Geiko International Reunion 2025開催報告

九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府は、世界各地で活躍する同窓留学生とのネットワークを強化し、多様なキャリアパスや専門分野に関する知見を共有することを目的として、2025年12月16日に「Geiko International Reunion 2025」をオンラインで開催しました。

日本時間17時から19時まで、オンラインプラットフォームSpatialChatを用いて実施し、同窓生、在学生、そして本学の教職員が参加しました。プログラムは、芸工インターナショナルオフィス室長のGerard B. Remijn教授による開会あいさつで始まり、副室長のYaya Yao助教から芸工の近況報告が行われました。

基調講演では「多様なキャリアデザイン」をテーマに、4名の卒業生が登壇しました。フィンランドの大学機関で博士研究員として活躍するNatalia Postnova博士、九州大学大学院芸術工学研究院で教員を務めるLaura Blanco助教、日本企業でエンジニアとして勤務するAlexis Valletさん、そしてインドネシアで起業家として活動するRahmawati Hidayah博士が、それぞれのキャリア形成の過程と経験を共有しました。参加者にとって、卒業後のキャリアの可能性を知る貴重な機会となりました。

講演後には集合写真を撮影し、続く交流会ではリラックスした雰囲気の中で参加者同士の会話が弾みました。今回のイベントには、日本、インドネシア、フィンランド、クウェートの4か国から合計24名が参加しました。1976年および1989年に九州芸術工科大学を卒業された大先輩から、2025年9月に卒業したばかりの卒業生、さらには在学生まで、約半世紀にわたる世代の芸工生が一堂に会する、温かな時間となりました。

芸工インターナショナルオフィスでは、今後も同窓生ネットワークを通じた協働と共創の場を継続的に提供してまいります。


お問い合わせ先
芸工インターナショナルオフィス
E-mail:gkintl-ofc@jimu.
@jimu.のあとは、kyushu-u.ac.jpをつけてください。

MulSHIPシンポジウム「社会における仮想と現実の境界線」を開催しました

2025年12月13日(土)、九州大学大橋キャンパスにて、マルチバース社会デザイン研究拠点プロジェクト(MulSHIP)主催のシンポジウム「社会における仮想と現実の境界線」を開催しました。

MulSHIPは、芸術工学研究院が中心となり、仮想空間と現実空間が融合するマルチバース社会において、人々が健康を維持しながら多様な幸せ(Well-being)を実現できるデザインと仕組みを研究し、社会実装を進めるプロジェクトです。

本シンポジウムでは、メタバースと現実社会が重なり合う現代において、その境界をどのように捉え、社会や人間の営みにどのような影響をもたらすのかをテーマに、学内外の研究者および実務者による講演と議論を行いました。
前半では、勝村啓史准教授(九州大学大学院芸術工学研究院)による「マルチバース人類学」をテーマとした講演に続き、瀬戸山晃一教授(京都府立医科大学大学院)より、マルチバース社会における倫理・法・社会的課題(ELSI)についての基調講演が行われました。
また、磯田和生氏(大日本印刷株式会社)からは、XR技術を活用したアート体験の事例が紹介され、仮想技術が文化体験を拡張する可能性が示されました。
後半のディスカッションでは、「仮想と現実の境界線」をキーワードに、教育、文化、倫理、社会実装といった多様な視点から活発な意見交換が行われました。仮想と現実を対立的に捉えるのではなく、相互に補完し合う関係として捉える重要性が、登壇者・参加者の間で共有されました。

本シンポジウムを通じて、マルチバース社会がもたらす新たな価値と課題について理解を深めるとともに、今後の研究および実践につながる多くの示唆が得られました。MulSHIPでは、今後も仮想空間と現実社会をつなぐ研究と対話の場を継続していきます。


参照リンク

『ふくおか国際映画祭 With Everyone 2025』を開催 ~忘れられない素晴らしい映画体験を子どもたちへ~

芸術工学研究院の教員が中心となり運営する『ふくおか国際映画祭 With Everyone 2025』を、2025年12月25日(木)~27日(土)の3日間、九州大学大橋キャンパスおよび電気ビルみらいホールにて開催します。

