不在のかたち―衣服を主体とした作品―
塩屋 心雪
未来構想デザインコース(学部) ※制作時所属
卒業研究
- 制作時学年
- 学部4年
本制作は、「不在の外殻」をテーマに人間の身体、衣服、記憶、視線、流行といった多層的な要素を媒介として、不在がもたらす存在論的問いを立体造形によって考察するものである。衣服を単なる物質や装飾として捉えるのではなく、それが自己や他者、時間性との関係性の中でいかに意味を生成し変容するかを探ることを目的としている。全6作品で構成され、それぞれが異なる角度から「不在」の概念に迫る試みである。制作過程を通して明らかになったのは、「不在」が単なる欠如や消極的な状態ではなく、記憶や想起、社会的文脈の中で意味を持つ積極的な概念であるということである。布は痕跡を保持し、不在を想起させる強力なメタファーとして機能した。錆もまた、かつての存在を暗示しながら変化の痕跡として「不在」を具現化する重要な要素となった。