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【芸工生のNews&Story】学部卒業研究 展示会・発表会(インダストリアルデザインコース)

芸術工学部インダストリアルデザインコースは、社会とのつながりを踏まえ、人間の特性をさまざまな側面から理解し、生活者の立場からの新しい俯瞰的視点を備え、安全・安心で魅力的な「製品」「生活環境」「サービス」「社会システム」を創造するクリエーター、プランナー、エンジニアなども含む広義のデザイナー・研究者を育成するコースです。幅広い理論と実践の専門基礎となるクリエイティブデザインと人間工学をコアに、学生の興味や志向に応じてカリキュラムを構成しています。

インダストリアルコースの卒業制作展では、クリエイティブデザインの研究室に所属する学生たちは作品を展示し、人間工学等の実験を行う研究室に所属する学生は研究成果をポスター形式で展示します。

本年度も例年同様に多種多様で個性あふれる研究の数々が展示されました。クリエイティブデザインの部門では、新しい仏壇の提案や指の器用さを鍛えるためのボードゲーム、絵画作品等をテーマにした椅子のデザインや新しい傘の構造の研究など、人間工学部門ではつま先歩行時の下肢筋活動の研究やfMRIを用いた摂食障害患者の研究など学生の興味に合わせて多岐にわたっていました。

研究の詳細についていくつかご紹介します。

幼児の見立て遊びを生かす木製おもちゃの制作
秋田研究室の森㟢真琴さんは、幼児の見立て遊びに着目し、一つで複数の見立て遊びが可能な木製のおもちゃを複数作成しました。調査や制作物の検証は、福岡おもちゃ美術館の協力を得て行っています。このおもちゃを通して、親が幼児との遊び方を身に着け、このおもちゃを使用しないときでも心地よいコミュニケーションができるよう促すことも期待できるそうです。

龍志グリップによる卓球初心者のフォアハンド打球への影響
Ping研究室の熊本龍志さんは、卓球初心者が安定したフォアハンドのラリーを行うためにはフォアハンドグリップという握り方を習得する必要があると考えたことから、フォアハンドグリップへ導く“龍志グリップ”を作成し、効果を検証しました。結果として、龍志グリップ使用時には、フォアハンド打球によるねらった位置への送球の成功率が上昇し、コントロールの安定が期待できたそうです。

インダストリアルデザインコースの学生の作品は非常にバラエティ豊かですが、すべての創作の出発点は人への興味であるようです。どうして人間にはこのような問題があるのだろう、どうして人間はこんなことを考えるんだろう、どうやったら人間の生活が豊かになるのだろうという視点をみんなが共通して抱いています。インダストリアルデザインコースの学部4年生は、卒業後、大学院に行く人もいれば就職する人もいます。就職先の分野もさまざまです。彼らはインダストリアルデザインコースでの学びを生かして、どんなフィールドでも、人間への興味やものづくりの経験を生かして活躍し、社会に大きなインパクトを与えてくれることでしょう。



<執筆者>
長谷川愛
芸術工学府人間生活デザインコース 修士2年
私は外国の文化にとても興味があります。なかでも中国文化が大好きです。芸工で留学生と友達になると、自分の視野が広がるのでわくわくします。芸工は、自分のクリエイティビティを高められるだけでなく、国際的な視野を広げられる場所でもあります。留学生も日本人学生も、芸工の国際性を活用しましょう!