春に子供を連れて宮崎の自然動物園を訪れた。雨が降り出したので走り始めたところ、フタコブラクダ達が目に入った。雨もどこ吹く風で、どのラクダも飄々と上をむいている。思わず立ち止まり、すっかり笑顔になってしまった。その風貌や形のバランス、佇まいが醸し出す「ゆったりとした時間観」とでもいうのだろうか。みるだけで、こんなにほっこりとした気持ちになる生き物がいるのだ。しみじみと感心してしまった。
震災後から芸術の役割を問う毎日を過ごしている。被災者の方々のこと、自然環境のこと、放射能のこと等も含め、その問いは心を離れることはない。(→浪江町への彫刻寄贈)
答えはでないままだが、フタコブラクダに出会った私のように、ふと立ち止まって少しだけ笑顔になるような作品を作ってみたい、と思うようになった。
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