本映画祭は、九州大学大学院芸術工学研究院を中心とした産学官と市民のイベント「FUKU OKA Christmas Festa 2025」の一環(フィルムフェス)として開催され、多感な時期の子どもたちの心を育てる名作映画の上映に加え、第一線で活躍するプロフェッショナルとの対話の場を提供します。
2025年のテーマは「子どもと生きることで見える可能性」。 子どもがいる人もいない人も、大人も子どもも、「子ども」という存在と関わることで、私たちの見える世界や人生はどう変化するのか ── 映画を通じてその豊かさや発見を共有する3日間です。

クリスマスの福岡から発信する「次世代への文化の贈り物」に、ぜひご注目ください。

本映画祭の4つの見どころ

1. わくわくもぐもぐ映画のクリスマス(12月25日)
12月25日は、九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟で、NPOと学生たちが協力し、子どもたちにお菓子や楽しい体験を届けます。上映作品は、子どもが主人公の名作『お引越し』『ルックバック』『最初の半歩』『日輪の遺産』。楽しい関連イベントも予定しています。
また、7号館ワークショップルームでは、「ふくおか国際映画祭 短編映画コンペティション」の結果発表&上映会を開催。映画を通じた国際交流の機会となります。

2. 世界が注目する監督たちの「子どもを描く」話題作
エグゼクティブ・アドバイザーである是枝裕和監督の代表作『そして父になる』をはじめ、カンヌ国際映画祭で脚光を浴びた新星・早川千絵監督の『ルノワール』、人間を鋭く、そして温かく描く呉美保監督の『ふつうの子ども』など、子どもと大人の関係性を問い直す珠玉の作品群を上映します。

3. 福岡ゆかりの名匠・佐々部清監督 没後5年追悼特集
福岡でも数多くの撮影を行い、多くのファンに愛された佐々部清監督。没後5年の節目にあたり、子どもたちを描いた名作『日輪の遺産』『約束のステージ』を特別上映します。ゲストには、俳優の升毅さん、野村展代さんほか豪華ゲストをお迎えし、佐々部監督の人柄や作品の魅力を深く掘り下げます。

4.映画創造の核心に迫るシンポジウム「子どもと創造」
映画祭のフィナーレを飾るのは、監督たちが自身の「子ども体験」や、子どもを描くことを通して見出した「映画創造の内面」を解き明かすシンポジウムです。クリエイターがどのように子どもと向き合い、作品へと昇華させているのか。その創作の秘密に迫ります。
司会進行:近藤加代子(九州大学大学院芸術工学研究院 教授)

開催概要

名称: ふくおか国際映画祭 With Everyone 2025

開催期間: 2025年12月25日(木)~12月27日(土)

会場
九州大学 大橋キャンパス(福岡市南区塩原4-9-1)
電気ビルみらいホール(福岡市中央区渡辺通2-1-82 電気ビル共創館4F

エグゼクティブ・アドバイザー: 是枝裕和(映画監督)

主な上映作品
『そして父になる』(監督:是枝裕和)
『ルノワール』(監督:早川千絵)
『ふつうの子ども』(監督:呉美保)
佐々部清監督特集『日輪の遺産』『約束のステージ』

主催: 一般社団法人クリエイティブ共生都市・ふくおかクリスマスフェスタ実行委員会
共催株式会社電気ビル(電気ビルみらいホール)

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【一般公開】レクチャー&ワークショップ「光をつくる/光で考える —— ネオン管加工の技術と美学」

ネオン管は、効率や安全性の観点からすでに「時代遅れの技術」と見なされることが少なくありません。しかし、その危うさや不便さこそが、今日においては表現の強度となり得ます。本レクチャーおよびワークショップでは、ネオン管加工の専門家2名を講師に迎え、ネオン管加工の実演・設計体験を通して、光をつくる技術と、それを用いる思考の両面に触れます。制作体験にとどまらず、工業技術と現代美術、都市文化、仕事としてのものづくりの現実を横断的に考える機会となるはずです。

