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近況報告を兼ねて昨年の私の様子をまとめて見ました.海外向けにこのページの英文版があり,日本の文化紹介の1つとして2枚の我が家のお正月風景(おせち料理と床の間の正月飾り)を載せています.この日本語訳版もそのまま使っています.

今年もよろしくお願い致します.


年の初めに2008年の私の近況の御報告

 

高木英行 (九州大学大学院芸術工学研究院)
815-8540 福岡市南区塩原4丁目9-1


TEL & FAX <+81>92-553-4555
e-mail   
URL  http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~takagi/


何をしているかといいますと:

人間要素と計算知能を組み合わせる「人間要素を取り込む計算知能」を目指しています. これまでのところ,インタラクティブ進化計算(IEC)をこの研究方向の道具として主に使っており,研究室運営もこの方向に沿っております. IEC技術にご興味がおありの方は,私のホームページトップから 解説論文 (日本語訳もあり)と100枚のスライドがダウンロード可能です. 昨年10月の科研申請用データとしてSCOPUSデータベースを調べましたところ,53,647 編の進化計算と遺伝的アルゴリズムの論文中,引用回数は第55位(204回引用)でしたので,もう古くなってしまいましたが,まあまあIECの全体像を掴むにはお役に立つものと思います.

IEC研究には2つの研究方向があります.IEC応用分野の拡大と,実用化のためのIECユーザの疲労軽減です.私の研究運営も主にこの方向のテーマになっています.

2008年度は,卒研生1名,M2生3名,D3生2名です.2009年度は,卒研生2名,M1生1名の少人数になりそうです.ただ研究生受入の話が出ておりますのでもう1名程増える可能性があります.


井上誠君は,学位論文「進化的計算手法を用いた建築計画に関する研究」の予備審査が終わり,1/05に本審査論文提出の予定です.3月に博士号取得になることを期待しています.内容は,セルラーオートマトンにヒントを得た空間配置アルゴリズムを提案し,それを建築間取り設計に応用し,進化的多目的最適化とIEC技術とを駆使して建築計画支援システムにつなげる研究です.

Jan Dolinsky君は,学位論文"Naturalness Learning and Its Application to the Synthesis of Handwritten Letters"の本審査論文を年末に提出しました.3月に博士号取得になることを期待しています.内容は,まず文字フォントと手書き文字とのズレをこの論文での「自然さ」と定義し,フォントストロークとこの自然さとの関係を解析しています.この結果,この関係は非線形性が強く,正準相関分析やfeed-forward型ニューラルネット(NN)での表現は難しいこと,リカレントNN(RNN)ならば表現可能なことを示し,更に,出力層ニューロンに自己フィードバックを設けたRNNならば更に性能向上が可能になることを示しています.応用的には,このRNNにフォントを入力すると,自然さ(手書きとのズレ)が出力されますので,この自然さに重み付けしてフォント文字に加算することで,フォントに近い手書き文字合成や通常の手書きに近い手書き文字合成が可能になります.

2008年の研究テーマのその他のキーワードは,インタラクティブPSOと評価値の量子化ノイズの影響解析と対策,IECのような少個体数と少世代数を意識した実数値GAの演算の評価,並列IEC,インタラクティブDEなどがあります.

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学会活動

1月:
IEEE SMC Society (SMCS) 会長に就任したProf. Daniel Yeungが全Vice-PresidentsをSan Diegoに召集して2年間の運営を話し合う会議がありました.San Diegoには2つの空港があり,セスナ基地のようなローカル空港を利用したのですが,Los Angelesへの便が遅れ,日本行きのゲートに走ったのですが手遅れでした.24時間後の同じ便ですと月曜日2つの授業の補講をしないといけないのですが,UAではすべての日本行きにもう間に合いません.12時間遅れのアシアナ機のソウル経由で福岡に昼前に辿りつき,午前の授業の補講だけに何とか押さえることができました.

Korea-Japan Workshop on Intelligent Systems for Graduate Studentsを延世大学の趙誠培教授と一緒に企画し九州大学で開催しました.さらにこの発表をweb会議システムを使って韓国延世大学,米国,日本の4大学にも発信しました.

韓国全南大学のBio-Housing Research Instituteのセミナー講師として他のCOEのメンバー2名と行き,IEC技術一般と生理信号に基づく拡張IECについて講演をしました.この研究所の目的の我々のCOEの目的がかなり一致しており,姉妹的な関係があったのが背景です.我々のCOEは昨年3月に5年間のプロジェクトを終え,2008年度は研究費が萎みました.

2月:
上海へ私的旅行をし,1980年代からお付き合いのあり2007年末に退職された上海交通大学の史習智教授と朱家角へ一日遊びに行ってきました.ここも広い上海地区の1つです.天安門事件の際は中国にいたのですが,当時暑さと食べ物で胃腸をやられたのですが,当時同大学の医者であった奥様から治療をしていただきました.史教授には我が家にお泊りいただいたこともあり,上海に行く機会があればご夫婦にご挨拶している関係です.朱家角は明代,清代等の橋が多く残り,東洋のベニスと呼ばれる一帯の一部です.清代の家屋そのままで実際に生活されている歴史保存地区を歩くと何やら別世界に来たような思いでした.

