公開日:2020.02.10

研究者も科学とヒトの関わりをデザインする仕事

前原 一満さん
九州大学 生体防御医学研究所 助教
- 2006年 工業設計学科卒業
- 2008年 大学院芸術工学専攻修士課程修了
- 2013年 大学院芸術工学専攻デザイン人間科学コース博士課程修了
- 2013年 - 2016年: 九州大学 医学研究院 学術研究員
- 2016年 - 現在: 九州大学 生体防御医学研究所 助教
関連する学科・コース・専攻
- インダストリアルデザインコース(学部)
- 人間生活デザインコース(大学院)
- 工業設計学科
- デザイン人間科学コース
現在のお仕事を教えてください
近年、細胞内の遺伝子やタンパク質を対象とした計測技術が急速に発達しています。そこで産出される大規模計測データを十全に使い、同じ遺伝情報を持つ幹細胞がどのように筋肉や神経に分化する運命を選びとるか、その解明を目指し日々研究しています。私自身は数学やコンピュータを使ったデータ解析技術を武器として研究チームの活動を支えています。研究職ですので論文執筆はもちろん、研究資金の獲得や研究室運営全般も仕事です。

あなたの芸工生時代について教えてください
当時は電子音楽への関心もあって、コンピュータや数学を自在に使いこなせたら格好良いな、というぼんやりとした将来へのビジョンから、統計学がご専門の坂田年男先生に師事しました。私も恩師のように奔放に研究できればどんなに幸せだろうと、無心にホワイトボードと格闘する師の背中をよく思い出します。私自身は模範的学生生活を送ってきたとは到底言えませんが、すべての寄り道・回り道が今の仕事に直結していることは確かです。
受験生に向けてのメッセージ
芸工には入学時は想像すらしなかった魅惑的な寄り道・回り道がたくさん仕掛けられています。とりわけ、私が芸工で学んだ最も大切な気づきは、モノ・コトの対象を問わず人の創造的営為はすべてデザインだと呼べることです。情報・数理科学の技術を使って、生命のように複雑な対象を人間のわかりやすい形に変換して伝える、というやり方で、私も私なりの形で技術の人間化の理念を実践していければと思います。
