「若者に脱炭素行動を促すために学生が考えた啓発ポスター展」を開催しました

2025年12月17日から19日にかけて、福岡市役所ロビー(多目的スペース)にて、九州大学芸術工学部国際プログラムと公益財団法人福岡アジア都市研究所(URC)による「若者に脱炭素行動を促すために学生が考えた啓発ポスター展」を開催しました。
本展示は、福岡アジア都市研究所が令和6年度から進めている「ゼロカーボンシティ福岡へ向けた行動変容に関する研究」の一環として実施したものです。

国際プログラムの学生たちは、若者の脱炭素行動を促すための啓発ポスターを英語で制作し、展示では英語のオリジナル版に加え、機械翻訳による日本語の簡易版も併せて紹介しました。
ポスターのテーマは、以下の3つの行動です。
 1. 節水
 2. 地産地消
 3. エシカル消費(人や社会、環境に配慮した消費行動)

来場者は、気に入ったポスターを選び、「感想・コメント」シートに記入して投票箱へ投函する形式で参加しました。投票にご協力いただいた方には、学生がのポスター作品をもとに制作した特製ステッカー(全6種類)の中から1枚をプレゼントしました。
3日間の会期を通じて、合計65名の市民が投票に参加し、学生の提案や脱炭素行動への関心の高さがうかがえる結果となりました。

以下に、参加者から寄せられたコメントの一部をご紹介します。
「若者へ向けて啓発する際、『脱炭素』という言葉の強さから引いてしまう人も多いが、キャッチーなイラスト等により、『脱炭素』へのハードルが下がり、受け入れられやすい内容になっていると感じた」
「Really pretty design & practical idea for the issue.」
「CO2削減には小さなサイクルで消費を回すことが有効、その点をうまく捉えていると思った」

ご来場いただいた皆さま、また投票やコメントをお寄せくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

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「SDGs Design International Awards 2025」 受賞者発表および授賞式を開催しました

2025年12月11日(木)に、「SDGs Design International Awards 2025」 受賞者発表および授賞式を開催しました。46の国と地域から計430点の応募作品が寄せられ、サステナブルデザインの国際的な議論の場を大きく広げました。

SDGs Design International Awards2025について

「対立の時代を共に生きる 『 境界を越える社会デザイン』」を議論するグローバルな場を創出する。
「SDGs Design International Awards 2025」は、九州大学、東西大学(韓国)、同済大学(中国)がの3大学が中心となり、今年度のテーマ「対立の時代をともに生きる『境界を越える社会デザイン』」をテーマに掲げ開催しました。
本アワードは、東西大学校RISE(Responsible Design for Environment and Empowerment)の支援も受け、地域・産業・教育をつなぎながら、グローバルなデザイン力を育成する代表的な取り組みとして、確固たる地位を築いています。
今年度は 「平和のためのデザイン」、「周縁の声とともにデザインする」「仮想と現実のあいだに生きる」の3分野に焦点を当て、ビジュアル、環境、ファッション、プロダクト、建築、都市計画、工学、社会など、多様な領域から社会課題の解決を目指す創造的なアイデアが多数寄せられました。

46の国と地域から430作品が応募され、国際アワードとしての地位をさらに強化
2025年10月1日から31日までの応募期間中、46の国と地域、99大学、15高校から、計430点の応募作品が寄せられました。これにより、本アワードが国際的なデザインアワードとして確かな評価を得ていることが改めて示されました。
 特に今年は、戦争や気候危機、社会的分断といった世界的な課題を、デザインの視点から再解釈した作品が多く見られ、審査員から高い関心が寄せられました 。

予備審査・一次審査・最終審査の3段階による選考
応募作品は、2025年11月に、予備審査・一次審査・最終審査の3段階からなる審査プロセスを経て、受賞作品が選出されました。審査には国内外のデザイン専門家が参加し、創造性、社会的価値、実現可能性、デザインの完成度などの観点から、総合的な評価が行われました。

「境界を越えて持続可能な未来を共に考える場に」
今年のアワードは、対立の時代において、私たちがどのように共生していくのか、そしてデザインを通じてどのような社会的オルタナティブを提示できるのかを深く考える、意義深い機会となりました。今後も、SDGsの目標達成に向け、国際的なクリエイティブ人材が継続的に協働できるプラットフォームとしての発展を目指していきます。

