
九州大学大学院芸術工学研究院では、サービスやコンテンツにおいて、豊かなユーザー体験を提供するために必要不可欠な「物語」をテーマとした研究教育を行うべく、寄付講座「ナラティブデザイン講座」を開講しています。
2025年12月19日、漫画家の小沢高広氏とひうらさとる氏、ゲーム研究者の簗瀬洋平氏をお招きし、ナラティブデザイン講座シンポジウム「芸術工学×マンガの作戦会議2025」を開催しました。
小沢氏は、二人組漫画家ユニット「うめ」のシナリオ・演出を担当し、ゲーム業界を描いた代表作『東京トイボックス』シリーズは累計100万部を超え、アジアをはじめヨーロッパ、南米など広く海外でも読まれています。現在は、小学館WEBマンガサイト「ビッコミ」にて、1950年代の南極観測をテーマにしたヒストリカルSF『南緯六〇度線の約束』を連載中です。
ひうら氏は、1984年のデビュー以来、代表作『ホタルノヒカリ』では“干物女”という言葉を世に広め、ドラマ化・映画化されました。2024年には「西園寺さんは家事をしない」がTBS系列で、2026年1月からは「聖ラブサバイバーズ」(現在放映中)がテレ東系列でドラマ化される等、女性を中心に人気を博しています。
簗瀬氏は、1995 年よりゲームデザイナー / シナリオライターとして、『ワンダと巨像』、『魔人と失われた王国』などのゲーム開発作品に携わってきました。現在は、 ユニティ・テクノロジーズ・ジ ャパン株式会社勤務の傍ら、東京大学先端科学技術研究センター連携研究員、大阪芸術大学客員教授として、学術とゲーム産業の橋渡しをするために活動されています。
シンポジウムでは、「芸術工学×マンガ」をテーマに闊達なディスカッションが行われました。
前半は、「高度デザイン人材×マンガ教育」をテーマに、2025年前期授業の講師でもある登壇者の皆さまに、それぞれの授業を振り返っていただきました。ひうら氏の授業では、”ネームを描く”という課題が出され、提出された作品からは、芸工の学生がマンガで表現する感情を「なぜそうなるのか」という視点で論理的に分析して描いているという傾向が見られたようです。小沢氏の授業では、マンガの企画制作と編集会議を想定したミニワークを実施し、企画の土台がしっかりしている学生や、人の企画を伸ばすのが上手で俯瞰した目線を持つ学生が多い印象を受けたと語られました。また、簗瀬氏の授業では、ゲームシステムに適した物語を考えるワークを行い、他大学と比べても芸工の学生は手を動かし始めるスタートが速いという特徴が挙げられました。
後半のテーマである「クリエーションの源泉はどこから来るのか?」という問いに対しては、制作することを前提とした視点で世の中を見ることで、常に頭が動き続け、クリエイターにとってはすべてがクリエーションの源泉になる、と語られました。また、「締切」があることで描くしかないという状況を作れるため、賞への応募や、1日1ページをSNSに投稿するなど、自ら期日を設けることの重要性も語られました。そのようにして作品の完成まで辿り着いた時、「作品を作っていない人」から「作品を完成させた人」にステップアップできるため、余計なことは考えずに作品を完成させることが大切だ、とも語られました。さらに、作品づくりのポイントとして、読んでもらいたい誰かを決めて、その人に向けて描くことで、作品の方向性が明確になるというアドバイスもありました。
質疑応答では、参加者からの「漫画の作画におけるAIの参入についてどう思いますか。」という質問に対して、「他の分野と比べると、必ずしもクリエイティブと相性が良いわけではないことが分かってきたので、AIを無理に使わなくてもいいのではないか。最終判断をするのは自分自身であり、たとえば、リソースを大量生産する際のツールとしての利用や、凡庸なアイデアを出させるなど、サポートしてもらう位に捉えた方が良いかもしれない。」という意見が示されました。また、「学生が自分が描いた漫画を海外に出したい時に、どうしたらいいか。」という質問には、「SNSなどを通じて英語で世界に向けて発信をすることで、日本のコンテンツを発掘している海外の人にヒットするかもしれないので、ぜひやってみてほしい。」との回答がありました。
マンガ家の方々が、日常生活からどのように作品の礎となる素材を選び取り、作品作りに取り組まれているのか、それぞれの視点から具体的に語られ、学生にとっても多くの学びと刺激を得られるシンポジウムとなりました。