「光をつくる/光で考える —— ネオン管加工の技術と美学」

日時:2025年12月19日(金)10:00-17:30
 午前の部(レクチャー):10:00-12:00
 お昼休憩:12:00-13:00
 午後の部(ワークショップ):13:00-17:30
会場九州大学大橋キャンパス内 印刷実験棟 2階 講義室
講師:坂口照好・坂口恵子/(有)関東ネオン 代表
対象:午前の部(レクチャー)はどなたでも参加可能
     ワークショップは学内者のみ可:先着5名まで
定員:20名程度(ワークショップ体験は安全管理や機材数量の理由により、学内者5名までの参加が可能)
参加費:無料

内容
午前の部(レクチャー)
• ネオン管について
• ガラス管加工の実演

午後の部(ワークショップ)
• ネオン管を用いた形態設計
• 簡単な加工体験
• 試験発光およびディスカッション
※内容は安全管理および進行状況により変更される場合があります。

ワークショップ参加条件、注意事項
• 高温のバーナーおよびガラス素材を扱います。
• 加工体験は、当日の進行および安全判断により制限されることがあります。
• 安全管理の指示に従えない場合、参加をお断りすることがあります。
• 作業服(綿100%の長袖ツナギ)を着用して参加してください。ヒールやサンダルはNG。
• ワークショップのみの参加は不可(レクチャーも併せて参加してください)。
• 筆記用具を持参してください。

申込方法
• 申込フォーム:https://forms.gle/BbL9yz5tSSyaemc79
• 申込締切:2025年12月18日(木)正午
※ワークショップは先着定員5名までとなります

主催・問い合わせ
• 主催:九州大学芸術工学部未来構想デザインコース
• 問い合わせ:mizuta.masaya.466@m.kyushu-u.ac.jp

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『未来を創るストラテジックデザイン』(株式会社BNN)の出版

ストラテジックデザインに関する思想と実践を体系的に整理した書籍『未来を創るストラテジックデザイン』が、株式会社BNNより日本語版として刊行されます。本書の日本語版刊行にあたっては、芸術工学研究院ストラテジックデザイン部門の羽山康之助教が翻訳に携わるとともに、研究成果に基づく考察を含む章が新たに加えられています。

本書は、デザインを造形や表現の実践を基盤としながら、組織や社会、ビジネスのあり方を構想し、将来の価値創出を導くための思考として捉える視点を提示しています。
理論的枠組みの整理に加え、複数の実践事例を通して、ストラテジックデザインの役割と可能性が論じられています。

羽山助教が執筆に関わった章では、これまでの研究成果をもとに、デザインを新しい世界のあり方を構想し、創り出していく営みとして捉える新たな視点が示されています。

本書は、デザイン分野に限らず、ビジネス、イノベーション、教育、公共分野など、複雑な課題に向き合う多様な領域において、思考の枠組みを整理・再考するための理論的・実践的な知見を提供するものです。

ご興味のある皆さまにご活用いただけますと幸いです。


書籍情報
書名:『未来を創るストラテジックデザイン』
出版社:株式会社BNN
刊行年:2025年
編著ジャンルカ・カレッラ(ミラノ工科大学)フランチェスコ・ズーロ(ミラノ工科大学)
翻訳羽山 康之(芸術工学研究院ストラテジックデザイン部門 助教)

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【ものづくりの展示会】知足研展2025開催のお知らせ

九州大学芸術工学部メディアデザインコース・知足研究室では、所属学生による作品展「知足研展」を今年も開催いたします。

本年度は「ものづくりの展示会」をテーマに、平面・立体・漫画・映像など、学生たちが制作した多様な成果を一堂に展示します。知足研究室の学生が積み重ねてきたものづくりの軌跡を、ぜひご覧ください。

ご来場いただいた方には、先着でオリジナル「芸工ステッカー」をプレゼントいたします。会期中は、大橋キャンパス併設の食堂(デザインコモン1F)も特別仕様に装飾され、展示とあわせてお楽しみいただけます。