以下、受賞作品を紹介します。

結果発表

金賞
「 Link-it:ピア・パートナーシップによる、持続的な自立の促進」
Minseo Kim, Seojung Park (University Of Ulsan, 韓国)


   Link-itは、児童養護施設などの制度的ケアを受けて育ち、18歳で支援から離れる若者(ケアリーバー)が直面する、構造的かつ不安定な状況に向き合うソーシャルデザインプロジェクトである。本プロジェクトは、「周縁化された声と協働するソーシャルデザイン」というテーマに基づいて展開されている。
 ケアリーバーは、18歳を迎えた瞬間に、経済的支援だけでなく、人間関係による支援ネットワークも突然失うという、極めて脆弱な立場に置かれる。Link-itは、こうした従来の一時的・断片的な支援モデルを根本から見直し、継続的な関係性に基づく支援フレームワークの構築を提案する。
 本プロジェクトの中心的な革新性は、ピア・メンタリング・システムの導入にある。自立したケアリーバーを選抜・育成し、信頼できるガイドとして活動してもらうことで、当事者としての経験を専門性として活用し、深い信頼関係に基づく支援を可能にしている。これは、従来のメンターでは容易に代替できないという点で、極めて重要である。
 このシステムを支えるのが、専用のデジタルプラットフォーム「Link Channel」だ。賃貸契約や金銭管理など、判断ミスが大きな影響を及ぼす重要な局面において、リアルタイムで相談できる安全かつ信頼性の高いライフラインを提供し、リスクの最小化を図る。
 Link-itは、制度によって生み出されてきた脆弱性を、持続可能な個人のレジリエンスへと転換し、社会的分断を越えた、長期的で信頼に基づくアライシップの構築を目指す。構造化されながらも共感に根ざしたガイダンスを通じて、ケアリーバー一人ひとりが、自らの安定した未来を主体的に切り拓く存在となることを支援する。

■銀賞
「Order」
Bitna Tak, Sinji Joung, Minsu Kim (Sejong University, 韓国)


    Orderは、社会的孤立やデジタル格差に直面する高齢者を支援するために設計された、ウェアラブル型コミュニケーションデバイスである。デジタルデバイドを解消し、人と人とのつながりを強化することで、高齢者がデジタル公共サービスに自信をもってアクセスし、日常生活により主体的に参加できるよう支援することを目的としている。
 ブローチ型スマートカメラによってキオスクや印刷物の情報を即座に読み取り、AIを搭載した補聴デバイスを通じて、明瞭でリアルタイムな音声ガイダンスとして利用者に提供する。特に、難聴のある高齢者やデジタルリテラシーが低い利用者にとって、混乱や他者への依存を大きく軽減する点が特徴である。本デバイスの革新性は、音声を中心としたインターフェースにあり、デジタル操作の複雑さを、人との会話に近い「尋ねて、聞く」という直感的な体験へと変換する、自然なコミュニケーションの流れから着想を得ている。
 Orderは人間中心デザインに基づいた設計により、高齢者の自律性の回復、孤独感の軽減、社会参加への意欲の向上に寄与する。リアルタイムのデジタル情報を音声でわかりやすく伝えることで、オンライン・オフライン双方におけるコミュニケーションを支援し、高齢者が場所を問わず、より自立して行動できる環境を実現する。さらに、高齢化社会における高齢者の社会的孤立の解消やSDGsの達成にも貢献する、拡張性と包摂性を備えたデジタル適応モデルを提示している。


■銅賞
「ガラスの中の季節:生涯のウェルビーイングのための、誰にでもやさしい室内ガーデニング」
Yuanzi Wu (Pratt Institute, アメリカ) 


