脳と感性
私たちの脳には他者の行為や感情に対して自動的に共感する仕組みが備わっています。その一つにミラーニューロンシステム(MNS)というものがあります。あなたが、ある行為を行った際に活動する脳部位があります。面白いことに、その脳部位は他者の行為を観察するだけでも活動します。つまり、人間の脳には、他者の行為を観察した際に、あたかも自分がその行為を実行したかのようにふるまうシステムが備わっているのです。そしてそれが、他者の行為やその意図を理解するのに重要な役割を担っていると言われています。また、観察する対象がロボットでもMNSは活性化しますし、道具を使った動作(意図のある行為)に対して強く働くこともわかっています。他者への共感は、感性のひとつの側面だと思います。私たちはミュー波と呼ばれる脳波を測定することでミラーニューロンシステムの活動を客観的に測定しています。これらの研究は、よりよい人間関係の構築や、人間とモノ・情報の新しいインターフェースの開発につながると考えています。
現在の研究テーマ
- 他者行動への共感(ミラーニューロンシステム)に関する研究
- 観察する身体部位の違いによるミュー波抑制の頭皮上分布について
- ミラーニューロンシステムの性差に関する研究
- ミラーニューロンシステムを利用した美術品展示に関する研究