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【芸工生のNews&Story】第28回デザイン基礎学セミナー『教育のリ・デザイン〜子どもたちのいる風景を社会に開く』

芸術工学研究院 デザイン基礎学研究センターが開催した、第28回デザイン基礎学セミナー『教育のリ・デザイン〜子どもたちのいる風景を社会に開く』について、芸術工学府音響設計コース修士1年 久住香奈さんがお伝えします。



10月3日(金)に、
芸工図書館にて、写真家で保育園の園長先生でもある酒井咲帆さんをお招きし、「教育のリ・デザイン〜子どもたちのいる風景を社会に開く」と題し、デザイン基礎学セミナーが開催されました。酒井さんは、写真家としての経験から教育や福祉にも目を向けておられ、さまざまな地域の多様な子どもたちの姿を撮影することで、福祉の視点からデザインの重要性を主張されています。

まず、酒井さんは 『いつかいた場所』というフォトブックを出版されました。富山県氷見市の小さな町に10年間、年に1度通い、子どもたちの写真を撮り続けていました。その写真には、時が経つにつれて変化していく子どもたちの姿が映し出されています。本の中のある少年は、最初は写真を撮られることを恥ずかしく思っていたましたが、思春期を乗り越え成長するにつれて、写真を撮られることを自ら望むようになりました。成人式では、彼の満面の笑みが写し出されています。

また、酒井さんはアフガニスタンで現地の子供たちに使い捨てカメラを配り、撮った写真をシェアしてもらう代わりに靴を提供するという活動もされていました。出来上がった写真には、銃を構える子どもや薄暗い場所で勉強する様子、または美しいお花畑など、さまざまな現地での体験が収められていました。

酒井さんの保育園でのユニークな教育手法についても話してくださいました。酒井さんは周辺の町を学習環境の一部として捉えており、その考え方は町の形をした保育園のロゴや建物のデザインからも見受けられます。子どもたちは、町を探索し、例えば玄関のベルを鳴らして庭の果物を採ってもいいか尋ねるなどと、そこに住む人々とよく交流しています。この保育園では主に体験学習を重視しており、子どもたちがものづくりに参加することで、自発性と創造性を育むことを狙いとしています。

さらに酒井さんは、大人が積極的に子どもの意見を聞くことが大切だと考えておられます。それは泣くなどの感情表現をも真摯に受け止め、互いの立場を尊重し合うことで、包括的な教育環境が育まれるからです。

このトークイベントは、彼女の教育に対する積極的なアプローチにより、日本教育の在り方を見直すきっかけになりました。さまざまな教育手法を探求し記録することで、日本の教育をリ・デザインする手がかりが得られるのかもしれません。

<Writerについて>
久住香奈
私は九州大学大学院芸術工学府音響設計コース修士一年です。
卒業後のデンマーク留学のため英語とデンマーク語を勉強しています。芸工サポーターになってから、さまざまな留学生たちとの交流を楽しんでいます。もし何か言語の問題でお困りでしたらお声掛けください。わたしが通訳します!

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