学生作品・研究

人をのみこむ10戸のアーチ

公開日 :2012.11.20

岡田 翔太郎

環境設計学科 ※制作時所属

学生作品・研究

制作時学年
学部3年

柳橋連合市場は内側にお店を開き、外に背を向ける市場構造であるため、大通り沿いには市場のダクト類や室外機が露出しています。市場内部の魅力に手が届きやすいように市場の表面を再構築します。各場所に応じて、市場の表面上に開口を配置すると、市場内部へと続く道が多様に広がり、新たな動線が生まれます。そこで開口内部を店舗、残余の空間を住戸とします。新たに生まれた道にまたがるお店が、市場のインターフェースとなります。新たな店舗と既存の市場の間のデッドスペースが、動線が複雑に交錯することで、たまりの空間となります。そこは各店舗の強い特徴がにじみでた庭であり、異なる店舗を通ってきた人々の出会いの場となります。10の店舗付き集合住宅の住人は、アート、お風呂、動物、読書、お茶、天体観測、コーヒー、料理、お花、映画が大好きな人たち。彼らの強い趣味性をもつ空間がお客さんを惹き付け、市場内部へと誘います。ここでは訪れた人たちと店主が、同じ場所で同じ感覚を共有します。この建築は単に既存の市場のためだけの建築ではなく、また、敷地内だけで完結するものでもありません。強いキャラクターを持つ人々が暮らし、働くことでうまれる市場への豊かな道をつくりました。