 本プロジェクトは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」および SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献することを目的とし、ニューヨーク州ハドソンに暮らす高齢者や身体的に制約のある住民を対象に、身体的健康、精神的な明晰さ、そして社会とのつながりを促進する、インクルーシブな屋内ガーデニングシステムを提案する。ハドソン州では、3か月以上に及ぶ長く厳しい冬が屋外活動を制限し、高齢者の社会的孤立を深刻化させている。本プロジェクトは、アクセス可能な屋内活動空間が不足しているという課題に対し、十分に活用されていない地域の共有スペースを、年間を通して利用可能な治療的庭園と転換することで、その解決を目指す。
 この庭園には、高さ調整可能(24〜36インチ)の高床式プランターを設置し、車いす利用者を含む、移動やバランスに制約のある人々でも無理なく参加できる環境を整えている。さらに、アロマセラピー、感覚を刺激する植栽、健康的な食生活をテーマにした共同活動を組み合わせることで、視覚・嗅覚・触覚・味覚を刺激する多感覚的な体験を提供する。この庭園は、単なる身体活動の場にとどまらず、住民同士が経験を共有し、緑に囲まれながら対面で交流し、自然を通じて再びつながることのできるコミュニティの中心的な場となる。
  アクセシビリティ、モジュール設計、感覚的ウェルビーイングを統合することで、本プロジェクトは、エイジング・イン・プレイス(住み慣れた地域で年を重ねること)およびコミュニティのレジリエンスを支える、革新的かつ包括的なアプローチを提示し、あらゆる世代の健康を支える建築・環境のあり方を再定義する。

■名誉賞
「 共に歩むための『見える道』を備えた都市 ― City Togetrun 」
Seong Ju Eun(DongseoUniversity, 韓国)


 視覚障がい者や下肢に障がいのある方が、公共交通機関の利用や、移動や旅行をより円滑に行うためには、聴覚・触覚によるユーザーガイダンスや、周囲に視覚障がいのある利用者がいることを周知する仕組みが有効である。本取り組みは、ユーザーによるスポンサーシップを活用し、必要とする人々への提供を想定している。これにより、これまで一人での移動や旅行が困難であった視覚障がい者に対し、自由に移動できる新たな選択肢を提供することを目指す。
また、視覚障がい者を取り巻く社会的認識の変化を促すとと同時に、コスト削減との両立を可能にするシステム構造の構築にも取り組んでいる。

本プロジェクトを含む全37チームが、創造性の高さ、テーマとの適合性、ならびに社会的価値の実現可能性の観点から評価され、奨励賞を受賞しました。
受賞の詳細はこちらから  https://uni.dongseo.ac.kr/adcf/index.php?pCode=MN8000043&mode=view&idx=1056 

■高校生特別賞
「 MindBridge :10代の心に寄り添うバーチャルフレンド 」
WenfanSha, ZiHanQi (Beijing Navigation School, 中国)


 MindBridgeの役割は、多くの10代の若者が日々、特に夕暮れ時に感じる漠然とした不安や焦りを緩和することである。こうした感情は、終わっていない宿題へのプレッシャーや、大変で長かった一日の疲れなど、さまざまな要因によって生じる。私たちは特に、感情的なニーズが見過ごされがちな、思春期の若者を対象としている。
 本プロダクトの特徴は、環境に配慮した3Dプリント技術によって製作される、ユニークでカスタマイズ可能なシェルにある。ユーザーは自分の感性や気分に合ったデザインへと自由に変えることができ、MindBridgeは単なるデバイスにとどまらず、個性を映し出す持続可能なパートナーとして機能する。
 本プロジェクトの核心的な革新性は、これまで見過ごされてきた二つの重要な領域にあると考えている。 一つ目は、10代の若者は決して一括りにできる存在ではなく、それぞれ異なる感情や学習状況を抱えており、個々に適応するパーソナライズドAIサービスを必要としており、また享受すべきである点だ。 二つ目は、これまでほとんど注目されてこなかった、時間帯によって引き起こされる情緒的な低調期、すなわち「サンセット・アングザイエティ(夕暮れ時特有の不安感)」という感情に着目した点だ。
 私たちはMindBridgeを通して、こうして見過ごされてきたギャップを埋めることを目指し、テクノロジーが思春期の若者のメンタルウェルビーイングに対して、いかに思慮深く寄り添うことができるのかを示す。