本イベントが、学生の今後のクリエーション活動につながっていくことが期待されます。
2025年12月19日、漫画家の小沢高広氏とひうらさとる氏、ゲーム研究者の簗瀬洋平氏をお招きし、ナラティブデザイン講座シンポジウム「芸術工学×マンガの作戦会議2025」を開催しました。
小沢氏は、二人組漫画家ユニット「うめ」のシナリオ・演出を担当し、ゲーム業界を描いた代表作『東京トイボックス』シリーズは累計100万部を超え、アジアをはじめヨーロッパ、南米など広く海外でも読まれています。現在は、小学館WEBマンガサイト「ビッコミ」にて、1950年代の南極観測をテーマにしたヒストリカルSF『南緯六〇度線の約束』を連載中です。
ひうら氏は、1984年のデビュー以来、代表作『ホタルノヒカリ』では“干物女”という言葉を世に広め、ドラマ化・映画化されました。2024年には「西園寺さんは家事をしない」がTBS系列で、2026年1月からは「聖ラブサバイバーズ」(現在放映中)がテレ東系列でドラマ化される等、女性を中心に人気を博しています。
簗瀬氏は、1995 年よりゲームデザイナー / シナリオライターとして、『ワンダと巨像』、『魔人と失われた王国』などのゲーム開発作品に携わってきました。現在は、 ユニティ・テクノロジーズ・ジ ャパン株式会社勤務の傍ら、東京大学先端科学技術研究センター連携研究員、大阪芸術大学客員教授として、学術とゲーム産業の橋渡しをするために活動されています。
シンポジウムでは、「芸術工学×マンガ」をテーマに闊達なディスカッションが行われました。
前半は、「高度デザイン人材×マンガ教育」をテーマに、2025年前期授業の講師でもある登壇者の皆さまに、それぞれの授業を振り返っていただきました。ひうら氏の授業では、”ネームを描く”という課題が出され、提出された作品からは、芸工の学生がマンガで表現する感情を「なぜそうなるのか」という視点で論理的に分析して描いているという傾向が見られたようです。小沢氏の授業では、マンガの企画制作と編集会議を想定したミニワークを実施し、企画の土台がしっかりしている学生や、人の企画を伸ばすのが上手で俯瞰した目線を持つ学生が多い印象を受けたと語られました。また、簗瀬氏の授業では、ゲームシステムに適した物語を考えるワークを行い、他大学と比べても芸工の学生は手を動かし始めるスタートが速いという特徴が挙げられました。
後半のテーマである「クリエーションの源泉はどこから来るのか?」という問いに対しては、制作することを前提とした視点で世の中を見ることで、常に頭が動き続け、クリエイターにとってはすべてがクリエーションの源泉になる、と語られました。また、「締切」があることで描くしかないという状況を作れるため、賞への応募や、1日1ページをSNSに投稿するなど、自ら期日を設けることの重要性も語られました。そのようにして作品の完成まで辿り着いた時、「作品を作っていない人」から「作品を完成させた人」にステップアップできるため、余計なことは考えずに作品を完成させることが大切だ、とも語られました。さらに、作品づくりのポイントとして、読んでもらいたい誰かを決めて、その人に向けて描くことで、作品の方向性が明確になるというアドバイスもありました。
質疑応答では、参加者からの「漫画の作画におけるAIの参入についてどう思いますか。」という質問に対して、「他の分野と比べると、必ずしもクリエイティブと相性が良いわけではないことが分かってきたので、AIを無理に使わなくてもいいのではないか。最終判断をするのは自分自身であり、たとえば、リソースを大量生産する際のツールとしての利用や、凡庸なアイデアを出させるなど、サポートしてもらう位に捉えた方が良いかもしれない。」という意見が示されました。また、「学生が自分が描いた漫画を海外に出したい時に、どうしたらいいか。」という質問には、「SNSなどを通じて英語で世界に向けて発信をすることで、日本のコンテンツを発掘している海外の人にヒットするかもしれないので、ぜひやってみてほしい。」との回答がありました。
マンガ家の方々が、日常生活からどのように作品の礎となる素材を選び取り、作品作りに取り組まれているのか、それぞれの視点から具体的に語られ、学生にとっても多くの学びと刺激を得られるシンポジウムとなりました。
本イベントが、学生の今後のクリエーション活動につながっていくことが期待されます。
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