【開催報告】社会包摂デザインのプロセスを体験するロールプレイ型ワークショップ

「社会包摂デザイン」とは何なのか? どのような考え方や発想に基づいて制作されているのか? 
そして、社会に実装していく際、どんな課題や障壁を乗り越える必要があるのか?

社会包摂デザイン・イニシアティブ(DIDI)では、2023年3月に2回に渡り、具体的なケースに基づいて社会包摂デザインの制作プロセスを追体験し、参加者に「社会包摂デザイナー」になった気持ちで「自分ならどうする?」と考えてもらうロールプレイ型ワークショップを実施しました。

第1回と第2回のワークショップ詳細レポートとダイジェスト動画をDIDI Webサイトに掲載しています。
下記リンクより、ぜひご覧ください。


 
第1回(2023年3月1日 ゲスト講師:田北 雅裕 フォスタリングカードキット「TOKETA」の事例)レポート
   https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/archive/role-play-workshop_1/
 



第2回(2023年3月3日 ゲスト講師:羽野 暁 色覚の多様性に配慮したキャンパス案内図の事例)レポート
   https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/archive/role-play-workshop_2/



「社会包摂デザインのプロセスを体験するロールプレイ型ワークショップ」企画の経緯と、実施後の振り返り【中村美亜准教授(社会包摂デザイン・イニシアティブ副センター長)インタビュー】
 https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/archive/role-play-workshop_report/

写真家・小島康敬によるワークショップを4/22に開催

現在KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭にて「Naka-Ima | Berlin」展を開催中の、ベルリン在住の写真家・小島康敬氏をお招きして、ワークショップを開催します。
小島氏は、シリーズ作品「Naka-Ima | Berlin」で、2022年度国際コロタイプ写真コンペティション「HARIBAN AWARD」最優秀賞を受賞しています。今回のワークショップでは、アーティストークと合わせて、この作品を用いて、実際に写真展をデザインします。

本イベントは臨時開設科目「キュレーション構想論」の一環として開催しますが、一般の方にもご参加頂けます。
参加ご希望の方は下記リンクよりお申し込み下さい。
https://forms.office.com/r/kXjXj54J5J




日 時:2023年4月22日(土)10:00-13:30
場 所:九州大学大橋キャンパス 5号館1階 512室
参加費:無料
言 語:日本語(英語逐次通訳付き)
主 催:九州大学大学院芸術工学研究院
 ※令和4年度大学改革活性化制度「日本デザインを創造し国際発信できる人材育成のための教育プログラムの構築」


小島康敬
1977年東京生まれ、ベルリン在住。2006年に渡米。ICP (International Center of Photography) General Studies Programを卒業。在学中にICP Directors Scholarship Awardを受賞。2011年文化庁新進芸術家海外研修制度を受け、2011年度研修員。2012年Photo Espana “Decubrimiento photoespaña”に選出される。2015年ベルリンKünstlerhaus Bethanienレジデンスプログラムに参加。近年の個展に「Tokyo | Berlin」(Künstlerhaus Bethanien、ベルリン、2016)、グループ展に「東京好奇心2020渋谷」(Bunkamura The Museum, 2020)、「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」(東京都写真美術館、2019)、「東京・TOKYO日本の新進作家展vol. 13」(東京都写真美術館、2016)などがある。

公式ホームページ https://yasutakakojima.com/
「小島康敬 Naka-Ima | Berlin」展(於:大徳寺黄梅院)https://kgplus.kyotographie.jp/exhibitions/2023/yasutakakojima/
参照リンク

【受賞】岩元真明研究室の作品が「iF DESIGN AWARD2023」で入賞

芸術工学府環境設計コース岩元真明研究室らが開発した『Pergola of Auxetic Structure』が、世界3大デザイン賞の一角であるドイツの「iF Design Award」のインテリア部門で入賞しました。
オーゼティックと呼ばれる幾何学的構造を応用し、多孔質の自由曲面をつくりだす試みです。プロジェクトは科研費新学術領域研究「植物構造オプト」の一環として、関西学院大学荒木美香研究室(建築構造学)、神奈川大学岩元明敏研究室(植物学)と協働して行われました。

また、岩元真明助教らの設計による『Attic House』が、同じくiF Design Awardの建築部門で入賞しました。

(写真撮影:八代写真事務所)
参照リンク

【キャンパス緑化】芸術工学図書館および情報基盤室

芸術工学図書館は改修がすすみ、リニューアルオープンに向けて建物周りの植栽の一部を一新しましたので、ご紹介します。

まずは、図書館と情報基盤室間を結ぶ渡り廊下のピロティ部にある「ハクサンボク」です。福岡の海浜植生に自生する在来の低木で、日陰にも強く、花も楽しめる低木の植物ということで選定されました。この4月、ちょうど大輪の花を咲かせています。ハート形の大き目の葉っぱは年中楽しめますので、ぜひ一度ご鑑賞ください。