高校生部門では、4チームが「高校生特別賞」を受賞しました。
これは、SDGsに基づくデザイン教育の拡張性と、次世代を担う若者たちの社会課題解決能力が高く評価された結果です。
https://uni.dongseo.ac.kr/adcf/index.php?pCode=MN8000043&mode=view&idx=1056

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Geiko International Reunion 2025開催報告

九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府は、世界各地で活躍する同窓留学生とのネットワークを強化し、多様なキャリアパスや専門分野に関する知見を共有することを目的として、2025年12月16日に「Geiko International Reunion 2025」をオンラインで開催しました。

日本時間17時から19時まで、オンラインプラットフォームSpatialChatを用いて実施し、同窓生、在学生、そして本学の教職員が参加しました。プログラムは、芸工インターナショナルオフィス室長のGerard B. Remijn教授による開会あいさつで始まり、副室長のYaya Yao助教から芸工の近況報告が行われました。

基調講演では「多様なキャリアデザイン」をテーマに、4名の卒業生が登壇しました。フィンランドの大学機関で博士研究員として活躍するNatalia Postnova博士、九州大学大学院芸術工学研究院で教員を務めるLaura Blanco助教、日本企業でエンジニアとして勤務するAlexis Valletさん、そしてインドネシアで起業家として活動するRahmawati Hidayah博士が、それぞれのキャリア形成の過程と経験を共有しました。参加者にとって、卒業後のキャリアの可能性を知る貴重な機会となりました。

講演後には集合写真を撮影し、続く交流会ではリラックスした雰囲気の中で参加者同士の会話が弾みました。今回のイベントには、日本、インドネシア、フィンランド、クウェートの4か国から合計24名が参加しました。1976年および1989年に九州芸術工科大学を卒業された大先輩から、2025年9月に卒業したばかりの卒業生、さらには在学生まで、約半世紀にわたる世代の芸工生が一堂に会する、温かな時間となりました。

芸工インターナショナルオフィスでは、今後も同窓生ネットワークを通じた協働と共創の場を継続的に提供してまいります。


お問い合わせ先
芸工インターナショナルオフィス
E-mail:gkintl-ofc@jimu.
@jimu.のあとは、kyushu-u.ac.jpをつけてください。

MulSHIPシンポジウム「社会における仮想と現実の境界線」を開催しました

2025年12月13日(土)、九州大学大橋キャンパスにて、マルチバース社会デザイン研究拠点プロジェクト(MulSHIP)主催のシンポジウム「社会における仮想と現実の境界線」を開催しました。

MulSHIPは、芸術工学研究院が中心となり、仮想空間と現実空間が融合するマルチバース社会において、人々が健康を維持しながら多様な幸せ(Well-being)を実現できるデザインと仕組みを研究し、社会実装を進めるプロジェクトです。

本シンポジウムでは、メタバースと現実社会が重なり合う現代において、その境界をどのように捉え、社会や人間の営みにどのような影響をもたらすのかをテーマに、学内外の研究者および実務者による講演と議論を行いました。
前半では、勝村啓史准教授(九州大学大学院芸術工学研究院)による「マルチバース人類学」をテーマとした講演に続き、瀬戸山晃一教授(京都府立医科大学大学院)より、マルチバース社会における倫理・法・社会的課題(ELSI)についての基調講演が行われました。
また、磯田和生氏(大日本印刷株式会社)からは、XR技術を活用したアート体験の事例が紹介され、仮想技術が文化体験を拡張する可能性が示されました。
後半のディスカッションでは、「仮想と現実の境界線」をキーワードに、教育、文化、倫理、社会実装といった多様な視点から活発な意見交換が行われました。仮想と現実を対立的に捉えるのではなく、相互に補完し合う関係として捉える重要性が、登壇者・参加者の間で共有されました。

本シンポジウムを通じて、マルチバース社会がもたらす新たな価値と課題について理解を深めるとともに、今後の研究および実践につながる多くの示唆が得られました。MulSHIPでは、今後も仮想空間と現実社会をつなぐ研究と対話の場を継続していきます。


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【一般公開】レクチャー&ワークショップ「光をつくる/光で考える —— ネオン管加工の技術と美学」