3月:
3月は忙しい月でした.まず,アテネ開催のSMC Society (SMCS)主催のDHMS2008とパリ開催のフランス進化的計算学会主催のJET18に参加しました.JET18では基調講演を行い,翌日はフランス産業界向けへのプレゼンテーションを行いました.これらの講演は,Prof. Evelyne Lutton と Prof. Pierre Colletのお骨折りのおかげで実現しています.帰国前日のOrsay空港近くに予約してあったホテルに着くと火事で閉鎖になっていました.街中ではないところの夕方でしたので,Prof. Lutton の車で来ていなければ大変でした.

3/17に帰国し,3/18午後一番で電子情報通信学会総合大会で招待講演をし,その夜にネパールに飛びました.IEEEの国際会議 SKIMA2008で基調講演をするためです.主催者の費用がないので,学会参加登録費費のみは無料ですが飛行機代もホテル代も自腹での依頼でしたが,国際会議開催が期待できない地ですし,ヒマラヤのイメージ(実際にはカトマンズからは見えません)が強く憧れもありましたので,英国のDr. Alamgir Hossainの招待を喜んで了承しての参加です.現地で風邪を引いたのですが,帰国後インフルエンザB型と判明しました.タミフルのおかげで寝込むこともなかったのですが,何も持たないのにかがんだだけでぎっくり腰になりました.インフルエンザで筋肉が弱っていたようです.

4-5月:
SMCS Executive Committee会議がVancouverで開催され,その帰国の機内でパスポート入りポーチが盗まれました.徹夜で論文を仕上げてホテルから送り,その足で午前便に乗ったためトイレから戻った時に座席のポーチがなくなっていることにも気付かず,眠りから覚めて気付いた次第です.月曜日帰国で,その週の金曜日から英国Bristolで開催のACDM2008 へ行く予定だったのですが,出国できません.しかし,この会議では基調講演者でしたのでキャンセルは影響が大きいため,General ChairのProf. Ian Parmeeと相談し,スライドはWebEx(商用web会議システム),音声と映像はSkypeを使って私のオフィスから1時間講演をしました.機内でスリが居眠り乗客からパスポートを盗んでいるイラストスライドを作成して加えておきました.

6月
香港開催のWCCI2008 に参加し,パネリストとして企画パネルディスカッションで議論に参加してきました.SMC2008のSpecial Session ChairとしてのSMC2008プログラム編成の〆切りと学生との論文提出〆切が会期に重なったため,いけないとは思いつつも,ホテルと会場ではインターネットに接続してこれらの内職に忙しい日々でした.

D生の井上君と一緒に室蘭で開催されましたSMCia2008に参加しました.彼は上述の学位研究を発表しました.SMCiaはSMCSの主催です.

7月:
IEEE SMCSのPublication Committee会議がドイツのKonstanzで行われ,委員として参加し私が言い始めましたTechnical Map Projectの議論をしてきました.SMCSのカバー範囲が広いので,誰も全体像把握ができず,新しい技術が始まった時に学会としての対応が遅れます.そこで,新興技術をいち早く掴むため,テキストマイニング技術を使ってSMC会議等での発表論文題目を解析して新興技術を早く把握し,会議,出版などで学会として育てようとというのがこのプロジェクトの目的です.ブレインストーミングで各分野の新しいトレンド技術をピックアップしました.

Konstanzはスイス国境の町です.会議後年休を取って2日間のスイスアルプスハイキングを楽しみました.

8月:
大和英日基金,から1000ポンドの支援を得て英国デリー市にあるUlster大学を訪問しDr. Nazmul H. SiddiqueとIECによるロボットのチームフォーメーション生成の共同研究をしてきました.1000ポンドでは飛行機代にも足りないのですが,なければきっかけとして動けなかったので,その意味では有り難いご支援でした.

9月:
英国から引き続きクロアチアへ飛び,首都Zagrebで開催のKES2008に参加し,1時間の基調講演を行ってきました.General ChairのProf. Ignac Lovrekのご招待のおかげで実現しました.

その後,Barcelonaに飛び,HIS2008に参加しました.ここでの主目的は,HIS運営のメンバーと話し合いをし,これまでIEEE SMCSの協賛であったこの会議をSMCSの主催会議に引き上げるための交渉です.したがってBarcelona行きに伴う出張費増加分はSMCSの私の予算から出ています.おかげで,既に動き始めているHIS2009はSMCSとの共催に,HIS2010以降のSMCS主催については話し合い継続とのことになりました.

帰国して10日後の9/23-27は台湾へ出張しました.李健興教授から台南大学で開催の2008 World Computer GO Congress への基調講演を依頼されたものです.この出張期間中は4回の講演をしました.台北科技大学ではSMCS台北支部向けに Distinguish Lecturer Programに基づく講演を,台南市にある国立成功大学と長榮大学では学生向けに1時間rと1.5時間の講演を,そしてこの国際会議フォーラムでの基調講演です. 囲碁プログラムと台湾出身で日本棋院の周俊勲九段との対戦があり,翌日の地元新聞には格好の記事でした.

