文部科学省所管 科学研究費補助金による研究
子育て支援プロダクト創出のための科学的エビデンスの構築(基盤研究(B),平成27~30年度)
赤ちゃんがどんな刺激を心地良く感じるかを客観的に知ることによって育児の負担が軽減できます。
本研究では、まず揺動刺激と音刺激に対する赤ちゃんの鎮静効果を科学的に明らかにします。ついでその科学的証拠を基に、ぐずる赤ちゃんをなだめるために有用なプロダクトを提案します。提案したプロダクトは、主観と生理値により評価しその有用性を検証します。さらに必要に応じて評価結果をフィードバックしてプロダクトを再設計します。最後に、明らかにした科学的証拠が、赤ちゃんの泣きに対応するために普遍的で必要十分であるかを検討・整理し、本研究を総括する予定です。
かつて炊飯器や冷蔵庫が主婦の家事負担の軽減に寄与したように、本研究成果は育児イノベーション創出に寄与します。
物理的サポートに基づく生理評価を伴う育児環境デザイン(挑戦的萌芽研究,平成25~27年度)
平成22年度の国勢調査によれば、子供を産み育てる全世帯に占める核家族世帯の割合は81.8%です。このことは、8割以上の親が、夫婦または片親のみで孤独に子供を育てなければならないことを意味します。このような社会背景において、子育て支援は急務です。
そこで本研究では、育児の精神的・肉体的負担軽減のために、とくに母親への物理的サポートに着目し、育児環境設計に必要十分なデザイン要件をまとめ、具体的なプロダクトを提案し、生理値による有効性を検証することによって育児環境をデザインします。これらを通して、子育てが楽しいと感じる総合的育児環境の構築を推進し、少子化社会対策に貢献します。
育児支援のための乳児用ベッドの開発に関する研究(萌芽研究,平成20~21年度)
福祉に関する研究は社会的弱者に向けられ、補助・支援のための具体的機器の研究開発は、高齢者や身体障害者を対象にすることが多いです。これとは対照的に、健常者の生活に関する場合、補助金や税制において優遇措置がとられる場合があるものの、身体作業や作業時間については当人たちの負担のままであり、現状では彼らの身体・精神的負担は必ずしも低減されていません。
本研究では、生活支援・補助機器の開発の対象を健常者の使用へ、また高齢者から若年者へ視点を変えて研究開発をおこなう点が斬新です。本研究では乳児が使用するベビーベッドに関し、人間工学の観点から乳児が感じる快・不快を実験的に明らかにし、設計工学の観点からベビーベッドを設計・製作し、制御工学の観点からベビーベッドを適切に動作させ、意匠デザインの観点から外観を完成させ、結果として保育者を支援する新しい工業製品(乳児用ベッド)を創出します。