ネオン管は、効率や安全性の観点からすでに「時代遅れの技術」と見なされることが少なくありません。しかし、その危うさや不便さこそが、今日においては表現の強度となり得ます。本レクチャーおよびワークショップでは、ネオン管加工の専門家2名を講師に迎え、ネオン管加工の実演・設計体験を通して、光をつくる技術と、それを用いる思考の両面に触れます。制作体験にとどまらず、工業技術と現代美術、都市文化、仕事としてのものづくりの現実を横断的に考える機会となるはずです。

「光をつくる/光で考える —— ネオン管加工の技術と美学」

日時:2025年12月19日(金)10:00-17:30
 午前の部(レクチャー):10:00-12:00
 お昼休憩:12:00-13:00
 午後の部(ワークショップ):13:00-17:30
会場九州大学大橋キャンパス内 印刷実験棟 2階 講義室
講師:坂口照好・坂口恵子/(有)関東ネオン 代表
対象:午前の部(レクチャー)はどなたでも参加可能
     ワークショップは学内者のみ可:先着5名まで
定員:20名程度(ワークショップ体験は安全管理や機材数量の理由により、学内者5名までの参加が可能)
参加費:無料

内容
午前の部(レクチャー)
• ネオン管について
• ガラス管加工の実演

午後の部(ワークショップ)
• ネオン管を用いた形態設計
• 簡単な加工体験
• 試験発光およびディスカッション
※内容は安全管理および進行状況により変更される場合があります。

ワークショップ参加条件、注意事項
• 高温のバーナーおよびガラス素材を扱います。
• 加工体験は、当日の進行および安全判断により制限されることがあります。
• 安全管理の指示に従えない場合、参加をお断りすることがあります。
• 作業服(綿100%の長袖ツナギ)を着用して参加してください。ヒールやサンダルはNG。
• ワークショップのみの参加は不可(レクチャーも併せて参加してください)。
• 筆記用具を持参してください。

申込方法
• 申込フォーム:https://forms.gle/BbL9yz5tSSyaemc79
• 申込締切:2025年12月18日(木)正午
※ワークショップは先着定員5名までとなります

主催・問い合わせ
• 主催:九州大学芸術工学部未来構想デザインコース
• 問い合わせ:mizuta.masaya.466@m.kyushu-u.ac.jp

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『未来を創るストラテジックデザイン』(株式会社BNN)の出版

ストラテジックデザインに関する思想と実践を体系的に整理した書籍『未来を創るストラテジックデザイン』が、株式会社BNNより日本語版として刊行されます。本書の日本語版刊行にあたっては、芸術工学研究院ストラテジックデザイン部門の羽山康之助教が翻訳に携わるとともに、研究成果に基づく考察を含む章が新たに加えられています。

本書は、デザインを造形や表現の実践を基盤としながら、組織や社会、ビジネスのあり方を構想し、将来の価値創出を導くための思考として捉える視点を提示しています。
理論的枠組みの整理に加え、複数の実践事例を通して、ストラテジックデザインの役割と可能性が論じられています。

羽山助教が執筆に関わった章では、これまでの研究成果をもとに、デザインを新しい世界のあり方を構想し、創り出していく営みとして捉える新たな視点が示されています。

本書は、デザイン分野に限らず、ビジネス、イノベーション、教育、公共分野など、複雑な課題に向き合う多様な領域において、思考の枠組みを整理・再考するための理論的・実践的な知見を提供するものです。

ご興味のある皆さまにご活用いただけますと幸いです。


書籍情報
書名:『未来を創るストラテジックデザイン』
出版社:株式会社BNN
刊行年:2025年
編著ジャンルカ・カレッラ(ミラノ工科大学)フランチェスコ・ズーロ(ミラノ工科大学)
翻訳羽山 康之(芸術工学研究院ストラテジックデザイン部門 助教)

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【ものづくりの展示会】知足研展2025開催のお知らせ

九州大学芸術工学部メディアデザインコース・知足研究室では、所属学生による作品展「知足研展」を今年も開催いたします。

本年度は「ものづくりの展示会」をテーマに、平面・立体・漫画・映像など、学生たちが制作した多様な成果を一堂に展示します。知足研究室の学生が積み重ねてきたものづくりの軌跡を、ぜひご覧ください。