事前申込や参加費は不要です。学内外問わず、どなたでも自由にご参加いただけますので、ぜひこの機会にお越しください。

日時
2025年12月16日(火)–12月18日(木) 11:30–19:00

場所
九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟1Fホール

運営
芸術工学部メディアデザインコース・知足研究室
ディレクター / デザイナー:河内拓海
キャラクターデザイン(Knight):重村光陽
キャラクターデザイン(Witch):仁部尭
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【重要】芸術工学府の修士課程入試における外部英語試験に係る変更ついて(予告)

九州大学大学院芸術工学府の修士課程入試では、令和82026)年に実施する修士課程入試から、出願に必要なスコアを設定します。また、対象とする外部英語試験にIELTS(アカデミック・モジュール)を追加します。詳細は添付ファイルご確認ください。

添付ファイル
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九州大学×福岡県聴覚障害者協会青年部 コンサート&公開講座「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」を開催します

九州大学大学院芸術工学府では、さまざまなコースの学生が課題解決にむけて集まる科目「スタジオプロジェクト」を開講しています。
2025年度開講のスタジオプロジェクト科目の一つ「ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト」の後期では、音響工学や音楽、メディアデザイン等を専門とする大学院生が中心となり、さまざまなきこえかたの人たちが音楽の感覚をどのように共有することができるかをテーマとしました。河合拓始(作曲家、ピアニスト)、鈴木玲雄(福岡ろう劇団博多)、Sasa-Marie(サイン・ポエット)をゲスト講師に迎え、福岡県聴覚障害者協会青年部のメンバー、福岡ろう劇団博多のメンバーも交えながら、小さな作品を創作しています。
今回、この授業の集大成として、コンサート&公開講座を開催します。学生の発案で考えたタイトルは「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」です。授業のプロセスで制作されたパフォーマンスを披露するとともに、そのプロセスで何を考え、聴覚障害と音楽の関係を考えるうえで必要なことは何か、ディスカッションを行います。音をめぐる新しい表現のあり方を、ともに考えてみませんか。

*昨年度までの取り組みは報告書をご覧ください。https://hdl.handle.net/2324/7360088

「音ガクってなんだろう?~みんなおんがくがわからんけん~」

日程
2026年1月22日(木) 18:30開場 19:00開演 20:30終演予定

会場
九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟(福岡県福岡市南区塩原4-9-1)
*可能な限り公共交通機関をご利用の上ご来場ください。

出演
<ゲスト講師> 河合拓始(作曲家、ピアニスト)、鈴木玲雄(福岡ろう劇団博多)、Sasa-Marie(サイン・ポエット)
「スタジオプロジェクトIV-B(ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト4)」受講生 ほか

参加費:無料(定員80名)/全席自由席

参加方法
下記申し込みフォーム、またはメール、FAX、電話にてお申し込みを受け付けます。
申込みフォーム https://forms.gle/FppTSFXjKvHjxUpTA
E-mail:hmepgm@gmail.com
FAX/Tel:092-553-4559(火・水・木 10:00~17:00)
<申し込み必要事項>
① 氏名、②ふりがな、③連絡先、④写真や動画撮影による映り込みの承諾 ⑤そのほか配慮等の希望

アクセシビリティ
・手話通訳:ステージおよび会場内に手話通訳者を手配します。
・リアルタイム字幕:ステージでは音声を文字化するアプリ「UDトーク」を活用したリアルタイム字幕を提供します。
・その他、当日の配慮についてご要望等がありましたら、可能な範囲で対応いたします。

交通アクセス
<JR博多駅から>
福岡市営地下鉄空港線6分「博多駅」→「天神駅」→西鉄天神大牟田線4分「西鉄福岡駅」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス30分「博多駅前A」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス22分「博多駅前A」→「塩原4丁目」→徒歩5分
JR鹿児島本線3分「博多駅」→「竹下駅」→徒歩15分
<天神から>
西鉄天神大牟田線4分「西鉄福岡駅」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分
西鉄バス27分「天神大丸前4B」→「西鉄大橋駅」→徒歩5分

