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「さくらサイエンスプログラム」を実施しました

今年、九州大学芸術工学研究院の環境設計・グローバル・ハブ(eghub)は、”さくらサイエンスプログラム”を実施しました。さくらサイエンスプログラムは、国立研究開発法人科学技術振興機構のプログラムの一つで、新たな時代の社会を担う、世界の優れた人材を日本に短期間招き、日本の最先端な科学技術や文化に触れてもらうことを目的としています。今回のプログラムのテーマは、”アジアにおける都市遺産の現状と課題 “です。バングラデシュ、カンボジア、ラオス、台湾の4カ国、4大学(プレミア大学、カンボジア工科大学、ラオス国立大学、国立台北科技大学)から、8名を招聘しました。プログラムでは、講義、実習、シンポジウムなどを行い、福岡市や日本各地の建築ツアーなどを通して建築遺産の保存について学び、歴史的な町並み、有名な建築物や景観などを鑑賞しました。

プログラムは2月6日から2月17日にかけて実施されました。初日は、参加者同士の自己紹介とキャンパス紹介を行いました。その後、本学大学院生の案内で、音響研特殊棟、居住空間実験住宅、環境適応研究実験施設などの研究施設を見学し、キャンパスに慣れ親しんでもらいました。翌日には、オープニングシンポジウムが開催され、各国の参加者が自国の都市遺産の現状と課題についてプレゼンテーションをしました。参加者は、井上朝雄准教授による3次元空間のデジタル保存に関する講義を受けたり、ドローンやPolycam-LiDARを使ったり、3Dスキャナーによる既存建築物のデジタル化などの技術を体験しました。本学学生が案内した福岡市内ツアーでは、アクロス福岡、福岡市赤煉瓦文化館、貴賓館、福岡銀行本店を見学しました。また、環境設計コースの卒業生で、著名な建築家である葉祥栄氏の作品アーカイブ展示会にも参加しました。

2月11日から15日までは、京都・神戸・広島への遺産巡りツアーを行いました。京都では大徳寺の修復現場を見学しました。ここでは、建造物全体を覆う仮設の屋根を作り、自然素材を使い、重機を使わず手作業で行う遺産修復技術について学びました。この修復作業には、約1200人の熟練した大工や専門家が必要です。

有名な国宝のひとつである平等院鳳凰堂では、国宝がどのように文化遺産として観光に活用され、保存されているかを学びました。神戸では、竹中大工道具館を訪れ、日本文化遺産としての古道具収集と保存を見学しました。広島では、ユネスコ世界遺産である原爆ドームを見学した後、ひろしま世界遺産航路を利用して厳島神社にも行きました。また、広島電鉄の建設現場も見学し、遺産だけではなく、現代の建築技術についても学びました。このツアーを通し、参加者全員が日本の遺産修復の現状を知り、その知識を自国に還元できるようにしました。その他にも地元のおいしい食べ物や美しい風景を通して、日本を体験し、楽しみました。

福岡に戻った参加者は、このプログラムで学んだことを発表し、ディスカッションを行いました。最終日には、環境設計コースの学生による卒業制作講評会に参加し、優秀作品を投票で決定しました。そして、プログラムの最後には皆で楽しくお別れディナーをし、アジアの国同士で、新たな友好を深めました。
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