「眠り」 

sleep

 昔、恩師が「どの生き物も、子供の形は愛らしくできている。親が子供を世話をするように、自然がそう仕向けたのだ」と仰った。我が子を見ていると、その言葉に納得する。彼らの全幅の信頼が、一層その存在を大切なものに感じさせる。彫刻を作り、かつ母親でいられることを本当にありがたいと思っている。子供がいなければ私はただの大人であり、彼らには親にさせてもらった恩がある。本作品には、その感謝をこめた。子供が母親に身体をあずけ、溶けるように眠っている様子を表現している。

 耐震対策で、本年度は工事を行っている国立大学が多い。私の勤務先も例に漏れず、工房は閉鎖されている。また科研が採択されたこともあり(→修験道美術の再現)制作のための時間とスペースがなかなかとれない。騒音に気をつけながら、小品を研究室の片隅で制作している。今回は、小さな彫刻制作の難しさを痛感した。手が入りすぎて、人形のようになってしまうのである(滑らかすぎると木の質感が失われ、彫刻になりにくい)。細かく作っては、鑿で平らに直す、という作業の繰り返しとなった。

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