熊本震災支援「ちいさいおうちプロジェクト 板倉小屋建築交流会 − 地域の森林資源で震災復興−」→HP (西原村商工会主催、日本板倉建築協会共催)が2016年6月26〜27日に熊本県阿蘇郡西原村(西原村商工会の内田敏則会長の私有地)にて行われました。 建設地は広々とした農園や阿蘇外輪山が「借景」となるような気持ちよく開けた場所です。そこからは、断層で引き裂かれた里山、ブルーシートで覆われた家々、避難用テント、解体中の民家等も目に入り、熊本震災の痛手が伝わってきます。心からお見舞い申し上げます。 今回使用した木材は日本板倉建築協会から寄贈されたものです。西原村の藤本和装建築をはじめ、九州各地から集まった大工、建築関係者(杉岡製材所等)が無償で実働されていました。福島から長崎に避難された大工さんや、野宿をしてたどり着いた高専の学生さんもいました。初日は梅雨の晴れ間の奇跡的な晴天の中、腕のよい大工さん達の知恵と手技で、急ピッチで進行しました。杉板(厚さ30mm)は、柱にミゾを彫り落とし込みます。杉板同士は「本実(ホンザネ)加工」して接ぎ合わせます。柱と土台と梁桁(ハリケタ)はホゾで接合します。壁は内側から1層目が横向き、2、3層目が縦向きに板が組まれます。厚みが10cm以上の量感ある壁で、板倉が耐震と暑さ寒さに強い構造であることがわかりました。それにしても1日で大まかな形が出来上がったことに驚きました。 二日目は断続的な雨に見舞われました。雨の中での屋根作業は危険なので心配しましたが、テントの中で材を整え、小雨のうちに二層目まで張り終えることができました。最後のガルバリウム鋼板による作業は天気のよい時に行うとのことで、屋根にブルーシートをかぶせていました。床をはると、室内が一挙に家らしさを増します。中に入ると全面を木材とその香りで包まれ、なんともいえない安心感がありました。このような魅力的な家屋が、板倉キットを使えば約150万円で建つことに驚きます。暑さが厳しい九州では、プレハブより木製の避難家屋が適しているのではないでしょうか。 板倉小屋作りと並行して、解体材・端材を活かした木製家具や小物作りワークショップを行いました。小さなお子さんも参加して、木で何かを作り出す嬉しさを共有しました。学生達が解体中の被災家屋からいただいた床柱や梁でベンチ等を制作し、被災者の方にプレゼントしました。 「ちいさいおうち(板倉小屋)」が結節点となって、たくさんの素晴らしい方々が出会うことができました。心から感謝しています。力を合わせて「ものづくり」する姿そのものが、場と人を元気付けることを痛感します。このプロジェクトは森林資源(杉間伐材等)の活用にも繋がるものです。熊本が本来持っている山の恵を復興や町興しに活かし、里山を広葉樹(根が深くはる木々)の森に戻していくという夢を、藤本さんが最後に語ってくださいました。 *7月23日(土 )16時より、早川倉庫(熊本市中央区万町2-4)にて「ちいさいおうちの小さなシンポジウム」が行われます。杉岡さん(杉岡製材所)の進行のもと、プロジェクト担当者(安藤、田上、知足)、宮野さん(くまもと新町古街復興PJ)がプロジェクトの報告を行います。 2016.6 知足美加子 →mail (下図はLaserCutterで制作した参加者銘板)
熊本震災支援「ちいさいおうちプロジェクト 板倉小屋建築交流会 − 地域の森林資源で震災復興−」→HP (西原村商工会主催、日本板倉建築協会共催)が2016年6月26〜27日に熊本県阿蘇郡西原村(西原村商工会の内田敏則会長の私有地)にて行われました。
建設地は広々とした農園や阿蘇外輪山が「借景」となるような気持ちよく開けた場所です。そこからは、断層で引き裂かれた里山、ブルーシートで覆われた家々、避難用テント、解体中の民家等も目に入り、熊本震災の痛手が伝わってきます。心からお見舞い申し上げます。
今回使用した木材は日本板倉建築協会から寄贈されたものです。西原村の藤本和装建築をはじめ、九州各地から集まった大工、建築関係者(杉岡製材所等)が無償で実働されていました。福島から長崎に避難された大工さんや、野宿をしてたどり着いた高専の学生さんもいました。初日は梅雨の晴れ間の奇跡的な晴天の中、腕のよい大工さん達の知恵と手技で、急ピッチで進行しました。杉板(厚さ30mm)は、柱にミゾを彫り落とし込みます。杉板同士は「本実(ホンザネ)加工」して接ぎ合わせます。柱と土台と梁桁(ハリケタ)はホゾで接合します。壁は内側から1層目が横向き、2、3層目が縦向きに板が組まれます。厚みが10cm以上の量感ある壁で、板倉が耐震と暑さ寒さに強い構造であることがわかりました。それにしても1日で大まかな形が出来上がったことに驚きました。
二日目は断続的な雨に見舞われました。雨の中での屋根作業は危険なので心配しましたが、テントの中で材を整え、小雨のうちに二層目まで張り終えることができました。最後のガルバリウム鋼板による作業は天気のよい時に行うとのことで、屋根にブルーシートをかぶせていました。床をはると、室内が一挙に家らしさを増します。中に入ると全面を木材とその香りで包まれ、なんともいえない安心感がありました。このような魅力的な家屋が、板倉キットを使えば約150万円で建つことに驚きます。暑さが厳しい九州では、プレハブより木製の避難家屋が適しているのではないでしょうか。
板倉小屋作りと並行して、解体材・端材を活かした木製家具や小物作りワークショップを行いました。小さなお子さんも参加して、木で何かを作り出す嬉しさを共有しました。学生達が解体中の被災家屋からいただいた床柱や梁でベンチ等を制作し、被災者の方にプレゼントしました。
「ちいさいおうち(板倉小屋)」が結節点となって、たくさんの素晴らしい方々が出会うことができました。心から感謝しています。力を合わせて「ものづくり」する姿そのものが、場と人を元気付けることを痛感します。このプロジェクトは森林資源(杉間伐材等)の活用にも繋がるものです。熊本が本来持っている山の恵を復興や町興しに活かし、里山を広葉樹(根が深くはる木々)の森に戻していくという夢を、藤本さんが最後に語ってくださいました。
西原村商工会・内田敏則会長、安藤邦廣先生、藤本誠一氏のご挨拶がありました。
だんだんに雨がひどくなってきました。撮影を行っていた熊本のテレビ局の方々や横浜から取材にこられたSUUMOの方も大変そうでした。
2日め終了です。2日間でこんなに素敵なおうちができるとは思いませんでした。素晴らしいみなさんのご活躍に、心からの敬意を捧げます。プロジェクトに参加されていた宮野桂輔さんが、翌日の28日に「くまもと新町古街復興プロジェクト」を行いました。安藤先生が再びご指導にあたられました。先生、みなさま大変お疲れ様でした。
2016年6月26-27日
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