主催:九州大学大学院芸術工学府「スタジオプロジェクトIV-B(ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト4) 」(指導教員:尾本章、長津結一郎、Sasa-Marie)
共催:福岡県聴覚障害者協会青年部、九州大学大学院芸術工学研究院附属社会包摂デザイン・イニシアティブ(予定)
後援:福岡市(予定)、社会福祉法人福岡県聴覚障害者協会
協力:福岡ろう劇団博多、キコエナイ×キコエル発展事業委員会
助成:一般財団法人曽田豊二記念財団、科学研究費補助金JP24K03222、JP23K17491

お問い合わせ先
ホールマネジメントエンジニアリングプロジェクト
hmepgm@gmail.com または 092-553-4559(火・水・木 10:00~17:00)

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【研究・社会連携】 フジッコ株式会社との共同企画ナタデココ端材を活用した新素材アート作品を「DESIGNART TOKYO 2025」に出展

九州大学大学院芸術工学研究院 未来共生デザイン部門の田羅義史助教と、フジッコ株式会社(本社:神戸市中央区)は、食品製造の副産物であるナタデココ端材を新たな素材として活用した芸術作品を共同で制作し、2025年10月31日〜11月9日に開催された国内外から出展者の集まるデザインイベント「DESIGNART TOKYO 2025」にて発表しました。
本作品は、ナタデココが本来持つセルロースナノファイバー(CNF)としての質感・透明感・柔軟性に着目し、食品からアート素材へと展開する新たな価値創造を試みたものです。会期中は多くの来場者から注目を集め、食品素材の未来的な可能性に対する強い関心が寄せられました。

■取り組みの背景
ナタデココは、酢酸菌の働きによって生成されるバクテリアセルロースであり、セルロースナノファイバーの一種としても知られています。フジッコ株式会社は1993年より国内唯一のナタデココ自社生産を続けており、食品分野だけでなく、化粧品や紙製品など幅広い用途で応用研究を進めてきました。
田羅助教は、素材起点のデザインリサーチやアート作品制作を専門としており、透明性・強度・成形性の高さを持つナタデココに注目してきました。これまでも同素材を用いたアート作品を発表しており、食品素材が持つ新しい物質性・象徴性を探究し続けています。
今回の共同制作では、フジッコの製造工程で生じる「端材」を素材として活用することで、食品製造における副産物の価値転換と循環型デザインの可能性を探りました。

■出展内容
展示されたウェディングドレス作品は、数百枚のナタデココ端材を独自の成形技術で加工し、光を透過するレイヤー構造として再構成したものです。食品でありながら光学的・彫塑的な美しさを持つナタデココの魅力を引き出し、来場者からは「食品とは思えない」「循環素材としての未来を感じる」と大きな反響をいただきました。

■今後の展望
九州大学大学院芸術工学研究院 未来共生デザイン部門とフジッコ株式会社は、ナタデココをはじめとする発酵由来素材の新用途開発を継続し、環境調和型の素材開発・表現手法・社会実装の研究を進めていきます。
食品製造で生じる副産物を新たなクリエイティブの源に転換する本取り組みは、循環型社会の構築に向けたひとつのモデルケースとなることを目指しています。今後も、素材研究・アート・デザインを横断した学際的なプロジェクトを推進していきます。

<写真>実際に展示された作品(撮影:Kazuo Yoshida 氏)

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【受賞作品発表】2025アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA

九州大学と福岡県や福岡市などが中心となって主催するメディアアートコンペティション「2025アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA(ADAA)」は、北部九州からデジタルコンテンツの創造を担う高度な技能と豊かな感性を持つクリエータの発掘・育成の場として、2001年にスタートしました。

25回目を迎える今回のコンペティションで、世界15の国と地域から591点の応募があり、アジアデジタルアート大賞をはじめとする計53点の受賞作品を選定しました。
なお、芸術工学部および大学院芸術工学府の学生が、以下の7作品で経済産業大臣賞などを受賞しました。

受賞作品はアジアデジタルアート大賞展FUKUOKA公式ウェブサイトにて公表するとともに、2026年3月3日(火)~3月8日(日)に福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園1-6)にて受賞作品展を開催いたします。また、2026年3月7日(土)には同美術館で表彰式を行う予定です。

