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SDGs Design International Awards 2020 報告

2020年11月10日に行われたSDGs Design International Awards 2020 の報告です。

第2回目の開催となる今回は 「パンデミックを乗り越え、進化するためのデザイン」をテーマとして設定しました。本年度は、世界15ヶ国の高等学校、専門学校、大学より184件の応募がありました。
この未曽有の危機に、今すぐにでも対応できるアイデアや、afterコロナ時代も見据えた生活や仕事の仕方、社会システムや国際連携のあり方提案など、広範囲にわたる様々なアイデアが寄せられました。
2020年11月10日に開催されたファイナリストによる最終プレゼンテーション及び表彰式は、新時代のSDGs Design International Awardsに相応しい、数万人規模で視聴できる完全オンライン形式で実施しました。
オンラインで行なわれたファイナリスト5組のプレゼンテーションは、若い感性にあふれ、パンデミックにすぐにでも応用できる素晴らしい作品ばかりでした。当日、厳正なる審査の結果、以下の通り各賞が決定しました。


<最優秀賞>
死者を送る船
Viany Sutisna, Bonaventura Kevin Satria, Faith Lim Rui En
(National University of Singapore)

作品概要
インドネシアではCOVID-19 による死亡者の遺体はすぐに簡易なプラスチックで覆われ、何メートルものセメントの下の地面に埋葬される。
本作品は、コロナウイルスが私たちから奪ったものの中で、「大切な人に最後の別れを告げられない」ことに着目して、遺族が葬儀の際に顔を見ながらお別れを言うことができる「船」のデザインを考案した。「船」は密閉型のポッドの形をしており、内側にはロープのような層が重なって遺体を安全に包み込む。ポッドには透明な窓がつけられ、遺族が葬儀の際に顔を見ながらお別れを言うことができる。内側の層は吸収性のある素材で体液などの漏れを防ぎ、クラスター感染のリスクもなく葬儀の慣習を再開することが可能になるという作品だ。

審査員長講評
人々が死とどのように向き合うかは普遍的であるとともに、固有の文化的な問題でもあります。世界中が巻き込まれるパンデミックにあって、死は合理性や機能性だけではなく、文化に根差した人間性に対する深い配慮が求められる難しい問題です。このデザイン提案は、人間の尊厳に正面から向き合うと同時に感染のリスクを排除し、さらに環境にも配慮した素材や構造を詳細に検討し、プロダクトとしての機能性も追求しています。非常時において、後回しにされがちな心の問題に、プロダクトデザインからアプローチした優れた提案です。

<優秀賞>
Best Innovation賞
アレーテ移動菜園濰坊市第9地区の移動しながら野菜を売る地域活動車両
Huang Zhilin, Shen Sixian, Wang Qi
(Donghua University)

Best Impact賞
アナンディ学習空間
Shruti Umesh Chakke
(National Institute of Design)

Best Quality賞
医療従事者保護のためのサービス設計個人用防護服の基準および寄付機会のプラットフォーム
Fang Yuchan, Zheng Ce, Gu Tianrun, Shen Yiwen, Luo Song
(TongJi University)

Best Feasibility賞
ハーイ!ジェスチャー小学生の子どもたちに合わせた感染予防教育のサービス設計
Choi Yonggen, Zhang Yimeng, Fan Wenyi, Chen Yinglu, Li Yu
(TongJi University)

※優秀賞の作品概要・審査員長講評は公式ウェブサイトをご覧ください
https://www.sdgs.design.kyushu-u.ac.jp/awards/result/

また、SDGs Design International Awards 2020の併催イベントとして、Kyushu University Asia Week 2020 国際シンポジウムが開催されました。テーマは、「SDGsの視点からアフターコロナの社会をデザインする」と題し、各賞への審査員からの講評、そして、ファイナリストによる素晴らしい発表への健闘を称え始まりました。本アワードで提案された作品は、パンデミックから生じているさまざまな問題に着目し、実現可能で革新的な影響を与えるだけでなく、体系的であり、かつ、人の気持ちに寄り添うという観点からも解決策を提案していました。 

また、下記の5つの視点から議論を行いました。 
1)「危機」は、より良い未来を作るための進化のチャンスとなる可能性があります。この観点から、アフターコロナの社会はどうなっていくのでしょうか。 
2 デザインとは? 
3 デザイナーの役割は何ですか? 
4) デザイン思考とは何ですか? 
5) 学究的環境への意義は何ですか? 

 本シンポジウムでは、参加した学生に、「デザインは社会に何かできるのか?」という質問を投げかけ、それを考えさせるきっかけになりました。

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