ご来場いただいた方には、先着でオリジナル「芸工ステッカー」をプレゼントいたします。会期中は、大橋キャンパス併設の食堂(デザインコモン1F)も特別仕様に装飾され、展示とあわせてお楽しみいただけます。

事前申込や参加費は不要です。学内外問わず、どなたでも自由にご参加いただけますので、ぜひこの機会にお越しください。

日時
2025年12月16日(火)–12月18日(木) 11:30–19:00

場所
九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟1Fホール

運営
芸術工学部メディアデザインコース・知足研究室
ディレクター / デザイナー:河内拓海
キャラクターデザイン(Knight):重村光陽
キャラクターデザイン(Witch):仁部尭
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【重要】芸術工学府の修士課程入試における外部英語試験に係る変更ついて(予告)

九州大学大学院芸術工学府の修士課程入試では、令和82026)年に実施する修士課程入試から、出願に必要なスコアを設定します。また、対象とする外部英語試験にIELTS(アカデミック・モジュール)を追加します。詳細は添付ファイルご確認ください。

添付ファイル
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九州大学×福岡県聴覚障害者協会青年部 コンサート&公開講座「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」を開催します

九州大学大学院芸術工学府では、さまざまなコースの学生が課題解決にむけて集まる科目「スタジオプロジェクト」を開講しています。
2025年度開講のスタジオプロジェクト科目の一つ「ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト」の後期では、音響工学や音楽、メディアデザイン等を専門とする大学院生が中心となり、さまざまなきこえかたの人たちが音楽の感覚をどのように共有することができるかをテーマとしました。河合拓始(作曲家、ピアニスト)、鈴木玲雄(福岡ろう劇団博多)、Sasa-Marie(サイン・ポエット)をゲスト講師に迎え、福岡県聴覚障害者協会青年部のメンバー、福岡ろう劇団博多のメンバーも交えながら、小さな作品を創作しています。
今回、この授業の集大成として、コンサート&公開講座を開催します。学生の発案で考えたタイトルは「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」です。授業のプロセスで制作されたパフォーマンスを披露するとともに、そのプロセスで何を考え、聴覚障害と音楽の関係を考えるうえで必要なことは何か、ディスカッションを行います。音をめぐる新しい表現のあり方を、ともに考えてみませんか。

*昨年度までの取り組みは報告書をご覧ください。https://hdl.handle.net/2324/7360088

「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」

日程
2026年1月22日(木) 18:30開場 19:00開演 20:30終演予定

会場
九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟(福岡県福岡市南区塩原4-9-1)
*可能な限り公共交通機関をご利用の上ご来場ください。

出演
<ゲスト講師> 河合拓始(作曲家、ピアニスト)、鈴木玲雄(福岡ろう劇団博多)、Sasa-Marie(サイン・ポエット)
「スタジオプロジェクトIV-B(ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト4)」受講生 ほか

参加費:無料(定員80名)/全席自由席

参加方法
下記申し込みフォーム、またはメール、FAX、電話にてお申し込みを受け付けます。
申込みフォーム https://forms.gle/FppTSFXjKvHjxUpTA
E-mail:hmepgm@gmail.com
FAX/Tel:092-553-4559(火・水・木 10:00~17:00)
<申し込み必要事項>
① 氏名、②ふりがな、③連絡先、④写真や動画撮影による映り込みの承諾 ⑤そのほか配慮等の希望

アクセシビリティ
・手話通訳:ステージおよび会場内に手話通訳者を手配します。
・リアルタイム字幕:ステージでは音声を文字化するアプリ「UDトーク」を活用したリアルタイム字幕を提供します。
・その他、当日の配慮についてご要望等がありましたら、可能な範囲で対応いたします。

交通アクセス
<JR博多駅から>
福岡市営地下鉄空港線6分「博多駅」→「天神駅」→西鉄天神大牟田線4分「西鉄福岡駅」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス30分「博多駅前A」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス22分「博多駅前A」→「塩原4丁目」→徒歩5分
JR鹿児島本線3分「博多駅」→「竹下駅」→徒歩15分
<天神から>
西鉄天神大牟田線4分「西鉄福岡駅」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス27分「天神大丸前4B」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分