受賞作品の詳細は、ADAA公式ウェブサイトをご覧ください。

芸工生の受賞作品

▪一般/エンターテインメント(産業応用) 部門 大賞、経済産業大臣賞
Hidden ghosts
藤井 俊貴(芸術工学府メディアデザインコース修士2年)
須長 正治(大学院芸術工学硏究院)

▪学生/静止画部門 優秀賞
EYE
中務 航(芸術工学部メディアデザインコース3年)

▪学生/静止画部門 入賞
Equinoxの幻想植物
張 航(芸術工学府未来共生デザインコース修士1年)

▪学生/静止画部門 入賞
Whisper of the Valley
景谷 蔵馬(芸術工学部メディアデザインコース4年)

▪学生/静止画部門 入賞
花になって
重村 光陽(芸術工学府メディアデザインコース修士1年)

▪学生/動画部門 入賞
The Collector
奥 大智(芸術工学部メディアデザインコース4年)

▪学生/エンターテインメント(産業応用) 部門 入賞
Monokko
大塚 敏郎(芸術工学部メディアデザインコース2025年卒業)
後藤 汰誓(芸術工学府音響設計コース修士1年)
石山 遼(九州大学大学院システム 情報化学府情報理工学専攻データ サイエンスコース)

【画像】(上)「Hidden ghosts」、(下)「EYE」

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現代実践フォーラム 講演会 #23 フロリアン・エブナー(ポンピドゥー・センター)が革新的な展示デザイン戦略を語る 「ホワイトキューブからの脱却、舞台装置のリサイクル、鑑賞階層の逆転」

このたび、芸術工学研究院では下記のとおり、現代実践フォーラム 講演会 #23 フロリアン・エブナー(ポンピドゥー・センター)が革新的な展示デザイン戦略を語る 「ホワイトキューブからの脱却、舞台装置のリサイクル、鑑賞階層の逆転」を開催します。


▪日時: 2025年12月15日(月)17:00〜19:00
▪会場: 九州大学大橋キャンパス デザインコモン2F および オンライン配信
▪使用言語: 英語
▪主催:九州大学大学院芸術工学研究院
    令和4年度大学改革活性化制度「日本デザインを創造し国際発信できる人材育成のための教育プログラムの構築」
▪共催:芸工インターナショナルオフィス
▪助成:日本学術振興会科研費[24K03582]

*オンラインでの参加をご希望の方は、以下のフォームからご登録ください。
https://forms.office.com/r/E3RzPDASPf


本フォーラムでは、ポンピドゥー・センター(パリ、フランス)写真部門のキュレーターであるフロリアン・エブナー氏がオンラインで登壇し、展示デザインへの画期的なアプローチについてお話しくださいます。
今回がキュレーター・トークシリーズの第2回となり、第3回は2026年1月9日に東京都現代美術館の崔敬華氏をお招きして開催予定です。

ポンピドゥー・センターは9月末から、5年間の改修工事のため閉館しています。エブナー氏は、この閉館前最後の展覧会である「ヴォルフガング・ティルマンス:Nothing could have prepared us – Everything could have prepared us」(2025年6月13日~9月22日)や、2015年ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館のキュレーションを担当しました。
本フォーラムでは、これらの展示プロジェクトを例に、エブナー氏が、展示室内の既存の素材や空間を活用・再利用し、どのように展示デザインを展開しているのか、キュレーターの立場から語ってくださる予定です。