次に、図書館の北側にはボーダー式の植え込みが設置され、「スイセン」「シャガ」「ヤブラン」「ツワブキ」という在来の多年草の草本植物が混植されています。北側の日の当たらない場所ですが、耐陰性に優れたこの4種は、それぞれ春、秋、冬と、順繰りに花を咲かせてくれます。今の時期は、シャガとスイセンが花盛りです。図書館のラウンジから近景として鑑賞できます。スクエアの中央にあるタブノキ、ケヤキ、そして7号館のファサードと合せご覧いただけたらと思います。

なお、図書館正面には、サザンカが植栽されており、また、花期にご紹介できたらと思います。

障害を有する人との映画制作(社会包摂映画制作)プロジェクト【相島での撮影報告】

社会包摂デザイン・イニシアティブのプロジェクト活動の一つとして、2022年12月より取り組んできた「障害を有する人との映画制作プロジェクト(社会包摂映画制作プロジェクト)」があります。

障害を有する人の文化芸術活動の中で、絵画制作は多くの人が取り組み、私たちはその世界に驚かされ、文化芸術活動として一定の地位を得て、社会に根を下ろしつつあります。一方、様々な立場の人とのコミュニケーションを要し、「今、ここにはない」物語を創造し言葉をつむぎ、自分の目ではなくカメラを通して場面を認知し、創られたシーンや演者を撮影する映画制作は、様々な要因が絡み合い、制作上の難易度が高く、知的障害者の取り組みではその例を見ません。しかしながら、未だ明らかになっていない知的障害の世界を、当事者本人が自らの思いとあわせて、映像で伝えることができたら、我が国の障害理解に、一石を投じることができるかもしれません。また障害当事者本人にとって、より多くの人が自分の思いに関わってくれた、という経験は、その人の自己肯定感を高め、その後の人生を前向きにするものになります。

また、知的障害を有する人が人的・環境的支援においてどのような基盤やコツがあれば、能動的に共同制作できるのかも明らかにしたい。障害を有する人ではなく、その周りが障害そのものを理解し、変わることで、障害を有する人が制作しやすい、自分の思いを伝えやすい社会になるかもしれない。

このような前向きな思いから、本プロジェクトはスタートしました。

2023年4月9日に猫島として有名な福岡県新宮町の相島で撮影を行いました。総勢22名、知的障害を有する古川さんとお母様、俳優の皆さん、撮影技術スタッフの皆様そして、このプロジェクトに手を挙げてくださった高村剛志監督と本プロジェクトメンバーが参加しました。撮影の舞台となった相島は、古川さんの小さい頃の思い出の場所です。

いつもスマホを使っている古川さん。
猫の撮影は、彼女のスマホで撮りました。

最初は緊張から撮影スタッフと距離がありましたが、我々プロジェクトメンバーから離れ、だんだん輪の中に入り、自分の意見を伝え全体に指示を出すようになった古川さん。

最後は自分で真ん中に立ち、記念撮影をしました。

この映画は次回福岡での映画祭で上映予定です。どうぞお楽しみに。


*個人名の掲載・顔の露出は、障害を有する人本人、保護者、施設理事長より同意を頂いております。
添付ファイル

【芸工公式YouTube】谷正和教授の最終講義動画を公開しました

2023年3月11日(土)に行われました、芸術工学研究院環境設計部門 谷正和教授の最終講義の動画を芸工公式YouTubeで公開しました。

下記からご覧いただけます。

【芸工公式YouTube】Zero to One; Design Thinking Based Entrepreneurship Program動画を公開しました

「Zero to One; Design Thinking Based Entrepreneurship Program」のダイジェスト動画を芸工公式YouTubeで公開しました。

Zero To Oneプログラムとは、デザイン思考のメソッドに基づいて、無(ZERO)から何か(ONE)を作り出し、問題を解決する力を伸ばす仮想起業プログラムです。

本プログラムは九州大学工学研究院が主催するELEP(Engineering Leaders English Program)の一環で行われました。ELEPはシリコンバレーにおける英語及びアントレプレナーシップ研修を通じて、イノベーションを起こす、グローバルに活躍できる人材を養成することを目指しています。

「Wonderland Lifeをデザインしよう」をテーマに、身の回りの課題をリサーチしながら課題を解決するアイデアとビジネスプランを提案したZero To Oneプログラムの動画は下記からご覧いただけます。

開催日時:2023年3月22日(水)-3月25日(土)
主催:九州大学大学院芸術工学研究院、九州大学大学院工学研究院

 

参照リンク

【ラジオ出演】LOVE FM「スイッチオン! DAYTIME」に芸工の教員が出演します

2023年4月の毎週月曜、社会包摂デザイン・イニシアティブの教員が、LOVE FMのお昼の番組「スイッチオン! DAYTIME」にラジオ出演します。
番組内の、昼12:30ごろから10分間程度のコーナー「Goodness☆Business(グッドネス☆ビジネス)」に、社会包摂デザイン・イニシアティブの教員4名が週替わりで出演し、「社会包摂デザインとは?」や、教員の専門分野、実施しているプロジェクトなどについて話します。

