「跳躍山犬」 

Jumping Wild Dog

 英彦山(ひこさん)の実家に北海道犬(テリー)がいる。この犬はアイヌの方々の狩猟犬だったこともあり、ヒグマや鹿などの大型獣に果敢に向かっていく驚くべき勇気の持ち主である。英彦山を散歩中に鹿を見かけると、突然疾風のように駆け出す。対象をみつめる眼は飼いならされた犬などではなく、狼のような野生を感じさせる。これまで数回、鹿を仕留めたことがある犬である。実家の近くにある三日月池に向かう途中、山側に鹿を見かけることが多い。走り出す彼の姿は、地面に足が着かず、跳躍しているようにみえる。本作品は、その緊張した疾走感、躍動感を表現している。

 白い犬のイメージはそのままにしたかったので、銀色を下地にしている。台座部分は知人からいただいた黒煙を使用した。木の台座は、九州大学箱崎キャンパスで伐採されたヒマラヤ杉を加工したものである。全体を三角形に集約するような構造にし、跳躍する躍動感を強調している。

この作品は、伊都キャンパスの椎木講堂に設置した《邂逅》という作品と対になっている(→作品ページ)。2024年に九州大学病院別府病院に設置された。

 

本作品は2024年1月に、九州大学病院別府病院に設置されました。場所は、自然光がはいる長い渡り廊下の突き当たり(1F)です。医療と自然環境、温泉、アート等によって「人々に癒しを与える」という三森功士病院長のコンセプトのもと改修が行われました(→改修に関する朝日新聞記事)。2月12日に行われた改修病棟の内覧会に参加させていただきましたが、明るく開放的な空間、最先端の医療機器や温泉を取り入れた設備に驚きました。病室からは、海や山々の広々とした美しい風景が一望できます。芸術工学研究院からはアートの設置に関する提案をさせていただいています。大分の芸術家を中心に、本研究院関係者をふくめた複数の作品が設置される予定です。

 

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