言霊の遷殿
原田篤幸
環境設計コース(学部) 環境設計学科 ※制作時所属
卒業研究
- 制作時学年
- 学部4年
小学校5年生の遠足で訪れた知覧特攻平和会館。死ぬ寸前の特攻隊員が母にあてて書いた手紙を見た時、身体中にゾワッした感覚が走った。これは言葉にこもった力すなわち「言霊」によるものではないか。SNSの普及により利便性が上がった一方で、スマホ一つで誹謗中傷ができてしまう。人は「ことば」によって豊かにもなり、また傷つきもするものだ。現代を生きる私たちが忘れてしまいがちな「言葉」のもつ力、影響力。本施設は、知覧特攻平和会館の資料の仮設展示や日常生活でいらなくなった本を持ち寄るライブラリー機能、些細な願いやメッセージを書いた紙を建物に結び付けていく神社の絵馬のような機能を持ち合わせる。人々が「言霊」のもつ力に触れ、考え、そして共有できる場を提供する。訪れる人々によって建物に宿る言霊の密度が増し、言霊を宿した建築自体がメッセージ性を帯びてゆく。