椅子として目の前にあるのに、存在しない。また、その椅子に座っている人がいても、彼は立っている。そんな不思議な椅子が日本にある。伝統芸能 歌舞伎の演目の舞台上に登場する「高合引(たかあいびき)」である。役者の姿を大きく立派に見せるために後見(黒子)が高合引を役者の腰の下に差し入れる。資料をもとに再現制作を行った。道具への関心は、その世界へ誘う一番の近道である。高合引を制作し、発表することで、その不思議な存在価値に感動し、歌舞伎への関心は一層高まるはずである。実際に、舞台で道具が使われているシーンを見たいと思うだろう。
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協力:藤浪小道具株式会社 様