二風谷石彫設置プロジェクト

 1999年の活動 参加者レポート  二風谷作業日記  貝沢氏講演会 民族楽器)(講師紹介 

計良光則/智子座談会 2001年二風谷 インタビュー記事(アートアクティビズム)

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 北海道の二風谷ダムは、古来からアイヌ民族が生活をしてきた大切な土地に建設されました。アイヌ民族である貝澤氏、萱野氏は、ダム計画に対して「二風谷ダムを盾として、人間としての権利を求め」訴訟を起こし、「アイヌ民族の先住性」が認められ「ダムは違憲である」との判決を得たにも関わらず(1997年)ダムは施工されてしまいました。 〔参考/浦部法穂、中北龍太郎著 ドキュメント「日本国憲法」p87 日本評論社, 萱野茂 田中宏編集「アイヌ民族ドン叛乱/二風谷ダム裁判の記録」三省堂〕

二風谷ダム

 貝澤耕一氏のご好意により、寄贈という形で私の彫刻作品をダム横に設置できる運びとなりました。そして二風谷をめぐる事実を彫刻台座に付けたプレートに記す、いう事を現在計画しています。状況に応じて公共事業の方向性を変えることがこれほど困難なのはなぜなのか、近代の中で構造としての差別が残っていくのはなぜなのか、また、メディアで流れてくる情報内容と当事者の実感がこれほどかけ離れていくようになったのはなぜなのか、私たち日本人が「考えること」を後回しにしてきたものの重みを感じ、問い直したいのです。問いかける力、新たな認識の呼び水になる力が「芸術」に残存していることを期待します。

 私自身がこの事件に関して深く考えたことは「記憶」の問題です。イデオロギーを作品化するつもりはありませんが、ただなし崩し的に私も含めた和人側の記憶(利益追求の近代システムも含めて)が反省なく正当化されていくことには抵抗したいと考えています。当事者の記憶に可能なかぎり接近しつつ、一つの事実をあらゆる方向性から検討する客観性、そこから生じる複雑さに耐えうる認識に期待するのです。 日本のシステムを他者の立場(マイノリティー)からみて、はじめてそのシステムの総体を自ら実感でき、またデザインし直す原動力を得るのかもしれません。 ひとりひとりが「記憶」を相関関係(柔軟に再構築されていく関係性)の中で捉えながら、反省や再検討の努力を失わず、その複雑さに耐えていくための出発点になってほしいと思っています。

二風谷ダム裁判に関する詳しい内容については、次のURLにアクセスしてください。

ハワイ大学のMark A. Levin先生が二風谷ダム裁判判決文を英訳していらっしゃいます。 English(THE NIBUTANI DAM DECISION)(Action seeking reversal of a ruling confiscating rights, etc.
Judgment of the Sapporo District Court, Civil Division No. 3 issued March 27, 1997.)

北原恵氏のアートアクティビズム(雑誌「インパクション114号,116号」インパクト出版会)の中で、このプロジェクトの内容を取り上げて下さいました。

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石彫設置は沙流側沿いにテント生活しながら行います。参加希望の方は次のURLの「プロジェクト詳細」にアクセスして下さい。 プロジェクト詳細 テントは山岳部から借りる予定ですが、持参してくださると助かります。二風谷には民宿(約5000円)や温泉センターもありますので、生活に関してはご心配なさらないでよいかと思います。

設置作品:石彫作品 「回想ーニ風谷ダム」

      黒大理石 160×35×36?B 富永賞受賞作品

作品に、そのダムの事実を記したプレートを付け設置する。  文章の内容

「遠い昔から、この豊かな大地で生活してきた先住民族アイヌの人々。その事実を誰が変えられるだろうか。貝澤耕一氏(父・正氏)と共に、受け継ぐ文化をの大切さを訴えた人々に この像を捧げる」

予定地:北海道沙流郡平取町二風谷ダム横。 貝澤耕一氏の所有地 

*貝澤耕一氏プロフィール/ チコロナイ(ナショナルトラスト運動)現地責任者福祉法人二風谷福祉会理事長、平取アイヌ文化保存会事務局長*****貝澤氏は妻・美和子氏とお二人でシケレペ農場を運営しています。作物が持つ本来の味を届けるために、無農薬、有機栽培の野菜(じゃがいも、とうきび、かぼちゃなど)を郵送によって直売しています。注文はFAX:01457-2-3991(夜9:30まで)

設置場所の基礎の施工予定期間:8月6日〜15日(参加される方の都合に合わせて、可能な日にいらして下さい。)

作業手順:設置場所に穴を掘り、砂利を引いて、コンクリートを流し込む台座の石(鉄心を横にさし込む)をコンクリートに固定し、その上に作品を設置。台座と作品は固定用の鉄心とエポキシボンドでつなぐ。

宿泊地:沙流川沿いの貝澤氏所有地に、テントで自炊(バス停「2号線」横) 

問い合わせ先:mail

 815-8540 福岡市南区塩原4-9-1 九州芸術工科大学 

tel/ fax 092-553-4465 

知足院(ともたり)美加子

(芸術情報設計学科 芸術文化論講座助手)

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