主催:九州大学大学院芸術工学府「スタジオプロジェクトIV-B(ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト4) 」(指導教員:尾本章、長津結一郎、Sasa-Marie)
共催社会福祉法人福岡県聴覚障害者協会青年部、九州大学大学院芸術工学研究院附属社会包摂デザイン・イニシアティブ
後援:福岡市、社会福祉法人福岡県聴覚障害者協会
協力:福岡ろう劇団博多、キコエナイ×キコエル発展事業委員会
助成:一般財団法人曽田豊二記念財団、科学研究費補助金JP24K03222、JP23K17491

お問い合わせ先
ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト
hmepgm@gmail.com または 092-553-4559(火・水・木 10:00~17:00)

添付ファイル
参照リンク

【研究・社会連携】 フジッコ株式会社との共同企画ナタデココ端材を活用した新素材アート作品を「DESIGNART TOKYO 2025」に出展

九州大学大学院芸術工学研究院 未来共生デザイン部門の田羅義史助教と、フジッコ株式会社(本社:神戸市中央区)は、食品製造の副産物であるナタデココ端材を新たな素材として活用した芸術作品を共同で制作し、2025年10月31日〜11月9日に開催された国内外から出展者の集まるデザインイベント「DESIGNART TOKYO 2025」にて発表しました。
本作品は、ナタデココが本来持つセルロースナノファイバー(CNF)としての質感・透明感・柔軟性に着目し、食品からアート素材へと展開する新たな価値創造を試みたものです。会期中は多くの来場者から注目を集め、食品素材の未来的な可能性に対する強い関心が寄せられました。

■取り組みの背景
ナタデココは、酢酸菌の働きによって生成されるバクテリアセルロースであり、セルロースナノファイバーの一種としても知られています。フジッコ株式会社は1993年より国内唯一のナタデココ自社生産を続けており、食品分野だけでなく、化粧品や紙製品など幅広い用途で応用研究を進めてきました。
田羅助教は、素材起点のデザインリサーチやアート作品制作を専門としており、透明性・強度・成形性の高さを持つナタデココに注目してきました。これまでも同素材を用いたアート作品を発表しており、食品素材が持つ新しい物質性・象徴性を探究し続けています。
今回の共同制作では、フジッコの製造工程で生じる「端材」を素材として活用することで、食品製造における副産物の価値転換と循環型デザインの可能性を探りました。

■出展内容
展示されたウェディングドレス作品は、数百枚のナタデココ端材を独自の成形技術で加工し、光を透過するレイヤー構造として再構成したものです。食品でありながら光学的・彫塑的な美しさを持つナタデココの魅力を引き出し、来場者からは「食品とは思えない」「循環素材としての未来を感じる」と大きな反響をいただきました。

■今後の展望
九州大学大学院芸術工学研究院 未来共生デザイン部門とフジッコ株式会社は、ナタデココをはじめとする発酵由来素材の新用途開発を継続し、環境調和型の素材開発・表現手法・社会実装の研究を進めていきます。
食品製造で生じる副産物を新たなクリエイティブの源に転換する本取り組みは、循環型社会の構築に向けたひとつのモデルケースとなることを目指しています。今後も、素材研究・アート・デザインを横断した学際的なプロジェクトを推進していきます。

<写真>実際に展示された作品(撮影:Kazuo Yoshida 氏)

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【受賞作品発表】2025アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA

九州大学と福岡県や福岡市などが中心となって主催するメディアアートコンペティション「2025アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA(ADAA)」は、北部九州からデジタルコンテンツの創造を担う高度な技能と豊かな感性を持つクリエータの発掘・育成の場として、2001年にスタートしました。

25回目を迎える今回のコンペティションで、世界15の国と地域から591点の応募があり、アジアデジタルアート大賞をはじめとする計53点の受賞作品を選定しました。
なお、芸術工学部および大学院芸術工学府の学生が、以下の7作品で経済産業大臣賞などを受賞しました。

受賞作品はアジアデジタルアート大賞展FUKUOKA公式ウェブサイトにて公表するとともに、2026年3月3日(火)~3月8日(日)に福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園1-6)にて受賞作品展を開催いたします。また、2026年3月7日(土)には同美術館で表彰式を行う予定です。

