《あなぐまの足音》 Footsteps of Badger
春の彼岸に、英彦山の先祖の墓所を掃除していました。すると、プニョポニョ プニョポニョ.....という奇妙な音が近づいてきます(チョッパーというキャラクターの足音のような)。冬眠あけの2匹のアナグマが、墓の下の道路を、並んで歩いています。笑いをこらえながら、足音を録音しようと待ち構えていると、こちらに人間がいることに気づいた様子。きびすを返し、急いで反対方向へと逃げ去っていきます。そして、その足音はかなり高速のプニョポニョ プニョポニョ.....となり、ついに私は声を出して笑ってしまいました。
アナグマはタヌキに似ていますが、イタチの仲間です(昔はムジナといわれ、肉が美味しいためタヌキ汁として食されることもあったとか)。アナグマは、春先に母と娘で子育てを行うそうです。穴を掘るために、爪が長く手が大きめ。あのユニークな足音は、肉球がコンクリートにあたって発生していたようです。心から楽しい気持ちにしてくれたアナグマ親子には感謝しかありません。アナグマを作品にしようと考えていると、再度丘を登るアナグマを発見。短い足で、モコモコと尻尾を振りながら歩く後ろ姿。なんともいえない面白さがあります。のんびりと幸せなひとときを、この作品を通じて感じてもらえたら嬉しいです。素材は、2017年の九州北部豪雨災害の流木です。観ている人が、少しだけ優しい気持ちになるものに生まれ変わってほしいと、願いながら彫りました。
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