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既成概念や固定観念を変えるデザイン研究:デザインによる社会包摂 ー 世界水泳2023福岡大会のピクトグラム・屋外誘導サイン制作 学生プロジェクト

FINA世界水泳選手権2023福岡大会が7月14日(金)〜30日(日)で開催されます。この大会のためのピクトグラムと屋外誘導サインを、九州大学大学院芸術工学研究院と大会組織委員会が共同制作しました。
制作に当たっては学生が中心となり、従来使われてきたピクトグラム・サインの改善点の検証や、改善デザインの制作と提案を行いました。

本プロジェクトでは、そもそも何をデザインするのかなど根本的な自らへの問いかけから始まり、「従来使われている標準デザインに加え、いくつもの改善デザイン案がある中、どのデザインが最適であるか?」を比較検討するために、理解度調査や、屋外で実寸サイズのデザイン案を呈示した上での聞き取り調査など、さまざまな調査を重ねました。
特にユニバーサルデザイン、ジェンダーニュートラルのあり方や、当たり前に使われているピクトグラムに対し、ジェンダーバイアスやジェンダーロールのアプローチでデザインの提案、設計、実践を行いました。

デザイン制作に関わった学生たちからは、以下のような話が聞けました。

「ユニバーサルデザインを基本方針とし、より多くの人に分かりやすいデザインを追求しています。一般的に使われるJIS(日本産業規格)のデザインのピクトグラムは、基本的に15歳以上の大人がどう理解できるかを前提に作られています。そういうところからはみ出てしまった人に果たして本当に分かりやすいのかという部分もあって、少し要素を追加したところもありました」

「ルート案内の屋外サインでは、道順を間違う人がいることを前提に、間違った人のための表示も考えました。ユニバーサルデザインの原則の一つである “ミスの許容(エラーに対する許容)” に着目して出てきたアイデアです」

「JISのピクトグラムを検証する中で、性別役割の固定化や偏見につながるのではないか、と思われるデザインもありました。そういった課題に対して、ジェンダー・ニュートラルの観点から改善案を制作したデザインもあります」

大会の会場を訪れた際にはぜひ、ピクトグラムや屋外誘導サインにもご注目ください。


【九州大学大学院芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブ】Tel092-553-4552E-maildidi-office@design.kyushu-u.ac.jp
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