受賞作品の詳細は、ADAA公式ウェブサイトをご覧ください。

芸工生の受賞作品

▪一般/エンターテインメント(産業応用) 部門 大賞、経済産業大臣賞
Hidden ghosts
藤井 俊貴(芸術工学府メディアデザインコース修士2年)
須長 正治(大学院芸術工学硏究院)

▪学生/静止画部門 優秀賞
EYE
中務 航(芸術工学部メディアデザインコース3年)

▪学生/静止画部門 入賞
Equinoxの幻想植物
張 航(芸術工学府未来共生デザインコース修士1年)

▪学生/静止画部門 入賞
Whisper of the Valley
景谷 蔵馬(芸術工学部メディアデザインコース4年)

▪学生/静止画部門 入賞
花になって
重村 光陽(芸術工学府メディアデザインコース修士1年)

▪学生/動画部門 入賞
The Collector
奥 大智(芸術工学部メディアデザインコース4年)

▪学生/エンターテインメント(産業応用) 部門 入賞
Monokko
大塚 敏郎(芸術工学部メディアデザインコース2025年卒業)
後藤 汰誓(芸術工学府音響設計コース修士1年)
石山 遼(九州大学大学院システム 情報化学府情報理工学専攻データ サイエンスコース)

【画像】(上)「Hidden ghosts」、(下)「EYE」

参照リンク

現代実践フォーラム 講演会 #23 フロリアン・エブナー(ポンピドゥー・センター)が革新的な展示デザイン戦略を語る 「ホワイトキューブからの脱却、舞台装置のリサイクル、鑑賞階層の逆転」

このたび、芸術工学研究院では下記のとおり、現代実践フォーラム 講演会 #23 フロリアン・エブナー(ポンピドゥー・センター)が革新的な展示デザイン戦略を語る 「ホワイトキューブからの脱却、舞台装置のリサイクル、鑑賞階層の逆転」を開催します。


▪日時: 2025年12月15日(月)17:00〜19:00
▪会場: 九州大学大橋キャンパス デザインコモン2F および オンライン配信
▪使用言語: 英語
▪主催:九州大学大学院芸術工学研究院
    令和4年度大学改革活性化制度「日本デザインを創造し国際発信できる人材育成のための教育プログラムの構築」
▪共催:芸工インターナショナルオフィス
▪助成:日本学術振興会科研費[24K03582]

*オンラインでの参加をご希望の方は、以下のフォームからご登録ください。
https://forms.office.com/r/E3RzPDASPf


本フォーラムでは、ポンピドゥー・センター(パリ、フランス)写真部門のキュレーターであるフロリアン・エブナー氏がオンラインで登壇し、展示デザインへの画期的なアプローチについてお話しくださいます。
今回がキュレーター・トークシリーズの第2回となり、第3回は2026年1月9日に東京都現代美術館の崔敬華氏をお招きして開催予定です。

ポンピドゥー・センターは9月末から、5年間の改修工事のため閉館しています。エブナー氏は、この閉館前最後の展覧会である「ヴォルフガング・ティルマンス:Nothing could have prepared us – Everything could have prepared us」(2025年6月13日~9月22日)や、2015年ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館のキュレーションを担当しました。
本フォーラムでは、これらの展示プロジェクトを例に、エブナー氏が、展示室内の既存の素材や空間を活用・再利用し、どのように展示デザインを展開しているのか、キュレーターの立場から語ってくださる予定です。



Florian Ebner(フロリアン・エブナー)
ポンピドゥー・センター写真部門キュレーター兼部門長。フランス・アルル国立高等写真美術大学卒業後、ドイツ・ボッフム・ルール大学で美術史・歴史・ロマンス語文学の修士課程修了。写真と現代美術の分野で30年以上活躍しており、国際的に重要な美術館でのキュレーター職を歴任。2012年末から2017年までフォルクヴァング美術館(ドイツ・エッセン)写真コレクション部長を務め、2009年から2012年まではブラウンシュヴァイク写真美術館(ドイツ)館長を務めた。2015年には第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展ドイツ館のキュレーションを担当した。