この台南大学正門前には昭和天皇が皇太子殿下の時にお手植えされた黒松があり,その横に卒業生が母校を思い出だすよう「帰る」にかけて石の蛙がおいてあります.これらは台南大学のシンボルとして中日英の3ヶ国語のプレートが埋められているのですが,日本語の誤訳数箇所と英語の誤訳1箇所を見つけました.黄学長に帰国後訂正案を送りましたところ,大学間学術協定時に贈るとの大学のシンボルが10月のシンガポールでの会議時に渡されました.そのようなものであれば私個人に受け取るよりはと,事情を話して私の部局である芸術工学研究院に受け取っていただきました.

10月:
シンガポール開催のSMC2008に参加しました.ここではSpecial Session Chairをしていました.土曜日全日 SMCS Executive Committee会議,日曜日全日 Board of Governors会議,月曜日にSMCS Associate Editor昼食会議と夜に3時間のSMCS Technical Committee Chair会議,火曜日昼に GOLD member (卒業後10年間の若手会員)会議といつもこの会議は暇無しです.

10日後にTeheran開催のイラン国内会議であるFuzzy and Intelligent Systemsでの基調講演に行ってきました.講演直後の休憩時に学生が列をなして質問に来たのには驚きました.あちこちで講演はしてきましたが,これほどアクティブな様子初めてです. イランファジィ学会の会長であるProf. M. R. Akbarzadeh-T. が招待を,開催大学のDr. Akbar Zareが滞在中のサポートをされました.

イラン入国にはビザが必要です.旅行者ビザですとTeheranの空港で入国直前に入手でき簡単ですが,私の場合イラン政府の助成金で来ているので東京のイラン大使館でビザを取得するように言われていました.HPの指示にしたがって自宅住所を書き切手を貼った返信用封筒を入れて申請したにも関わらず,九大箱崎の大学本部宛に送られたためトラブルになりました.九大は5つのキャンパスがあります.金曜日にもつかず,土曜日にも配達されず,大使館は週末閉鎖です.偶然箱崎地区管轄の博多郵便局にあることが分かり,受取,翌月曜日に出国した次第です.

12月:
中国江蘇省の無錫市にある江南大学の王同士教授を訪問しました.これまで2回,IECのクラスタリング応用の共同研究で学振に申請したのですが2008年もハズレでした.この2回目不採択がきっかけで訪問することになった次第です.

中国の新幹線であるChina Railway Highspeed (CRH) は2007年4月から営業開始をし,今回利用しました.同様に9月には台湾の新幹線にも乗りました.CRHの良い点は,上海と無錫を1時間弱で結んでくれることです.問題は,上海駅で往路は買えたが復路は望んだ時間帯に電車は1つも座席が空いていないことでした.ところが,この満席であった無錫からの往路は無錫駅では購入できたのです.ネットで調べるとどうも駅に販売の割当があるようなのです.海外からの旅行者が利用するためには,どこでも予約購入できるようにならないと旅行計画が立てられません.

12/20-21は登別温泉開催の第2回進化計算シンポジウムに参加しました.ここも1時間の基調講演で最近のIEC研究の話題について話しました.参加者が全員温泉に合宿し,並列セッションをなくし(多くはポスター発表),口頭発表は30分を割り当てて議論を深めることに特徴付けられた学会横断的なシンポジウムです.今年12月は沖縄開催です..


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教育活動E

九州大学は研究院制度を採っていて,学部と学府の教育系と教育が属する研究院とは別組織になっています.同じ研究院の教員が別の学部や大学院に教えに行くこともあるわけです.2008年度から芸術工学専攻がコース制に分かれ,私は芸術工学専攻デザイン人間科学コースで教えることになりました.学部で教えている芸術情報設計学科との関連が少ないので,卒研生はそのまま私の研究室に残ったまま進学することが困難になっており,今後の研究室運営上考えることが多々あります.

学部学府を合わせて,知能情報学特論,ソフトウェアアーキテクチャ,メディア情報処理・演習,学術英語A,その他演習科目を教えています.


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学会ボランティア活動

IEEE SMC Society (SMCS)の2008-2009期のVice-President,SMCS Technical Committee on Soft Computing のChair,IEEE Transaction on SMC-B の Associate Editorをしています.また昨年まで,SMC2006,SMC2007に引き続いて SMC2008 のSpecial Session Chair をしていました.それぞれのメールフォルダーに残っているメール数を調べてみますと,1908, 2642, 953通でした.この数はトラブルに比例するようです.

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プライベート


家族:
New Year Photos: (海外向けです)

The below is photos of my home on New Year Day thwhich is the biggest event in Japanese calendar. The left is traditional OSECHI cooking, Zohni soup that my wife made; and Toso that I prepared the right is my Japanese style room with New Year decorations such as Kagami-mochi, hanging scroll of calligraphy, Japanese art of flower arrangement that my elder daughter made, and a iron kettle for Japanese tea ceremony.
(Osechi cooking) (New Year decoration)

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