の概要です.2005年度は第1ステップとして,生理反応に影響を与える可能性のある映像物理特徴量を抽出しました.
2006年度は第2ステップとして,生理計測を行い,映像の物理特徴量と計測生理データとの間の関係を解析しております.この結果もし生理データに影響が与える映像物理特徴量が見つかれば,2007年度に第3ステップとして,生理的フィードバックに基づく拡張IECを利用し,映像物理特徴量を制御することで,間接的に生理反応を制御する予定です.
IECユーザの疲労軽減では,ユーザの評価特性を学習して評価特性モデルを作成することで,ユーザの評価値を予測し,
収束を高速化させる,すなわち,ユーザの評価を回数を少なくすることを目的として一連の研究をしております.IECでは,人間が評価できる回数が少ないことから学習データ数に大きな制約はある他,学習したユーザの評価特性を利用する世代数が限られてしまうという,一般の最適化にはない制約があります.
その対策として,(1)ユーザの評価特性が学習できるまでは他人の評価特性でもよいから組み込んでおいて利用する方法,(2)
各種ニューラルネットを利用した場合の性能の違い,(3) 進化計算(EC)に代わってParticle
Swarm Optimization (PSO)を用いたインタラクティブPSOの性質解析,を行っています.
2006年度から2名が博士研究を始めました.
動きの自然さのモデリング研究は,自然に見える人間の動作を,「数式でモデル化できる大局的な動き+自然さの動き」とモデル化し,前者と実測の人間の動きとの差分をリカレントニューラルネット(RNN)に学習させることで,自然に見えるロボットやCG像の動作生成を行う研究です.最初の第1歩として,動的な動作ではなく,静的な手書き文字を「フォント+個人性のズレ」とモデル化し,後者をRNNに学習させ,自然な合成手書き文字生成を行う研究を行っています.
多目的最適化とIECを用いた建築設計支援の研究は,住宅の間取り設計や敷地での建物や庭の配置設計を題材にしています.これらはいろいろな制約下での多目的最適化が求められ,さらに,定量的な評価が困難な設計要素もあります.前者に多目的最適化を,後者に建築家の知識と経験に基づいたIECによる最適化を組み合わせて導入しようとしています.
2006年の研究室成果は,学術誌論文への掲載・採択3編,国際会議講演論文を5編,国内会議5編でした.
教育活動
2006年度授業では,知能情報学概論,ソフトウェアアーキテクチャ,データ・信号圧縮論,学術英語A,プロジェクト演習IおよびII,知能情報学特論(大学院), および大学院演習科目を担当しておりました.
2006年3月には,スペインのUniversity CARLOS III of Madridで大学院生向けに集中講義を行いました.
2006年6月に,澳門科学技術大学の主催で開催されたISTワークショップで,学生向けに教育的な講演をしました..
2006年9月には,21世紀COEの教育セミナーとして,「国際会議に参加し発表し議論するためのスキルアップ!! "Let's Enjoy International Conferences"」を企画し,院生,ポストドク,教員ら80名近くの参加をいただきました.
学会活動
2006-2007年の2年間,IEEE SMC SocietyのVice-Presidentとして学会全体の技術面の向上に尽力致します. また,同学会の IEEE Transactions on SMC, Part BのAssociate Editorの仕事は継続していきます.
SMC2006に続き,SMC2007の Special Session Chairとして企画セッションの収集と調整を行います.
2006年の主な学会活動は,EvoWorkshop2006(Budapest, 4月),WCCI2006(Vancouver, 7月),SMC2006(台北, 10月)で講演論文を発表した他,IEEE SMC Society のDistinguish Lecturer Programに基づいて,Central & South Italy Section Chapter (9月)とHiroshima Section Chapter (10月)で支部活動支援のための講演を行いました.
プライベート
長女は大学4年生になり就職活動に忙しくなりそうです.職業価値観を持ってくれていることは,何がしたいかが分からない学生を多く見ている身には嬉しいかぎりです.
次女は1年間のMissouri州での高校生交換留学を終えて帰国し,もう一度高校1年生になりました.今年は高2生に進級です.
1年間の経験が人生の大きな財産になってくれることを期待しています.
子供が成長しましたので,妻はパートを始めました.趣味のtatting laceは続けています.
今年5月は結婚25周年.早くも銀婚式です.私は甲状腺癌の手術から1年が経ちました.特に健康に変わりはありません.一説によると,私のような初期の場合,手術をしてもしなくても予後に有意差がないとか.