Florian Ebner(フロリアン・エブナー)
ポンピドゥー・センター写真部門キュレーター兼部門長。フランス・アルル国立高等写真美術大学卒業後、ドイツ・ボッフム・ルール大学で美術史・歴史・ロマンス語文学の修士課程修了。写真と現代美術の分野で30年以上活躍しており、国際的に重要な美術館でのキュレーター職を歴任。2012年末から2017年までフォルクヴァング美術館(ドイツ・エッセン)写真コレクション部長を務め、2009年から2012年まではブラウンシュヴァイク写真美術館(ドイツ)館長を務めた。2015年には第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展ドイツ館のキュレーションを担当した。

freq – 251208 kyoka

九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府 音響設計コース音文化学講座では、このたび「芸術×科学による分野横断型高度クリエイティブ人材育成プログラム」との共催により、kyokaをゲストに迎えたマルチチャンネル音響作品《Resonant Drift》の上演とトークセッションを開催します。

kyokaは、Alva Noto主宰のドイツの実験レーベルRaster-Notonに所属した初の女性アーティストです。電子音楽プロデューサー、DJ、インスタレーションアーティスト、フィールドレコーダーとして、周波数や音を軸に幅広いサウンド活動を展開しています。

これまでに、Aphex Twin自身がキュレーションしたマンチェスターのWarehouse Projectをはじめ、MUTEK(複数国)、ポンピドゥーセンター(パリ)、CTM(ベルリン)、Sonarなど、世界各地で公演を行ってきています。教育・レクチャー活動にも積極的で、ブラウン大学(アメリカ)、Rhythmic Music Conservatory(デンマーク)、ヨーテボリ大学(スウェーデン)、サラゴサ大学(スペイン)、南方科技大学(中国)などの教育機関や、Ableton Loopなどのイベントに参加。2023年にはヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門の若手育成プログラムで指導者を務め、その秋以降はスイスの機関を拠点に、ニューロサイエンスと音楽理論・作曲の関係を探求する活動を中心に据えています。

今回の上演は、近年kyokaが取り組んでいるの、「外部信号としての音と人間の受け取り方の関係性」をテーマにした、マルチチャンネル音響作品です。これは、睡眠・知覚・脳科学の研究から着想を得て構成された作品であり、音が生理的・感覚的な状態にどのように作用しうるかを探る試みでもあります。研究活動の一環として、睡眠中の脳波に同期して特定の音を届けることで睡眠が深まるかを検証する実験のリサーチやシミュレーション、その成果をもとにした作曲、さらにその体験を再構成したライブ/インスタレーションの形式で実践を重ねてきました。今回は、そうした実践に基づいた、「寝てもいいし、寝なくてもいい」中間的な意識状態で、床に横たわりながら聴くアンビエントセットです。半ば睡眠コンサート、半ばディープリスニングセッションとも言える形式で、来場者がそれぞれの感覚で静かに音と向き合うことができます。

ただ聴く、ただ静まる
そのシンプルな身体的経験を通して、音と知覚・感覚の関係をあらためて見つめ直すことを目指します。



日時
2025年12月8日(月)

上演・登壇
kyoka
城 一裕(九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府 音響設計コース 音文化学講座 准教授)

プログラム
・18:00  開場
・18:30頃 上演
・20:00頃 トークセッション 開始
・20:30頃 終了予定

場所
九州大学大橋キャンパス 音響特殊棟録音スタジオ

料金
無料

定員
25名(先着順)*リンク先peatixイベントページよりお申し込みください。

交通
西鉄福岡(天神)駅より 
・西鉄天神大牟田線大橋駅東口(電車5分、徒歩5分) 
JR博多駅より 
・バス(47、48、48-1、48-2、60)大橋駅下車(バス20分、徒歩5分)
・市営地下鉄天神駅下車、西鉄天神大牟田線へ乗り換え(地下鉄5分、電車5分)
福岡国際空港より
・市営地下鉄天神駅下車、西鉄天神大牟田線へ乗り換え(地下鉄11分、電車5分)
*来場には公共交通機関ないしは近隣のコインパーキングをご利用ください。
*構内の駐車場は入構許可が必要となっておりますが,特段の事情がある場合は事前にお問い合わせください。

主催
九州大学大学院芸術工学研究院音響設計コース音文化学講座 /「芸術×科学による分野横断型高度クリエイティブ人材育成プログラム」

お問い合わせ
九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府 音響設計コース音文化学講座 jo@design.kyushu-u.ac.jp

助成
日本学術振興会科研費[23H00591][23K17267]
文化芸術活動基盤強化基金「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」
参照リンク