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「スイッチオン! DAYTIME」
https://lovefm.co.jp/switch_on/programs/more
月曜DJ:藤田じゅん

【出演予定】
4月3日(月) 長津 結一郎 准教授
4月10日(月)  田中 瑛 助教
4月17日(月)  須長 正治 教授
4月24日(月) 工藤 真生 助教

4月3日の長津准教授出演の放送は、スマートフォン・タブレット・PC等の端末でラジオを聴けるアプリ「radiko(ラジコ)」の無料版でお聴き頂けます。
下記のURLより1週間以内(4月10日まで)までさかのぼり聴取ができます。
https://radiko.jp/#!/ts/LOVEFM/20230403123000
※福岡県内であれば無料版で聴取可能。福岡県外であれば有料版で聴取可能。

参照リンク

紀要「芸術⼯学研究38号」を発⾏しました

半期に⼀度発⾏しております研究紀要について、令和5年3⽉27⽇付けで38号を発⾏しました。
掲載論⽂等は「九州⼤学学術情報リポジトリ」からダウンロードの上、ご参照いただけます。


38号⽬次

1.研究論文
芸術工学のギリシア的起源
ソクラテス、プラトン、アリストテレスにおける有機的技術論
著者:古賀 徹

2.資料
加速手拍子としてのヴァイキング・クラップ
インターネット上の動画を対象としたデータの整理と検討
著者:閻 璐、矢向 正人

表紙作品:
栗山 斉,《symbiosis》(部分),2019年,ネオン灯、アルミニウムなど,H1200×W2800×D150mm ©Hitoshi Kuriyama

参照リンク

【メディア掲載】 「ピクトグラムとジェンダー」に関する記事が掲載されました(西日本新聞朝刊)

西日本新聞 2023 年3 月27 日(月)朝刊1面に、特集記事『ピクトグラムに残る偏見?トイレ案内の表現、模索続く識者「時代に合った表現を」』が掲載されました。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1072402/

トイレのピクトグラムを通して、「分かりやすさと性の固定観念」について考える特集記事です。
芸術工学研究院 伊原久裕教授、尾方義人教授のコメント、また、芸術工学部の教員や学生が試作したジェンダーニュートラルのピクトグラムも紹介されています。

「ピクトグラムとジェンダー」に関する以下の関連記事と併せて、ぜひご一読ください。



【関連記事】

これまでのジェンダー展の図録
これまで社会包摂デザイン・イニシアティブが展開してきたジェンダー展「ジェンダーとピクトグラム」展、「ひとがたとジェンダー」展、「色とジェンダー」展などの図録を下記リンクからご覧いただけます。
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/archive/zuroku/

「ジェンダーバイアスをデザインで取り除く」
芸術工学研究院では、学生が中心となり、2023 年7 月に開催されるFINA世界水泳選手権2023 福岡大会に向けて、ピクトグラムと会場外の誘導サインをデザインしました。例えば、本研究院が提案した「案内所」のピクトグラムは、受付員と利用者の性別を固定化しないジェンダーニュートラル・ピクトグラムとなっています。
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/sekaisuiei-pictogram/
参照リンク

【学生の受賞】第20回『美術教育学』賞奨励賞

 大学院芸術工学府博士後期課程の髙石萌生さん(長津研究室)が美術科教育学会の学会誌『美術教育学』に投稿した研究論文が、第20回『美術教育学』賞奨励賞に選ばれました。

 美術科教育学会は、美術教育に関する研究協議を行い、美術教育の学術振興に資することを目的とした学会です。
『美術教育学』賞奨励賞は、本学会の将来を拓くことが期待される清新で可能性に満ちた研究成果を称揚し、本学会誌の質の向上と本学会の活性化を図ることにより、美術教育学研究の発展に寄与することを目的として設けられたもので、前年度の本学会誌掲載論文を選考対象としています。



受賞論文
「障害者の社会包摂における「差異」と「障害」の認識 -Chickenshed(英国)の舞台芸術活動に関するインタビューを基に- 」
参照リンク

small storm side(第49回日新工業建築設計競技 佳作)

プールとは人工的な自然 つまり”ささやかな嵐”であり、
ささやかな嵐とダンスを踊る場所がプールサイドなのである。

砂粒が挟まったノート、部屋に垂れた水滴を踏むこと、床に落ちたパン屑、
さまざまな不潔から距離をとろうとした結果 わたしたちの自由は身動きが取れなくなっている。

ここはプールサイド。
床はざらざらとして所々湿っているし水飛沫でノートの文字が滲んだりする。
雨の日は増水にドタバタと騒いで暑い日はシャワーを浴びて濡れた身体のままランチを頬張る。
日光浴しながらの読書で肌は小麦色 ついつい水やりをする植木が増えてジャングルと化す。

ささやかな自然のそばで暮らすわたしたちの毎日は
前よりも少し乱暴で 逞しい。
参照リンク